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キオクシア、株価に急落リスク 乱高下で最高値から転落 業績予想困難?

キオクシアの株価は前日比10%超の値動きが頻発し、最高値から25%安。今後は7月中旬以降の大手ハイテク決算が波乱要因になりそうだ。

Source: Adobe Images

Written by

小雲 規生

小雲 規生

シニアファイナンシャルライター/Senior Financial Writer

作成日

キオクシアホールディングスの株価が乱高下を続けている。メモリ半導体を手がけるキオクシアの株価は直近の16営業日のうち10%超の値上がりと10%超の値下がりが合計で6回も起きる激しい展開。6日の終値は6月下旬につけた最高値から25%安の水準で、投資家の間で人工知能(AI)ブームの継続性への期待が揺らいでいることのあおりを受けた。一方、キオクシアの業績は急成長が続いており、株価は足元でも2024年12月の上場初日との比較で50倍にもなっている。株価の割高感を示す指標に過熱感がないことも好材料といえそうだ。ただ、キオクシアの業績をめぐっては成長が確実視される半面、どこまでの急成長が実現するかの予想は困難ともいえる。7月中旬以降には、米国の大手ハイテク各社などの4-6月期決算発表が相次ぐこともあり、キオクシアの株価が改めて急落するリスクはくすぶり続けている。

キオクシアの株価は10%超の騰落が頻発 AIブームへの期待に揺らぎ

キオクシアの株価(285A)の6日の終値は前日比2.05%安の8万1590円だった。ブルームバーグのデータで3週前にあたる6月15日以降の16営業日の値動きをみると、10%超の値上がりが3回、10%超の値下がりが3回起きる激しい値動きとなっている。月ごとの集計では6月に10%超の値動きが6回起きており、2024年12月の上場以降で最も多い回数となった。6日終値は、6月22日につけた最高値からは24.94%安にあたる。

キオクシアの株価の1%超の値動きの回数

キオクシアの株価が乱高下している背景にあるのはAIブームへの期待の揺らぎだ。キオクシアの株価が6月23日に前日比15.10%安と急落したのは、前日の米国市場で大手ハイテク株が急落したことが要因。各社がAIサービス拡充のために巨額の資金を調達していることがAIブームの持続性への疑念を高める悪材料として注目された。逆にメモリ半導体大手のマイクロン・テクノロジーの2026年3-5月期決算発表を受けた25日は12.27%高と急反発したが、翌26日は11.24%安となっている。

メモリ半導体の価格急騰 4-6月期の営業利益は1年前の29倍の見通し

一方、キオクシアが手掛けるメモリ半導体は、AIの本格普及が始まるなかで、需要が急拡大していることに疑いはない。キオクシアが5月15日に発表した2026年1-3月期決算は総収入が前年同期比約2.9倍の1兆0028億円、営業利益が16倍の5991億円だった。キオクシアは1-3月期のメモリ半導体の販売単価は前四半期(2025年10-12月期)と比べて「2倍以上」になったとしており、キオクシア製品の奪い合いが起きているとみることもできそうだ。キオクシアは4-6月期の業績については、総収入が前年同期比約5.1倍の1兆7500億円、営業利益が約29倍の1兆3000億円になるとしている。

キオクシアホールディングスの総収入と営業利益の推移のグラフ

株価は上場時から51倍 利益も拡大で割高感はなし

こうした中、キオクシアの株価は桁外れの上昇を続けている。6日の終値は最高値からは急落したとはいえ、2024年12月18日の上場初日の終値(1601円)との比較では51倍にあたる。ブルームバーグがまとめたアナリストが示す目標株価の平均値は11万8694円で、一部では20万円までの値上がりを見込む声もある。

キオクシアの株価と予想株価収益率の推移のグラフ

またキオクシアの利益の急拡大が見込まれていることが、株価の割高感を抑制していることも、株価の反発を予感させる。ブルームバーグによると、キオクシアの株価と今後12か月の予想1株当たり利益から算出される株価収益率(PER)は3日終値段階で7.5倍。キオクシアの予想株価収益率は過去には30倍を超える局面もあったことや、一部のAI株の予想株価収益率が80倍を超える水準にまで達していることを踏まえれば、むしろ割安水準にあるとの見方も成り立つ。

大手ハイテク各社の設備投資意欲がリスク要因 TSMC決算で急落も

ただ、1年間で営業利益が数十倍にもなるというキオクシアの驚異的な成長がどこまで、どの程度のペースで続くのかは予測困難。メモリ半導体の販売単価が2倍以上になっているとはいえ、今後、米国の大手ハイテク各社の投資意欲にブレーキがかかるなどすれば、メモリ半導体の価格が下落し、中期的なキオクシアの業績が期待外れに終わる可能性もある。実際、キオクシアは5月の決算発表時、業績予想は4-6月期に関する数字を示しただけで、日本企業で一般的な通期の業績見通しの提示は行っていない。

このためキオクシアの株価の見通しは米国の大手ハイテク各社が7月中旬以降に行う4-6月期決算発表での情報発信に左右されることも想定される。各社の設備投資意欲に陰りが感じられれば、キオクシアの株価にとっては逆風になりそうだ。各社のAIサービスをめぐっては価格競争が始まっているともみられているほか、各社がこれまでに巨額の設備投資で確保したAIサービス提供能力が過剰になっていると捉える向きもある。また、16日に行われる半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)が4-6月期決算発表で示す市場見通しも、大手ハイテク各社の水面下での動向を反映して変化する可能性があり、キオクシアの株価を急落させる材料になることも考えられそうだ。

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