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原油価格急落 WTIが90ドル台 イラン戦争リスク解消に期待

WTIは一時、90ドル台まで下落。ホルムズ海峡開放への期が高まっている。米国とイランの協議は決裂の余地もあるが、投資家の楽観は強い。

原油価格急落 WTIが90ドル台 イラン戦争リスク解消に期待 出所:Adobe Images

原油価格が急落している。原油先物市場の指標価格であるWTI(7月渡し)は日本時間25日午前の取引で一時、1バレル=90ドル台まで下落。前週末終値比で6%近い下落率となっている。アメリカのドナルド・トランプ大統領が週末にイランとの和平協議が最終調整に入っていると表明し、イラン側からも合意の可能性を示す情報発信が行われたことが要因だ。WTIはイランが一時的にホルムズ海峡の開放を宣言した4月17日には80ドル台まで下落したことがあり、さらに値下がりが続く可能性がある。一方、トランプ氏は最終調整に言及した後、「合意を急がない」との考えも強調。イラン側も協議には決裂の可能性があると指摘している。ただ、25日の金融市場では合意発表への楽観の強さが感じられ、イラン戦争リスクへの不安は薄れているようだ。

WTIは一時90.87ドル 前週末比5.93%安で2週間半ぶり安値

WTI(7月渡し、WTI原油)は日本時間25日午前11時22分段階で1バレル=92.16ドルで取引されている。ブルームバーグによると、午前9時49分には90.87ドルをつける場面もあった。前週末終値との比較では5.93%安にあたる水準で、米国とイランが戦争終結に向けた覚書について協議しているとの報道が材料視されていた7日(89.85ドル)以来、2週間半ぶりの安値となっている。

WTIの推移と主な出来事のグラフ

トランプ氏が和平協議の最終調整に言及 合意発表でさらなる値下がりも

原油価格を下落させたのはやはり、イラン戦争終結への期待だ。トランプ氏は日本時間24日早朝、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で和平協議の覚書が最終調整段階にあると表明し、「ホルムズ海峡は開放される」とした。イランメディアのタスニム通信も24日、双方が合意に達すれば、全面的な終戦に関する覚書が公表されると報道。その後の30日間で、イランと米国がお互いに封鎖を続けているホルムズ海峡に関する措置が実施され、同時にイランの核開発に関する60日間の協議期間が設けられるとした。

WTIは4月17日、ホルムズ海峡開放への期待で、1バレル=80.56ドルまで急落する局面があった。イスラエルとレバノンの停戦が米国東部時間の16日に発効した後、イランのアッバス・アラグチ外相がホルムズ海峡が民間船舶に対して「完全に開放される」と宣言したことが要因だった。このため足元のWTIの値動きでも、ホルムズ海峡の開放が発表されれば、WTIにはさらに値下がりする余地がありそうだ。4月のホルムズ海峡封鎖宣言は、18日になって撤回され、原油価格には改めて上昇圧力がかかった。

和平合意には不透明感も 共和党内からも「深い懸念」との声

一方、米国とイランの和平協議が覚書の公表に至るかどうかには不透明感もある。トランプ氏は日本時間24日午後11時台にSNSヘの投稿で、米国の交渉団に対して「合意を急がないように伝えた」とも述べている。米国によるイランに対する海上封鎖が効果を上げる中、時間をかけることでイランへの圧力は強まっていくとの考えのようだ。

またイランとの合意についてはトランプ氏を支持する共和党内から不安の声があがっている。テッド・クルズ上院議員はトランプ氏が覚書の最終調整を表明した約4時間後、SNSのXへの投稿で合意について「深い懸念」を抱いていると投稿。早急な合意の結果、イランによるウラン濃縮が可能になり、イランがホルムズ海峡を事実上管理することになれば、「破滅的な間違い」を犯すことになるとした。クルズ氏の地元のテキサス州では26日に共和党の上院選挙予備選の決選投票が行われ、現職の共和党重鎮、ジョン・コーニン氏と、トランプ氏が支持する州司法長官のケン・パクストン氏が上院議員候補の座を争う。

同時にイラン側も覚書の合意を楽観しているわけではないようだ。タスニム通信は24日、経済制裁に基づくイランの資産に対する凍結措置の解除など関する米国の対応が障害になっていると報道。「合意に到達しない可能性は現時点でもある」とした。

投資家は和平合意発表に期待 日経平均株価は6万5000円台まで上昇

ただ、米国とイランの双方から積極的な情報発信が行われていることは、最終合意に向けて少しでも有利な条件を引き出そうとする交渉術とみることも可能で、金融市場では合意発表への期待が高まっている。日本時間25日午前の東京株式市場では、日経平均株価(N225)が前週末比から2000円以上高い6万5000円台に到達。シカゴ・マーカンタイル取引所ではS&P500種株価指数(SPX)に関連した先物商品が、前週末比0.8%程度高い水準で取引されている。このためWTIの今後の見通しをめぐっても、ホルムズ海峡開放への期待が下落圧力を強める展開が続きそうだ。


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