米国株、日米合意で上昇 S&P500三連騰 ハイテク決算は依然不安
S&P500は23日に0.78%高。日米関税協議の合意が好材料になった。取引時間終了後の決算発表はアルファベットとテスラで明暗が分かれている。

アメリカの株式市場に追い風が重なった。S&P500種株価指数の23日の終値は前日比0.78%高となり、3日連続で最高値を更新。前日夜に米国と日本の関税協議での合意が発表されたほか、欧州連合(EU)との協議でも前進への期待が膨らんだためだ。株式市場では半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が4営業日ぶりに反発し、投資家心理も改善している。ただ、大手ハイテク企業の2025年4-6月期決算に対する警戒は依然として根強い。23日の取引時間終了後に発表されたアルファベットとテスラの決算をめぐっては、時間外取引でアルファベットの株価が上昇する一方、テスラの株価は大きく下落した。S&P500の先物商品は日本時間24日の取引で小幅な値上がりに留まっており、S&P500の上昇加速への機運は高まっていない。
アメリカのS&P500は0.78%高 3日連続で最高値を更新
S&P500(SPX)の23日の終値は6358.91。前日比での上昇率(0.78%高)は独立記念日前日にあたる3日(0.83%高)以来の大きさとなった。ブルームバーグによると、S&P500は21日からの3日連騰でいずれも最高値を更新しており、2024年末比での上昇率は8.11%高まで上がってきた。

日米の関税協議合意が追い風に 米国とEUの協議も15%で決着か
S&P500を上昇させたのは米国東部時間の22日夜に発表された米国と日本の関税協議での合意だ。日本製品に対する相互関税の税率は15%となり、ドナルド・トランプ大統領が7日に提示した25%から大きく低下。さらに相互関税とは別枠で課している25%の自動車関税については、日本からの輸入車は既存の関税も含めた税率が15%になる。さらに日本企業の米国への投資を後押しするため最大5500億ドルの投資枠が設けられるという。
関税協議をめぐってはEUとの協議でも前進が期待されている。英紙フィナンシャルタイムズ(FT)は23日の取引時間中、3人の関係者の話として「米国とEUが15%関税での合意に近づいている」と報道。トランプ氏は12日にEUに対して8月1日から相互関税の税率を30%にすると通告していたが、日本と同じ水準までの引き下げが見込まれている形だ。また、米国のスコット・ベッセント財務長官は22日、FOXビジネスでのインタビューで、28日と29日にスウェーデンのストックホルムで中国との協議を行うと言及。8月12日に期限切れとなる中国との関税大幅引き下げ合意の今後について話し合うとした。
エヌビディアの株価は4日ぶり反発の2.25%高 AMDやアームも上昇
こうした中、23日の株式市場ではS&P500への影響度が大きい大手ハイテク株が値上がり。ブルームバーグによると、エヌビディアの株価( NVDA)は前日比2.25%高となり、4営業日ぶりに反発した。30日に4-6月期決算を発表するメタ・プラットフォームズ(META)も1.24%高と好調だ。このほかマグニフィセント・セブンと呼ばれる7銘柄の中では、アマゾン・コム(AMZN)、テスラ(TSLA)、マイクロソフト(MSFT)の株価が値上がりしている。

エヌビディア以外の半導体株ではアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価が23日の終値で前日比2.54%高。ブロードコム(AVGO)も1.83%高となっている。S&P500構成銘柄ではないものの、30日に4-6月期決算を発表する英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)も1.78%高と反発した。

VIX指数は5か月ぶりの低さに 投資家心理が改善
関税協議の前進は投資家心理の改善につながっている。23日の金融市場ではウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)が大きく低下。シカゴ・オプション取引所によると、VIXの23日の終値は前日よりも6.85%低い15.37となり、2月19日(15.27)以来5か月ぶりの低さ。下落率はイスラエルとイランの停戦合意が発表された翌日にあたる6月24日(11.85%低下)以来の大きさとなった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。

アルファベットとテスラの決算は明暗 S&P500の先物は勢いづかず
ただ、23日の取引時間終了後に発表されたアルファベットとテスラの4-6月期決算はS&P500への期待を勢いづかせるには至っていない。
アルファベットの4-6月期決算は総収入と1株当たり利益(EPS)がともにブルームバーグがまとめた市場予想を上回る水準。なかでも総収入の伸び率は前年同期比13.8%増となり、前四半期(1-3月期)の12.0%から大きく加速した。一方では2025年の設備投資額の見通しを850億ドルに引き上げたことが収益性への不安材料となったが、アルファベットの株価(GOOGL)は23日の時間外取引で直近の終値から2%超高の水準で推移した。
これに対してテスラの株価は時間外取引で、直近の終値から4%超の下落となった。電気自動車(EV)の販売不振が続く中、4-6月期の総収入と1株当たり利益がともに市場予想を下回ったためだ。イーロン・マスクCEOは決算会見で、今後数四半期の業績について「厳しくなる」と述べた。
ブルームバーグによると、S&P500に関連する先物商品の価格は日本時間24日午前10時43分の段階で、アルファベットの決算が発表された午前5時段階との比較で0.17%高。アルファベットの好決算がAIブーム継続期待を裏付けたとはいえ、上値の重さを感じさせている。S&P500の今後の見通しは、米国とEUや中国との関税協議の進具体的な進展や、30日以降の大手ハイテク企業の決算発表でも左右されることになりそうだ。

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

こんなに豊富?IG証券のCFD銘柄は17,000以上
外国為替、日本株・外国株、株価指数、債券先物、商品(エネルギー、農産物、貴金属)など多彩な資産クラスをFX取引、CFD、バイナリーオプション、ノックアウト・オプションで提供
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。