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日経平均、AI株に急落リスク 週次383円高 株価上昇の裾野は拡大

日経平均株価は週次で小幅反発。AIブーム継続性への不安がリスク要因だ。値上がり銘柄の裾野は広がったものの、上昇継続のハードルは高い。

日経平均、AI株に急落リスク 週次383円高 株価上昇の裾野は拡大 Source: ブルームバーグ

Written by

小雲 規生

小雲 規生

シニアファイナンシャルライター/Senior Financial Writer

作成日

日経平均株価の上昇の勢いが止まった。日経平均の3日の終値は1週間前比383.19円高。前週の約1900円もの急落からの反発は小幅に終わった。人工知能(AI)ブームの過熱感への不安から米国の株式市場で半導体が急落した余波を受けた結果だ。日本のAI株の4月以降の急騰には過熱感があることは間違いなく、さらなる急落のリスクが残っている。一方、3日までの週次の取引では株価上昇の裾野が拡大し、日経平均構成銘柄の8割が上昇した。イラン和平への期待から原油価格が下落する中、見通しに対する過度な不安は後退している。ただ、日経平均の割高感はすでに上限付近にあり、さらなる上昇には企業業績の成長という裏付けが必要。また投資家の注目度が高い米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ見通しが強まった場合には日本株への下落圧力が強まる可能性があり、日経平均の上昇の足が引っ張られる展開も考えられる。

日経平均株価は週次383円高 前週の急落からの回復は2割どまり

日経平均株価(N225)の3日の終値は前日比では1010.92円高の6万9744.07円。週次での上昇(383.19円高)は、AIブームをめぐる思惑の揺れが乱高下につながった前週(6月22-26日週)の下落幅(1889.18円安)の2割を取り戻すにとどまった。2日終値では米国での半導体株安のあおりを受けて6万8733.15円まで下落していた。

日経平均株価と週次の騰落額の推移のグラフ

AI株は明暗 割高感の強さは急落リスクを示唆

個別株の値動きをみると、半導体やデータセンター向けの部品事業への集中投資が報じられた京セラ(6971)が3日までの週次で14.81%高となり、日経平均を135円押し上げ。AI向け半導体システムに用いられる積層セラミックコンデンサ(MLCC)が注目される太陽誘電(6976)も週次22.53%高と急騰した。一方、半導体検査装置のアドバンテスト(6857)やメモリ半導体のキオクシアホールディングス(285A)は週次で9%台の急落。データセンター向け光ファイバーケーブルを手掛けるフジクラ(5803)も週次12.61%安となっている。

日経平均を動かした構成銘柄の寄与額のランキング表

これらのAI株は日経平均の上昇を後押ししてきた半面、割高感も目立つ。ブルームバーグによると、太陽誘電の株価と今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)から算出される株価収益率は3日段階で83.4倍。3月末段階の25.6倍から割高感が格段に強まっている。太陽誘電はこの約3カ月の間、予想1株当たり利益が71.0%増になる一方、株価は5.5倍にもなっていることが要因で、過熱感があることは明らかだ。同様にデータセンター向けICパッケージ基板が好調なイビデン(4062)の3日段階の予想株価収益率も88.8倍という高水準で、3月末の34.5倍から跳ね上がっている。このほか、村田製作所(6981)や東京エレクトロン(8035)も割高感が強まっており、投資家心理の変化次第で株価が急落するリスクと背中合わせとみることができそうだ。

太陽誘電、イビデンなどの株価収益率の推移のグラフ

日経平均構成銘柄の8割が上昇 原油価格はイラン戦争前の水準に

一方、3日までの週次の取引では株価上昇の裾野の広がりが感じられた。ブルームバーグによると、日経平均を構成する225銘柄のうち、全体の8割にあたる180銘柄が週次で上昇。上昇率の上位にはコンサルティング企業のベイカレント(6532、週次20.61%高)、フリマアプリのメルカリ(4385、週次16.72%高)、ソフトウェアテストのSHIFT(3697、週次14.83%高)などが顔を出している。また東京証券取引所全体の値動きを反映する東証株価指数(TOPIX)は週次で2.55%高となり、日経平均の週次0.55%高を大きく超える上昇率。33業種のうちの30業種が週次で値上がりしており、2月末のイラン戦争開戦後としては最も多い数字となった。

TOPIX33業種の週次の騰落額のグラフ

株価上昇の裾野が広がった背景には、イラン和平への期待が原油高を解消させているという事情がある。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(8月渡し、WTI原油)は日本時間2日夜には1バレル=67.04ドルをつけ、イラン戦争開始前日にあたる2月27日終値(67.02ドル)に迫った。ブルームバーグのデータでは、ホルムズ海峡を通過するタンカーの数は米国とイランの和平合意が発効した翌日の6月18日から7月3日の間、平均14隻程度で推移。6月中旬までの2隻未満からの回復が維持されており、中東産原油に依存してきた日本経済にとっては朗報だ。

日経平均のさらなる上昇は困難 FRBや半導体企業の動向にリスク

ただ、日経平均が7万円を大きく超えて上昇することの難易度は高い。ブルームバーグによると、日経平均の予想株価収益率は3日段階で25.1倍程度で、日経平均が最高値をつけた6月22日の26.2倍のような高すぎる水準は維持できていない形。日経平均構成銘柄の3日段階での予想1株当たり利益は、イラン戦争開戦前日の2月27日との比較では19.2%増で、日経平均自体が同じ期間で記録した18.51%高とほぼ一致した水準といえ、さらなる値上がりには予想利益の上積みが必要といえそうだ。

日経平均株価と予想株価収益率の推移のグラフ

さらに日経平均の今後の見通しをめぐっては、FRBの金融政策の方向性が投資家心理を揺らす可能性がある。2日発表の6月雇用統計は労働市場の弱さを感じさせる内容で、早期の利上げ見通しは強まらなかったが、金融市場では引き続き年内の追加利上げが確実視される情勢が続いている。このため8日発表の6月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で利上げ論の強さが確認されるなどすれば、投資家心理の悪化が日経平均に下押し圧力をかけることになりそうだ。さらに10日には半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)の6月の台湾ドルベースの総収入も公表される予定で、結果次第ではAI株の見通しを悪化させる恐れもある。

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