テスラ、株価下落も 4-6月期も販売不振予想 トランプ氏と対立激化
テスラの4-6月期の販売台数は12%減の見通し。下半期の新型車投入に期待がかかるが、EV補助金の廃止は強い逆風になる可能性がある。

電気自動車(EV)大手のテスラの株価に下落のおそれが出ている。テスラの株価は2025年上半期末にあたる6月30日の終値で前年末比21.34%安。イーロン・マスクCEOとアメリカのドナルド・トランプ大統領との決別が悪材料となり、4月中旬以降の株式市場の急反発の流れに乗りきれなかった形だ。注目された無人運転の有料サービスは22日に実現したものの、内容に先進性は乏しく、株価の浮上は一時的に終わっている。こうした中、テスラが7月2日に発表すると見込まれる2025年4-6月期の販売台数は前年同期比12%減と予想されており、販売不振脱却にはしばらく時間がかかりそうだ。一方、テスラが投入を公約してきた低価格な新型車は実現が遅れているものの、下半期に販売が始まれば業績にとっては追い風。ただ、米議会でトランプ氏を支える共和党がEV購入時の補助金廃止を含んだ法案審議を進める中、マスク氏とトランプ氏の対立も激しくなっており、テスラの株価に対する下押し圧力は残り続けそうだ。
テスラの株価は2025年上半期21.34%安 マグニフィセント・セブンで最悪
テスラの株価(TSLA)の30日の終値は317.66ドル。ブルームバーグによると、21.34%安という上半期の騰落率は「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の中で最も悪い成績で株価の不振が際立った6か月だったといえる。

マスク氏とトランプ氏の決別で株価急落 自動運転タクシーは期待外れ
テスラの株価はトランプ氏が2024年11月5日の大統領選挙に勝利した後、マスク氏とトランプ氏の緊密な関係が評価されて上昇。12月17日には479.86ドルまで値上がりしたが、トランプ氏が相互関税を発表した後の2025年4月8日には221.86ドルまで値下がりした。その後は株式市場全体の反発の流れに乗り、5月29日には358.43ドルまで盛り返したものの、6月5日にマスク氏とトランプ氏の決別が決定的になると、株価は改めて急落した。
テスラの株価をめぐっては22日にテキサス州オースティンで自動運転タクシー「ロボタクシー」のサービスが始まるという好材料もあった。翌23日のテスラの株価は前週末比8.23%高と急騰している。しかしオースティンでのサービスは、マスク氏が1月29日の決算会見で説明した「人間の監視を必要としない完全自動運転」ではなく、助手席に安全対応のためのドライバーが同乗する運用。それでもスピード違反や対向車線への進入といった交通違反があったと報じられており、テスラの株価は24日から30日にかけての5営業日続落で8.90%安となっている。
2025年4-6月期の販売は12%減の見通し 「低価格な新型車」投入なら増加か
こうした中、テスラが7月2日に発表するとみられる4-6月期の販売台数は悪い数字になりそうだ。ブルームバーグがまとめた市場予想では、販売台数は39万0595台となり、前年同月比12.0%減の水準が見込まれている。1-3月期の13.0%減より低下率が小さくなるとはいえ、本格回復への期待を強める数字とはいえない。発表される実績が予想を下回れば、テスラの株価に下落圧力がかかることは避けられなさそうだ。

一方、テスラの株価にとっては、テスラがかねてから投入を目指してきた「より低価格な新型車」が上昇への起爆剤となる可能性がある。4月22日の決算発表段階でも維持していた2025年上半期の投入は実現しなかったものの、今後、下半期の投入に向けた具体的な情報発信が出てくれば、販売台数が大きく上向くとの期待が株価を押し上げる可能性がある。
EV購入補助金は9月末で終了か マスク氏とトランプ氏が減税法案めぐり激しい応酬
ただ、EV販売にはトランプ政権の政策対応で、強い逆風が吹く可能性が高まっている。共和党が上院で審議を進めている債務上限の引き上げを含めた減税関連法案は1日にも本会議での採決にかけられる見通し。ブルームバーグによると、EV購入時の7500ドルの税額控除は9月30日に打ち切りになる内容になっている。法案では当初、12月末での打ち切りが定められていたが、審議の過程で前倒しが盛り込まれたという。上院で可決されれば、改めて下院での採決が必要となる。
マスク氏は6月30日のXへの投稿で、減税関連法案が長期債務を増やすことを踏まえ、選挙期間中は歳出削減を約束しながら当選後には「史上最大の債務の増加」に賛成するすべての議員は「首をくくるべきだ」と激しく批判。こうした議員は次の予備選挙で議席を失うことになるだろうとした。これに対してトランプ氏は1日未明、自身のSNSトゥルースソーシャルへ投稿で「イーロンはあらゆる人類の中で、歴史上最も多くの補助金を受け取ってきたかもしれない」とし、補助金がなければ「おそらく店をたたんで、故郷の南アフリカに帰らねばならないだろう」と手厳しく応戦している。
マスク氏は2024年7月23日の決算会見では、大統領選挙を戦っていたトランプ氏がEV補助金廃止を公約していることに関連し、「競合他社への打撃は壊滅的だろうが、テスラへの打撃はわずなものになる」としていた。しかし実際に補助金を失うことになれば、低価格な新型車の販売促進効果が大きく削がれることは間違いなく、テスラの株価にとっても打撃になりそうだ。
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