S&P500の先物商品はマイクロンの決算発表を受けて上昇。原油安も好感されている。ただ、大手ハイテク株の不振は今後も続く恐れがある。
アメリカの株式市場に安堵が広がった。S&P500種株価指数に関連した先物商品は日本時間25日朝の取引で上昇。米メモリ半導体大手マイクロン・テクノロジーの2026年3-5月期決算発表が好感され、前日までの警戒感が緩んだ結果だ。マイクロンの決算は6-8月期の総収入の見通しが市場予想を超えたことが評価され、設備投資額の大きさへの不安を吹き飛ばす結果となった。また、24日の金融市場では原油価格の下落が進み、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ見通しが後退している。25日に発表される米国の物価指標も予想通りの結果になれば、S&P500にとっての好材料となりそうだ。ただ、マイクロンの業績への自信は、半導体を大量購入して人工知能(AI)サービスの拡充を進めている大手ハイテク各社にとってはコストアップ要因ともいえ、S&P500の上昇がさらに勢いづくかどうかには不透明感も残っている。
S&P500(SPX)に関連した先物商品(EミニS&P500先物=9月限)は日本時間25日午前11時25分時段階で7460.00で取引されている。ブルームバーグによると、午前7時台には一時、7486.75をつけ、マイクロンの決算発表が伝わる直前にあたる午前5時の水準から0.68%高となった。
S&P500は24日終値では3営業日続落の前日比0.10%安となっていた。マイクロンの決算発表が投資家の期待に応えられなければ、人工知能(AI)ブームへの期待が冷え込んでハイテク株安につながる可能性があったためだが、先物商品の値動きからはS&P500への強い打撃は回避されたといえる。
マイクロンの決算発表が投資家心理を上向かせた要因は、業績見通しの力強さが設備投資増加がもたらす不安を打ち消したことだ。マイクロンが示した6-8月期の見通しでは、総収入が500億ドル前後になるとされ、ブルームバーグがまとめた市場予想の432億ドルを超えた。半面、2026年8月通期の設備投資額は270億ドルになるとされ、前回決算発表時に示した250億ドル以上から切り上がったことは、収益悪化を連想させる悪材料だったが、マイクロンの株価(MU)は24日の時間外取引で急騰。一時、1219.83ドルをつけ、直前の終値(1048.51ドル)から16.34%高となった。
また、S&P500には、マイクロンの好決算に加え、原油価格の下落という追い風も吹いている。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(8月渡し、WTI原油)は24日の終値で前日比3.92%安の1バレル=70.34ドルとなり、4営業日続落。その後、日本時間25日午前の取引では一時、69.20ドルをつけ、イラン戦争開戦直後にあたる2日(69.20ドル)以来の安値となった。WTIは3月9日には119.48ドルまで上昇する場面もあったことを踏まえれば、原油高が世界経済を大きく下押しする不安は後退したといえそうだ。
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原油価格の下落を受けて、金融市場ではFRBの利上げ見通しも後退。ブルームバーグによると、24日の金融市場で見込まれている12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.986%で、前日から0.027% ポイント低下。年内2回の利上げの確率は41%となり、22日段階の66%から下がっている。イラン戦争後の原油高を背景とした金利の先高観が和らいでいることは、株式投資の相対的な魅力を回復させるS&P500にとっての好材料となる。
FRBの金融政策をめぐっては、25日午前8時30分(日本時間25日午後9時30分)に発表される5月の個人消費支出(PCE)物価指数も注目される。ブルーバーグがまとめた事前予想では、総合指数の伸び率は前年同月比4.1%となり、4月の3.8%から物価上昇が加速する見通し。食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は3.4%となり、やはり4月(3.3%)よりも高くなると予想されている。とはいえ、5月に就任したFRBのケビン・ウォーシュ議長は17日の記者会見でリアルタイムでの経済動向を重視する姿勢を強調しており、5月PCE物価指数が予想に沿った内容であれば、金融市場では原油価格下落が物価上昇を弱めていくとの見方が支持され、S&P500への影響は限定的となる可能性がありそうだ。
ただ、S&P500の今後の見通しをめぐっては、マイクロンの好決算が大手ハイテク各社にとっての逆風として意識されることも考えられる。マイクロンは24日の決算発表資料の中で示した市場分析で、DRAMやNANDといったメモリ半導体の供給が需要に追い付かない状況は2027年を過ぎても続くと分析。供給不足はAIサービス拡充に不可欠なメモリ半導体の価格を上昇させ、大手ハイテク各社にとってはコストアップ要因になる可能性がある。
実際、24日の時間外取引では、AI事業に巨額の資金をつぎ込んできたアルファベット(GOOGL)やアマゾン・コム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)の株価が直前の終値から下落。なかでもアルファベットの株価は24日終値までの3営業日続落で合計6.18%安となっているだけに、下落が止まらない状況といえる。大手ハイテク各社の株価はS&P500への影響度が大きいだけに、先物市場で好感されたマイクロンの決算による追い風が25日の取引でも続くかどうかには不安もありそうだ。
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