米国株、上昇気流急加速 S&P500反発 トランプ氏停戦発表で先物も
S&P500は前週末比0.96%高。中東情勢の劇的な改善が好材料になった。FRBのパウエル議長の24日の議会証言で上昇圧力が強まる可能性がある。

アメリカの株式市場で上昇気流が急激に強まった。S&P500種株価指数の23日の終値は前週末比0.96%高となり、4営業日ぶりに6000台を突破。株式相場の重荷となってきた中東情勢をめぐり、イランがカタールの米軍基地に対して行った攻撃で損害が出なかったことが好感された。また、米国のドナルド・トランプ大統領は取引時間終了後、イスラエルとイランが停戦に合意したと発表。日本時間24日の金融市場ではS&P500に関連した先物商品の価格が上昇している。中東情勢の劇的な改善は投資家心理を落ち着かせており、S&P500の見通しに明るい光が差した形だ。さらに原油価格の下落も米国経済にとっての悪材料を緩和させている。こうした中、S&P500の今後の見通しをめぐっては米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が24日に行う議会証言が焦点となる。このところFRB幹部からは利下げに前向きな発言が出ており、パウエル氏の発言もS&P500の値上がり材料としてとらえられる可能性がありそうだ。
アメリカのS&P500は0.96%高 4営業日ぶりに6000を回復
S&P500(SPX)の23日の終値は6025.17で、16日以来の6000台回復となった。2月19日につけた最高値(6144.15)からは1.94%安の水準で、4か月ぶりの記録更新が視野に入っている。

イランの米国への報復攻撃は限定的か 迎撃成功でS&P500が上昇
S&P500を上昇に転じさせたのは、13日にイスラエルがイランの核施設を攻撃してから悪化してきた中東情勢が改善するとの期待だ。米メディアの報道によると、イランは23日、カタールの米空軍基地に対してミサイルを発射。しかし米軍側の迎撃によって被害は生じなかった。
株式市場では米国東部時間23日午前12時半ごろにイランのミサイル発射が伝わるとS&P500は下落。その後、午後1時ごろに迎撃成功が報じられ、S&P500は上昇に転じた。イランは米国に対してミサイル発射を事前通告していたという。中東情勢は米国が22日にイランの核施設を攻撃したことで、緊張感が高まっていたが、金融市場ではイランからの報復攻撃が限定的だったと受け止められ、投資家の安心感につながった。

トランプ氏はイスラエルとイランの停戦合意発表 S&P500の先物が値上がり
またトランプ氏は23日午後6時(日本時間24日午前7時)すぎ、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で「完全で全面的な停戦にイスラエルとイランが合意した」と公表。段階的な停戦手続きを経て、「12日戦争は正式に終わる」とした。日本時間24日の金融市場では、S&P500に関連付けられた先物商品の価格が上昇。午前10時45分段階の価格は停戦合意発表直前と比べて0.6%高となっている。

投資家心理は改善 原油価格は66ドル台まで急落
投資家心理の落ち着きはウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の値動きにも表れた。シカゴ・オプション取引所によると、VIX指数の23日の終値は前日よりも3.83%低い19.83となり、16日(19.11)以来の20割れとなっている。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど今後の値動きが荒くなることへの警戒感が強いことを示す。

さらに中東情勢の改善は原油価格の下落も引き起こした。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し、WTI原油)は日本時間24日午前10時37分段階で1バレル=66ドル台で推移。午前1時台につけていた74ドル台からは10%超安の水準だ。原油市場では石油の海上輸送の重要ルートであるホルムズ海峡をイランが封鎖する可能性への懸念が出ていたが、緊張感が一気に緩和したようだ。


FRBのパウエル議長は24日に議会証言 利下げ見通しへの言及は?
こうした中、S&P500の今後の見通しをめぐる金融市場の関心は、FRBの動向に向かいそうだ。パウエル氏は24日午前10時(日本時間24日午後11時)から下院金融サービス委員会で議会証言を行う予定で、利下げに関する発言が注目される。FRBのミシェル・ボウマン副議長は23日のチェコでの講演で、6月の物価関連指標でも物価上昇圧力が限定的であれば、次回(7月29、30日)の連邦公開市場委員会(FOMC)での「利下げを指示する」と発言。またクリストファー・ウォラー理事も20日のCNBCでのインタビューで経済の現状について、「早ければ7月」に利下げをできる状況にあると述べた。
パウエル氏自身も18日のFOMC後の記者会見でトランプ氏の高関税政策が物価上昇に与える影響について「短期的なものになる可能性がある」と言及。また中東情勢悪化に伴う原油高についても、一時的なものであれば物価への長期的な影響は生じないとの見方を示していた。23日の金融市場ではボウマン氏の発言を受けて、利下げ見通しが強まっており、パウエル氏の24日の議会証言も利下げに前向きな側面が材料視され、S&P500に上昇圧力をかける可能性がありそうだ。

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