S&P500は3営業日ぶり反発。7月CPIが好感された。AIクラウド企業の決算発表は半導体株を値上がりさせたが、大手ハイテク株は不振だ。
アメリカの株式市場で楽観ムードが強まった。S&P500種株価指数の12日の終値は前日比0.26%高で3営業日ぶりの反発。7日以来の最高値更新が迫った。12日に発表された7月の消費者物価指数(CPI)で物価上昇の過熱感がみられず、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ見通しが後退したことが追い風となった。また人工知能(AI)ブームをめぐっては、AIクラウド企業の2026年4-6月期決算発表が好感されており、半導体大手NVIDIA(エヌビディア)は株価上昇が再加速している。一方、AIサービス拡充のためにエヌビディアなどから最先端半導体を大量に購入してきた大手ハイテク各社の株価は12日の取引で値下がり。AIブームへの期待だけで株価が上昇し続けるとの見方は冷え込んでいる。また、S&P500の今後の見通しにはイラン情勢をめぐる不透明感という悪材料も残っており、株価の一進一退が続く展開も考えられそうだ。
S&P500(SPX)の12日の終値は7748.50。前日比0.26%高は3営業日ぶりの反発で、前週末(7日)の最高値から0.12%安の水準まで回復した。S&P500は週初めの10日と11日の続落で合計0.38%安となっていたが、改めて楽観ムードが戻ったといえそうだ。
12日のS&P500の反発の要因は、7月CPIで物価上昇の過熱感が出なかったこと。7月CPIでは、総合指数の伸び率が前年同月比3.4%となって、2か月連続で前月から物価上昇が減速した。また、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は2.5%となり、イラン戦争開始前にあたる2月(2.5%)以来の低さとなっている。いずれもブルームバーグがまとめた市場予想通りの結果だ。またコア指数から家賃も除いた指数の伸び率は1.9%となり、2025年5月(1.9%)以来、1年1か月ぶりの低さとなった。
物価上昇の落ち着きは、FRBが物価上昇抑制のために利上げに踏み切るとの見方を後退させた。ブルームバーグによると、12日の金融市場で見込まれている9月15、16日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.731%となり、7月24日の3.901%をピークとした低下が続いている。9月利上げ確率は40%と見込まれ、かつての利上げが確実視されている状況は遠のいた。S&P500の利上げは株式投資の相対的な魅力を低くする要因とみなされるだけに、利上げ見通しの後退はS&P500にとっての追い風といえる。
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また12日の株式市場ではAIサービス向けのクラウド事業を展開する注目企業の4-6月期決算発表も好材料視された。2025年3月に上場したコアウィーブ(CRWV)は11日の取引時間終了後の決算発表で、6月30日段階での受注残が1040億ドルに上っていると公表。2024年10月からナスダック市場に上場しているオランダのネビウス・グループ(NBIS)も12日の取引開始前に決算を発表し、4-6月期の総収入が前年同期比5.5倍の5.82億ドルになったとした。コアウィーブの株価の12日の終値は前日比19.28%高、ネビウスは34.14%高となっている。両社はS&P500構成銘柄ではないものの、AIサービスへの需要の強さを印象付ける決算発表として相場のムードを明るくした。
実際、12日の取引ではコアウィーブとネビウスに出資しているエヌビディア(NVDA)の株価が前日比3.03%高の224.09ドルとなって3営業日ぶりに反発。5月14日の最高値(235.74ドル)から4.94%安の水準まで回復してきた。FRBのケビン・ウォーシュ議長の記者会見がFRBの利上げ出遅れリスクを意識させた7月29日の安値(190.01ドル)からの回復が改めて加速してきたといえる。エヌビディア以外の半導体株でも、13日の取引時間終了後に4-6月期決算を発表する半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)が4.29%高、半導体の名門企業インテル(INTC)が3.32%高になるなどして、S&P500の上昇を後押しした。
一方、半導体企業の好調さはAIサービス拡充のために半導体を大量購入してきた大手ハイテク各社の株価には悪材料となった。12日の取引では、4月9日にコアウィーブとの契約関係の2032年までの延長を発表しているメタ・プラットフォームズ(META)が前日比3.38%安の急落。マイクロソフト(MSFT)は2.26%安、アマゾン・コム(AMZN)も1.83%安となるなど、S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる7社の中で、エヌビディアを除く6社が値下がりした。アマゾンなどは巨額の設備投資が財務状況を悪化させており、AIブームの力強さが株価の下落につながるケースも目立つ。
また、S&P500の今後の見通しをめぐっては、イラン情勢の不透明感も大きな課題だ。石油の重要通商ルートであるホルムズ海峡をめぐって浮上していたイランとオマーンによる協議が前進しているとの期待は、これまでのところ大きな進展は出ていないもよう。一方、ドナルド・トランプ大統領は12日午前10時台に自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、「ホルムズ海峡は米国が完全に掌握している」と強調したが、原油価格の下落にはつながっていない。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(9月渡し、WTI原油)の12日の終値は前日比0.08%高で5営業日続伸となった。
S&P500の12日の終値は2025年末比で13.19%高と堅調な値動きだが、牽引役となるはずのマグニフィセント・セブンの7社のうち5社はS&P500を下回る成績となっている。AIブームやイラン情勢をめぐる投資家の期待は揺れ動きやすく、S&P500の今後の値動きは方向性が定まらなくなる可能性もありそうだ。
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