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米国株、ホルムズ海峡開放に期待 S&P500急上昇 大手ハイテク復調

S&P500は3日続伸の間に4%近い上昇。イラン和平覚書の合意が好感された。一方、FRBのウォーシュ新議長が開くFOMCは投資家心理を冷やしかねない。

米国株、ホルムズ海峡開放に期待 S&P500急上昇 大手ハイテク復調 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場が活気づいている。S&P500種株価指数の15日の終値は前週末比1.65%高。3営業日続伸の間に4%近い急上昇となり、約2週間ぶりの最高値更新が視野に入った。米国とイランの和平覚書での合意がホルムズ海峡開放への期待を拡大させ、原油価格が値下がりしていることが好感されている。こうした中、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価は15日にそろって上昇しており、割安感を背景として値上がりに拍車がかかる可能性も出てきた。一方、株式市場にとっては、17日に予定される連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策発表が波乱要因となりえる。5月に就任したばかりのケビン・ウォーシュ新議長の情報発信次第では、FRBの利上げ見通しが強まり、S&P500の上昇に冷や水がかかりかねない。また期待が高まるイラン和平の実現には先行きの不透明感があることも事実で、S&P500の今後の見通しをめぐっては、最高値更新に時間がかかる展開も考えられる。

アメリカのS&P500は1.65%高 3営業日続伸で最高値が視野に

S&P500(SPX)の15日の終値は7554.29。ドナルド・トランプ大統領が和平協議の内容がイランの最高レベルの指導部に承認されたと明かした11日以降の3営業日続伸の間に3.95%高となり、2日の最高値(7609.78)から0.73%安の水準まで戻ってきた。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

イラン和平の覚書合意でホルムズ海峡開放に期待 原油価格は3カ月ぶりの安値に

S&P500を活気づかせたイラン和平への期待は週末の間に大きく高まった。トランプ氏は14日夕方、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿でイランとの和平の覚書についての合意が成立したと公表。封鎖が続いてきたホルムズ海峡は機雷の除去を経て開放されるとの見方を示した。イランメディアも合意を報じ、19日にスイスで正式な署名が行われるとしている。

こうした中、15日の金融市場では原油価格の下落が加速。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(7月渡し、WTI原油)の15日の終値は、前週末比4.87%安の1バレル=80.75ドル。取引時間中には一時、79.70ドルをつけ、3月10日以来、約3カ月ぶりに80ドルを割り込む場面もあった。原油価格の下落は投資家心理を改善させており、シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)は15日終値で16.20まで下がり、3営業日連続での低下となった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。

WTIの価格の推移のグラフ

マグニフィセント・セブンがそろって上昇 割安感を背景に復調期待

こうした中、15日の株式市場では、S&P500への影響度が大きいマグニフィセント・セブンの7社の株価がそろって上昇した。ブルームバーグによると、SNS大手のメタ・プラットフォームズ(META)の株価は前週末比4.67%高となって、7営業日ぶりの反発。半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)は3営業日続伸の3.54%高、アマゾン・コム(AMZN)は2営業日ぶり反発の3.13%高となっている。7社の株価は5月28日に全社が上昇した後、米国とイランの軍事攻撃の応酬などがきっかけとなって下落基調となっていたが、15日は復調を期待させる値動きとなった。

アルファベット、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コム、マイクロソフト、アップル、テスラの株価の推移のグラフ

マグニフィセント・セブンの株価には、これまでの下落の結果、割安感も出ている。7社の株価の水準と今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)から算出される株価収益率(PER)の15日段階の水準を、株式市場で人工知能(AI)ブームが本格化した2023年以降の平均値と比較すると、エヌビディア、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン、メタの4社で足元のPERが平均値よりも低くなっている。また各社の15日の終値を最高値と比べた場合、6-26%安の水準となり、イラン和平への期待が膨らむ中、7社の株価上昇がS&P500を牽引する展開も想定されそうだ。

大手ハイテク株の予想株価収益率の推移のグラフ

ウォーシュ新議長として初のFOMCは波乱要素か S&P500の見通しに冷や水も

一方、S&P500にとってはFRBの金融政策が新たな不確定要素として浮上する可能性がある。ウォーシュ氏が新議長として初めて開く、16、17日の連邦公開市場委員会(FOMC)が、金融政策の方向性の転換点となりえるからだ。ウォーシュ氏は、トランプ氏の指名と議会上院での承認を経て、5月22日に議長に就任したばかり。景気や物価上昇の過熱への警戒に軸足を置く「タカ派」の一面が知られているとともに、中央銀行は経済見通しに関する情報発信に抑制的であるべきとの立場を示したこともある。

FRBの金融政策をめぐっては、原油価格の低下が年内利上げ見通しを後退させている。ブルームバーグによると、15日の金融市場で見込まれている12月FOMC後の政策金利の水準は3.813%で、8日段階の3.896%から0.083%ポイント低下。年内利上げ確率は80%程度まで下がった。しかしウォーシュ氏が17日の記者会見で金融政策の見通しを明確にしなければ、疑心暗鬼に陥った投資家が利上げの可能性への懸念を強め、S&P500の楽観ムードが冷え込む可能性もある。

金融市場で見込まれている政策金利の推移のグラフ

イラン和平の見通しには不透明感 投資家の慎重姿勢が続く可能性も

またイラン和平の実現には不透明感があることも事実。覚書の内容は未だ公表されておらず、ホルムズ海峡開放時にイランが「通行料」をとることができるかどうかや、イランが求める資産凍結解除のタイミングや方法などに関する詳細は明らかになっていない。イスラエルとレバノンを拠点とする親イラン組織ヒズボラの停戦の継続や、イランの核開発をめぐる今後の協議の進展も、継続的な和平の実現を左右する可能性があり、投資家の慎重姿勢がS&P500の上昇にブレーキをかけることも考えられる。


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