テスラ、倍増株価の再点火なるか 22日決算 マスク氏の構想に期待
テスラが22日に行う7-9月期決算発表はマスク氏の言動が焦点。AIロボット企業としての絵姿を明確にできるかが注目される。

電気自動車(EV)大手のテスラが22日の取引時間終了後に行う2025年7-9月期決算発表はイーロン・マスクCEOのビジョンに注目が集まりそうだ。テスラの株価は4月の底値から約半年で約2倍の水準まで跳ね上がってはいるが、特殊要因による販売増加や、より低価格な新型車の投入といった材料はすでに消化済み。10月以降の販売環境が厳しくなることは間違いなく、22日の発表内容にサプライズがなければ、株価に下落圧力がかかる可能性がある。一方、マスク氏の経営手腕に対する投資家の期待は根強く、マスク氏が目指すテスラをEVメーカーから人工知能(AI)ロボット企業へと進化させる構想の実現性を裏付ける発言があれば、投資家の期待に改めて火がつく可能性もありそうだ。
テスラの7-9月期決算は3四半期ぶり増収の見通し
テスラは米国東部時間22日午後5時30分に決算会見を開く。テスラの7-9月期決算に関してブルームバーグがまとめた市場予想では、総収入は前年同期比0.6%増の253.27億ドルになる見通し。予想通りであれば3四半期ぶりの増収となる。また、テスラ決算で投資家が注目する調整ベースの1株当たり利益(EPS)は30.6%減の0.50ドルと予想されている。テスラは直近22回の四半期決算のうち前回を含む10回で総収入が市場予想を超えられなかった。また1株当たり利益でも前回を含む10回で市場予想をクリアできなかった。

テスラの株価は半年で約2倍に 割高感は6年ぶりの高さ
テスラの株価(TSLA)の14日の終値は429.24ドルで、2024年末比では6.29%高。ドナルド・トランプ大統領による相互関税一部停止の前日にあたる4月8日につけた底値(221.86ドル)からは93.47%高となっている。10月1日に付けた年初来高値(459.46ドル)は、底値の約2.1倍にあたる水準だった。テスラの株価はマスク氏とトランプ氏の決別が明らかになった6月以降は上値が抑えられていたが、9月にテスラの取締役会がマスク氏に対する巨額の報酬案を公表したことで上昇に火が付いた。

ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は14日時点で198.2倍程度。9月30日の段階では219.0倍にまで上がっており、2019年10月18日(222.5倍)以来の高水準だ。アナリストが提示する目標株価の平均は354.53ドルで、現状よりも17%ほど低い。62人のアナリストのうち、29人は買い、17人は維持を推奨する一方、16人は売りを勧めている。
テスラの販売台数は駆け込み需要で増加 7日には低価格な新型車も発表
テスラの7-9月期の総収入が3四半期ぶりの増収になると見込まれているのは、米国でのEV購入時の補助金制度が9月末で打ち切りになる中、駆け込み需要が発生したためだ。テスラが2日に発表済みの7-9月期の販売台数は前年同期比7.4%増の49万7099台で、3四半期ぶりの販売増となっていた。

また、テスラの販売をめぐっては、投資家が待ち望んでいた「より低価格な新型車」が7日に発表されるというニュースもあった。モデル3の廉価版である「モデル3スタンダード」は販売価格が3万6990ドルからに設定されたほか、モデルYの廉価版である「モデルYスタンダード」も3万9990ドルからの価格で発表されている。同時に発表された「モデル3プレミアム」や「モデルYプレミアム」との比較では、5000-5500ドル低い価格だ。
10月以降の販売は苦戦か マスク氏のAIロボットシフト構想への期待が株価を左右
とはいえ、米国での補助金が打ち切られた10月以降、テスラの販売が苦戦することは避けられない。また低価格な新型車も市場で期待されたような3万ドルを下回る価格設定ではなく、テスラの株価は発表日の7日に前日比4.45%安となった。テスラの販売台数は2024年の通年で前年比1.07%減となった後、2025年1-6月期は前年同期比13.2%減となって下落が加速している。7-9月期の販売増加が特殊要因による一時的な好調に終わり、10-12月期の販売が改めて不振に陥るおそれもありそうだ。
一方、7-9月期決算発表をめぐっては、テスラの株価がマスク氏の経営手腕への期待で活気づくきっかけになる展開も考えられる。4月22日の1-3月期決算発表では、トランプ氏の高関税政策による世界経済の混乱が続く中、2025年通期の販売見通しを撤回するという厳しい経営環境にも関わらず、マスク氏がトランプ政権のアドバイザーとしての役割にあてる時間を減らすと述べたことが好材料視されて株価が上昇した。今回の10月22日の決算発表でも、マスク氏が目指す、テスラの事業の軸足をEVからAIを搭載したロボットにシフトさせる構想の実現可能性を高める材料が出れば、株価上昇の要因になる可能性がある。
マスク氏はテスラについて、AIを自動運転EVやロボットといった形で現実世界で活用する点では「圧倒的に優位なポジションにある」として事業の成長性に自信を示している。テスラの今後の見通しは決算会見でのマスク氏の言動に左右されることになりそうだ。
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