日経平均株価週間見通し(3/2週):過熱感と中東リスク 近くて遠い6万円、調整売り警戒
IG証券のアナリストによる日経平均株価の週間見通し。過熱感と中東の地政学リスクによる調整売り警戒。株価指数CFD「日本225」の焦点は5万8000円の攻防。週間想定レンジは5万6500円~5万9300円。
要点
- 2月の日経平均は+10%で終え、年初来上昇率は約17%に達した。衆院選での自民党圧勝→"責任"ある積極財政への期待が株高を牽引した。しかし短期的な過熱感は否めず。今週は調整売りを警戒したい
- 中東の地政学リスクも日経平均株価の重石となる可能性がある。米・イスラエルのイラン攻撃でホルムズ海峡封鎖懸念が浮上。「原油高→米インフレ再燃の懸念→FRB利下げ期待後退」の連鎖にリスク回避の円高が重なれば、「米株安+円高→日経平均の下落拡大」を警戒したい
- 株価指数CFD「日本225」の週間想定レンジは5万6500円〜5万9300円。5万8000円の攻防に注目
日経平均、2月は10%高も過熱感否めず
2月の日経平均株価は10.37%高で終えた。衆院選で自民党が単独で3分の2超の316議席を獲得。高市早苗首相の政権基盤が盤石となったことで、積極財政への期待が株価を押し上げた。
2月の米株式市場ではS&P500とナスダック100が下落で終えた。「AI懸念」が相場の重石となった。国内のAI関連銘柄ではアドバンテスト(6857、5.3%高)、東京エレクトロン(8035、6.5%高)、ディスコ(6146、14.1%高)が上昇で終えた一方、ソフトバンクグループ(9984、-3.9%)とレーザーテック(6920、-7.5%)は下落し、強弱まちまちの展開となった。
それでも日経平均株価は10.37%高で2月を終え、TOPIX(東証株価指数)も10.44%高と揃って二桁の上昇率を記録した。2月の上昇相場は、特定の銘柄やセクターの強弱を超えた日本株全体の底堅さを示唆したと言えるだろう。
半面、短期的な過熱感は否めない。日経平均株価は年初来で既に17%近く上昇しており、昨年の年間上昇率26.2%の約65%をわずか2ヶ月で達成したことになる。この上昇ペースの速さは、調整売りの要因として意識しておきたい。
日経平均株価とTOPIXの月間変動率:2025年1月以降
ブルームバーグのデータを基に作成
中東懸念も重石に、米金利と円相場の反応を注視
短期的な過熱感への警戒に加え、今週は中東の地政学リスクも日経平均株価の調整売り要因になり得る。
米国とイスラエルは2月28日、イランの核・ミサイル関連施設および指導部の拠点を標的とした大規模軍事攻撃を開始した。イランは即座に湾岸各国の米軍基地やイスラエルに向けて弾道ミサイルとドローンで反撃した。
ホルムズ海峡の情勢を巡り情報が錯綜している。イスラム革命防衛隊(IRGC)が無線で、船舶に対して同海峡の通過禁止を通告したとの情報がある。EIA(米エネルギー情報局)の調査によれば、同海峡は世界の石油需要の約2割にあたる日量約2,000万バレルが通過する要衝であり、世界のLNG貿易の約2割も同海峡を経由している(主にカタール産)※。
※EIA:Amid regional conflict, the Strait of Hormuz remains critical oil chokepoint(June 16, 2025)
週明け2日の市場では、原油先物価格と米金利の動向を注視したい。直近では、原油先物価格(WTI)が67ドル台へ反発した一方、米10年債利回りは安全資産への需要を背景に節目の4%を割り込み、両市場は「逆相関」の状況にある。しかし、日米の株式市場が株高トレンドへ転じた2023年以降の中期トレンドを俯瞰すると、WTI価格と米10年債利回りはほぼ同方向で推移してきた経緯がある。
「中東の地政学リスク→石油・LNGの供給懸念→原油高→米インフレ再燃の懸念」の連鎖が意識されれば、「悪い金利の上昇→米株安」というシナリオもあり得る。
円相場の動向も注視したい。原油高による円安か、リスク回避の円高かによって日経平均株価への影響は大きく異なる。米株安と円高のシナリオが同時に発生する場合、日経平均株価の下落拡大を警戒したい。日経平均株価の株価指数CFD「日本225」が下値を目指す場合、今週は以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。
WTI原油と米国10年債利回りの日足チャート:2023年以降
TradingView提供のチャート
日本225のテクニカル分析、5万8000円の攻防に注目
5万8000円ブレイクなら下落拡大か
株価指数CFD「日本225」のトレンドを日足チャートで確認すると、5万1000円→5万4000円→5万6500円の各節目がサポートラインに転換し、階段を上るように上昇が拡大。MACDとモメンタムは日本225が強気地合いにあることを示唆している。RSIは買われ過ぎの水準まで余裕がある。日本225は、心理的節目の水準6万円の攻防を視野に強気地合いにある。
しかし、今週は前述の過熱感と中東の地政学リスクを受け、調整売りに直面する展開を想定したい。6万円は近くて遠い1週間となろう。
日本225が下値を試す局面では、5万8000円が下値支持の重要な焦点となろう。この水準がサポート転換となれば、地合いの強さを市場参加者に印象付ける一方、下方ブレイクとなれば調整売りの進行を想定したい。後者の場合は、レンジの下限5万6500円を視野に下落拡大を警戒したい。
1時間足チャートの5万7750円と5万7200円はサポートラインに転換する可能性がある。5万7000円台では、これら2つのサポートラインの攻防に注目したい。5万7200円を下方ブレイクする場合は、5万6000円台への下落を警戒したい。
5万6600円レベルにある25日線の下方ブレイクは、5万6500円をトライするサインとなろう。この水準を今週の下限と予想する。
注目のチャート水準:サポート
・5万8000円:主要サポート水準
・5万7750円:サポート転換に注目
・5万7200円:サポート転換に注目
・5万6600円:25日線
・5万6500円:下限予想
5万9300円の攻防
前述の通り、日本225は強気地合いにある。5万8000円前後で底固めとなれば、以下にまとめたチャート水準を視野に上値トライを意識したい。
最初の焦点は5万9000円の突破だ。これを達成すれば、1時間足チャートのフィボナッチ・リトレースメント61.8%(5万9300円レベル)と76.4%(5万9600円レベル)の攻防が焦点となろう。
先週は日足ローソク足の実体ベースで、5万9300円がレジスタンスラインとして意識された。27日の市場では長い上ヒゲで5万9300円の突破に失敗した。前述の下落要因(過熱感・中東リスク)と先週の一連の動きを踏まえれば、5万9300円を今週の上限と予想する。
過熱相場と中東リスクの懸念が杞憂となれば、5万9300円を突破する可能性がある。このケースでは、5万9600円レベルのトライが視野に入ろう。
時間足のRSIで相場の過熱感、ADXでトレンドの強さを確認しながら、今回取り上げたサポート・レジスタンスの攻防での反発・反落を見極めたい。
注目のチャート水準:レジスタンス
・5万9600円:76.4%戻し
・5万9300円:上限予想、61.8%戻し
・5万9000円:節目の水準
日本225の日足チャート:2025年12月以降
TradingView提供のチャート
日本225の1時間足チャート:2月18日以降
TradingView提供のチャート
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。