S&P500は0.79%安。ホルムズ海峡不安がもたらした原油高が投資家心理を悪化させた。FRBの利上げ見通しが強まる中、急落リスクが再燃している。
アメリカの株式市場で急落不安が高まった。S&P500種株価指数の13日の終値は前週末比0.79%安で3営業日ぶりの反落。堅調だった大手ハイテク株の値上がりがストップしたほか、半導体株も軒並み急落した。ドナルド・トランプ大統領が13日、イランに対する海上封鎖再開を宣言し、原油価格が急騰したことが投資家心理を悪化させた結果だ。一方、半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)が13日に発表した6月の実績が堅調な結果だったことは株価にとっての好材料。また、14日に発表される6月の消費者物価指数(CPI)では物価上昇率の低下が見込まれており、実際の結果が株式市場で好感される可能性がある。ただ、半導体企業の業績をめぐっては15日以降に重要決算発表が控えており、人工知能(AI)ブームの継続性への懸念が再燃する恐れは消えていない。またイラン情勢をめぐる不安は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ見通しをいっそう強めており、ケビン・ウォーシュ議長の14日の議会証言でS&P500が急落するリスクも潜んでいそうだ。
S&P500(SPX)の13日の終値は7515.34。前週末比0.79%安は3営業日ぶりの値下がりで、6月2日の最高値(7609.78)からは1.24%安の水準となった。前週末に最高値から0.5%安圏内に迫った勢いが途絶えた形だ。ブルームバーグによると、長期金利(10年物国債利回り)は13日のニューヨーク市場の終値で4.625%となり、5月19日(4.667%)以来の高水準となっている。
13日はエヌビディア以外の半導体株も急落している。半導体の名門企業インテル(INTC)は前週末比6.12%安。半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)は4営業日ぶり反落の4.50%安となった。アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)やブロードコム(AVGO)も4%前後の値下がりとなっている。半導体株は前週(6-10日)、ブロードコムとアップルの長期契約が好感されるなどしてS&P500を下支えしていたが、週初めの取引ではムードが一転した。
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13日のS&P500に下落圧力をかけたのは、ホルムズ海峡をめぐる緊張の高まりだ。トランプ氏は13日午前10時台、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、6月17日の和平覚書発効を受けて解除していたイランに対する海上封鎖を再開すると表明。同時に、ホルムズ海峡はイラン以外の船舶に対しては開放されているとし、米軍による安全確保のための費用として積荷に20%の料金を課す考えを示した。ホルムズ海峡では7日に3隻のタンカーがイランからとみられる攻撃を受けたことをきっかけに停戦状態が失われており、今回のトランプ氏の宣言でさらに事態は悪化した。米中央軍は13日、米国東部時間14日午後4時から海上封鎖を再開すると発表している。
こうした中、13日の原油先物市場では指標価格であるWTI(8月渡し、WTI原油)の終値が前週末比9.42%高の1バレル=78.14ドルまで急騰。トランプ氏がホワイトハウスでの演説でイランに激しい攻撃を加えると宣言したことを受けた4月2日(11.41%高)以来の高い上昇率となった。
13日の金融市場では投資家心理も大きく悪化。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の13日の終値は前週末よりも14.17%高い17.16。6月29日(17.65)以来の高さとなった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
一方、半導体企業の株価の追い風となってきたAIブームをめぐっては、安心材料も出た。TSMCが13日に発表した6月の台湾ドルベースでの総収入は堅調な結果で、2026年4-6月期のドル建てでの総収入はTSMC自身が4月に示した見通し範囲の上限付近での着地になったようだ。また米労働省が14日午前8時30分(日本時間14日午後9時30分)に発表する6月CPIは、6月中旬以降の原油価格低下を受けて上昇率が低くなる見通し。ブルームバーグによると、6月CPIの伸び率は総合指数で前年同月比3.8%、食品とエネルギーを除いたコア指数で2.8%となり、いずれも5か月ぶりに前月よりも低くなると見込まれている。物価上昇率の高まりは米国の経済活動を下押しする悪材料とみなされてきただけに、6月CPIが予想通りの結果となればS&P500にとっては朗報といえそうだ。
ただ、米国の株式市場では今後、重要な決算発表が控えている。オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディング(ASML)は15日に4-6月期決算を発表する予定。さらにTSMCは日本時間16日午後3時に4-6月期の決算を正式に発表し、魏哲家(シーシー・ウェイ)CEOらが会見を開く。両社が示す業績の見通しが、大手ハイテク各社のAI関連投資がけん引してきた半導体需要拡大の異変を示せば、S&P500には大きな下落圧力がかかることになりそうだ。
また13日発表の6月CPIが物価上昇の落ち着きをみせたとしても、ホルムズ海峡の緊張感が原油高を引き起こす中では、投資家心理を改善させない可能性がある。13日の金融市場ではFRBが物価上昇抑制のために利上げに踏み切るとの見通しが強まっていて、金利の先高観がS&P500への下落圧力を強めるシナリオが再燃している。ブルームバーグによると、13日の金融市場で見込まれている28、29日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.733%で、前週末よりも0.028%ポイント高い水準。7月利上げ確率は43%まで上がった。
こうした中、FRBのウォーシュ議長は14日午前10時、米下院の金融サービス委員会で初めての議会証言に臨む。ウォーシュ氏は6月17日のFOMC後の記者会見で物価上昇への警戒に軸足を置き、S&P500が前日比1.21%安となる材料を提供しており、改めてFRB発の急落リスクが高まっているともいえそうだ。
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