テスラ、株価上昇再加速なるか 販売減少止まらず 新型車が起爆剤?
テスラの株価は4月までの急落分の半分を取り戻した後に失速。6月投入予定の低価格な新型車が株価上昇につながる可能性があるが、不透明感も拭えない。

電気自動車(EV)大手のテスラの株価が勢いを失っている。2日の終値は2営業日続落の342ドル。4月下旬以降の株価上昇は2024年12月から2025年4月にかけての急落分の半値戻しにつながったとはいえ、足元ではブレーキがかかった。テスラは4月以降も販売不振が続いており、投資家の不安は高まっているもようだ。一方、テスラはイーロン・マスクCEOが企業経営に集中すると表明していることが好材料視されているほか、6月中には低価格な新型車の投入という待望の好材料が飛び込んでくる可能性がある。さらに1月に計画を発表した完全自動運転の有料サービスが6月12日から始まるとも報じられており、株価上昇が再加速することも想定される。ただ、新型車投入などの前向きなニュースが出た後は、投資家の関心が改めて業績に向かうことも考えられ、テスラの株価の今後の見通しは明るいとばかりはいえない。
テスラの株価は4月までの急落の半値戻しを達成後に失速
テスラの株価(TSLA)の2日の終値は前週末比1.09%安の342.69ドル。前週末の3.34%安に続く、2営業日続落だった。テスラの株価は5月27日に362.89ドルまで上昇。2024年12月17日の最高値(479.86ドル)から2025年4月8日の直近の安値(221.86ドル)までの下落幅の54.7%を取り戻していたが、失速した形となった。

テスラの販売不振は継続 4月は欧州で49%減少
テスラの株価の悪材料となっているのは販売不振の継続だ。欧州自動車工業会(ACEA)が5月27日に発表した販売データによると、テスラの欧州での4月の販売台数は前年同期比49.0%減の7261台で、4か月連続での大幅なマイナス。また中国乗用車協会(CPCA)の4月のデータでもテスラの販売台数は6.0%減となっている。さらに5月の販売データでみても、フランスでの販売台数が前年同月比67%減だったと報じられており、販売台数の減少が止まっていない形だ。

マスク氏のトランプ政権への関与も販売台数減少の要因に
テスラの販売台数は2024年に前年比1.07%減となった後、2025年1-3月期は前年同期比13.0%減となり、不振が深まっていた。SUVタイブのモデルYの刷新のため、世界4工場の改装を行ったことで生産台数が落ちたことに加え、マスク氏がドナルド・トランプ政権のアドバイザーとして連邦政府の人員削減の陣頭指揮を執ったことなどが不買運動を招いたことも業績の逆風となった。

マスク氏の経営集中は株価の好材料 「低価格な新型車」は6月中に正式発表か
一方、テスラの株価が4月の安値からの反発を進めた背景には、マスク氏がトランプ政権への関与を少なくし、経営に集中すると表明していることがある。マスク氏がトランプ氏のアドバイザーとしての役割に割く時間を大幅に少なくすると述べた4月22日の1-3月期決算発表以降、足元までに、テスラの株価は44.01%上昇した。
こうした中、テスラの株価上昇の継続は、販売台数復活への期待が高まるかどうかにかかってきそうだ。なかでも投資家の注目は「低価格な新型車」の6月中の投入の可否に集まっている。マスク氏は約1年前にあたる2024年4月23日の決算会見で、低価格モデルを含む次世代車を2025年前半に投入すると表明。2025年4月の決算発表時も「2025年前半の生産開始が軌道に乗っている」としていた。公約が守られるのであれば6月中に何らかの正式発表があるとみられ、株価上昇のきっかけになる可能性がある。
完全自動運転サービスは6月12日から? 株価上昇の見通しには波乱も
また、マスク氏は5月29日、SNSのXへの投稿で「この数日間、テキサス州オースティンの公道で、自動運転(運転席には誰もいない)のモデルYのテスト走行を行ってきた」と明かした。テスラが1月29日の決算会見で表明した、人間の監視を必要としない完全自動運転を有料サービスとしてオースティンで立ち上げるとの計画が順調に進んでいるとみられる。ブルームバーグは関係者の話として、6月12日のサービス開始が計画されていると報じている。
ただ、テスラの新型車の価格設定などが投資家の期待に添わない内容であれば、失望感からテスラの株価下落につながるおそれもある。トランプ氏の高関税政策が世界経済の見通しを悪くする中、新型車がどこまで販売台数の回復につながるかは不透明で、新型車発表後は、好材料が出つくしたとみられることも考えられそうだ。テスラの株価は将来への期待と不安で大きく揺れ動くだけに、株価の今後の見通しが波乱含みになる可能性もある。
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