米国株、注目決算後の見通しは? S&P500上昇 エヌビディアは転落
S&P500は5週続伸で最高値。一方、大手ハイテク株は明暗が分かれた。ホルムズ海峡封鎖の長期化懸念は残り、今後は上値が重くなる可能性がある。
アメリカの株式市場に安心感が広がっている。S&P500種株価指数の1日の終値は1週間前比0.91%高で5週続伸。大手ハイテク各社の2026年1-3月期決算発表を受けた30日と1日には、連日の最高値更新を果たした。1日には米国とイランの和平合意への期待が高まったことも株式市場にとっての追い風になったようだ。ただ、大手ハイテク各社の株価の値動きは明暗が分かれている。好決算を発表したアルファベットが週次12%近い急騰をみせる一方、人工知能(AI)関連投資の収益化が不安視されたメタ・プラットフォームズは10%近い下落。また20日に決算発表を控える半導体大手NVIDIA(エヌビディア)は1日まで4日続落しており、半導体市場での独り勝ち状態の揺らぎが意識された。さらにイランでの戦争がもたらす米国経済への悪影響がこれから表面化する恐れがあることや、S&P500の割安感が消失していることも不安材料といえる。S&P500の今後の値動きをめぐっては、週明け以降に相次ぐ重要経済指標の発表を控える中、上値の重さが感じられる展開も想定されそうだ。
アメリカのS&P500は週次0.29%高 大手ハイテク決算をこなして5週続伸
S&P500(SPX)の1日の終値は前日比では0.29%高の7230.12。「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社のうち4社の決算発表を受けた30日は1.02%高となり、アップルの決算を受けた翌1日の上昇とあわせて2日続伸となった。ブルームバーグによると、週次での上昇(0.91%高)はホルムズ海峡封鎖解除への期待が出た3月30日-4月3日週(3.36%高)以来、5週連続だ。
また1日のS&P500の上昇は米国とイランの和平実現への期待も背景となった。イラン国営メディアは米国東部時間1日朝、イランが30日夕方に仲介国のパキスタンに対して米国宛ての文書を送ったと報道。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は関係者の話として、イランはホルムズ海峡封鎖解除をめぐる協議を、米国によるイランに対する海上封鎖の解除などについての協議と同時に進める案を示したという。イランは17日に一度はホルムズ海峡の開放を宣言し、米国との協議に臨む姿勢を示していたが、翌18日には米国が海上封鎖を続けるとしたことを理由にホルムズ海峡の再封鎖を決めていた。
アルファベットは週次11.99%高 メタは週次9.82%安で明暗
ただ、S&P500への影響度が大きい大手ハイテク企業自身の株価の値動きをみれば明暗が鮮明で、明るいムードとばかりは言い切れない。アルファベット(GOOGL)が29日の取引時間終了後に発表した1-3月期決算は減益予想を覆す大幅な増益。同時に、AIサービス拡大のために2026年通期の設備投資見通しを引き上げ、コストアップを予感させたが、翌30日の株価は前日比9.96%高と上昇。1日までの週次でも11.99%高という急騰を演じた。一方、同じ時間帯に決算を発表したメタ・プラットフォームズ(META)も市場予想を超える増益と設備投資見通しの引き上げを発表したが、広告事業頼みのビジネスモデルの中では巨額のAI投資の十分な収益化は困難との不安が意識され、翌30日の株価は前日比8.55%安。1日までの週次でも9.82%安に沈んだ。同じく29日に決算を発表したマイクロソフト(MSFT)も週次2.40%安となっている。
エヌビディアは週次4.72%安 AI向け半導体で競合激化
また20日に2026年2-4月期決算を発表するエヌビディアの株価は1日までの週次で4.72%安。1日までの4日続落の間は8.38%安で、S&P500の足を引っ張った。エヌビディアはこれまでAI開発などに転用可能な、高速計算の同時処理を得意とする画像処理半導体(GPU)の圧倒的な人気で株価が上昇してきたが、アルファベットがAI向けに開発を進めてきたカスタム半導体(ASIC)のTPUなどとの競合が懸念材料として浮上。半導体市場での独り勝ちが揺らいできた。また、このところの株式市場では、高度なAIサービスの展開には複雑な計算処理が可能な中央演算装置(CPU)の重要性も増していることが材料視され、CPUの名門企業であるインテル(INTC)の株価が急騰している。インテルの株価は1日までの週次で20.69%高。3月30日の底値から1か月あまりで株価は2.4倍となった。
ホルムズ海峡封鎖長期化への懸念は継続 米国経済への悪影響はこれからか
さらに1日のS&P500への追い風となった米国とイランの和平への期待には,肩透かしに終わるリスクがある。ドナルド・トランプ大統領は1日、記者団に対して「イランは交渉したがっているが、私は満足していない」と発言。膠着状態がさらに長期化する可能性がありそうだ。こうした中、ホルムズ海峡封鎖がもたらす経済への悪影響はこれから出てくる恐れも拭えない。米サプライマネジメント協会(ISM)が1日に発表した4月の製造業の景況感指数(PMI)は52.7で前月(3月)から横ばい。ブルームバーグがまとめた市場予想の53.2を下回った。企業からはイラン戦争の影響の顕在化について、「近づいてきていることを実感している」「価格や供給維持への影響は厳しいものになるだろう」といった声が出ている。
S&P500の割安感消失は見通しに影 4月雇用統計などにも注目
S&P500の今後の値動きをめぐっては、これまでの急騰で割安感が薄れてしまっていることも上昇にブレーキをかける要因だ。ブルームバーグによると、S&P500の水準と構成銘柄の今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)から算出される株価収益率(PER)は1日段階で21.7倍程度で、株式市場でのAIブームが本格化した2023年以降の平均値(21.2倍)を上回っている。
米国では8日に4月の雇用統計の発表を控えているほか、これに先立っては5日の3月雇用動態調査(JOLTS)など注目度の高い労働市場関連の経済指標の発表が相次ぐ。AIブームをめぐる明暗やホルムズ海峡封鎖への不安もあいまって、これまで最高値更新を繰り返してきたS&P500の上昇に一服感が出る筋書きも考えられそうだ。
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