米国株 見通し(10/21):S&P500、6800を視野に強気相場維持
米国株の週間展望。焦点は企業決算。投資家の期待を上回る内容が続けば、S&P500は6800のトライが焦点に。株価指数CFD「米国500」の週間予想レンジは6600~6800。注目のチャート水準についてIG証券のアナリストが詳細解説。

要点
米中対立の懸念と地銀の信用不安が後退し、週明けの米株式市場は上昇スタートとなった。今週から米企業決算が本格化する。ネットフリックスやテスラなど、主要企業の決算が投資家の期待を上回れば強気相場を下支えしよう。S&P500は、次の節目水準6800が視野に入る。同指数の株価指数CFD「米国500」も同じ状況にある。週間予想レンジは6600~6800。上限の6800突破も想定しておきたい。
強気相場を維持する米国株
現在、米国の株式市場では2つのリスク要因がくすぶる。一つは、米中貿易摩擦が再燃の兆しを見せていることである。しかし、ベッセント米財務長官は17日、今週マレーシアで中国の何立峰副首相と会談する見通しを示した。トランプ米大統領も中国の輸入品に100%の追加関税を課すことは持続可能ではないと述べた。また、今月末に韓国で開催する予定の米中首脳会談に向けて調整が進んでいるとの見方も示した。
トランプ米政権が協議継続の姿勢を示していることは、米国株の下支え要因である。実際、先週の主要な米株価指数は上昇で終えた。そして週明けの米株式市場でも主要3指数が上昇。中小型株のラッセル2000が前週末比で約2%高と最も上昇した。
米株価指数の変動率:10月20日

ブルームバーグのデータを基に作成
もう一つのリスク要因は、米地銀の信用不安である。2023年前半に地銀の破綻が連鎖しKBW銀行株指数が急落した。しかし、米株式市場の時価総額の約80%をカバーするS&P500の影響は限定的だった(下のチャートを参照)。
今回の地銀不安も米株安の要因となった。16日の市場でKBW銀行株指数は前日比3.64%の下落となった。しかし、翌17日の市場では0.56%と小幅ながらも反発した。そして週明け20日の市場では2%超の上昇で続伸した。現状、地銀不安は一過性で終わる可能性がある。
KBW銀行株指数とS&P500の動向:2023年3月~5月末

ブルームバーグのデータを基に作成
注目すべきはボラティリティ指数の動きである。前述のリスク要因を受け VIX指数とVXN指数は一時的に上昇した。しかし、4月のトランプ関税ショック時に記録した50超えの水準には遠く及ばず、VIX指数は20日、警戒水準の20を再び下回った。先週17日から週明けにかけての株価指数と銀行株指数の動きも考えるならば、米国株は強気相場を維持している。
VIX指数とVXN指数の日足チャート:2025年3月以降

ブルームバーグのデータを基に作成
焦点は企業決算、ネットフリックスとテスラが3Q決算発表
今週から米企業決算が本格化する。21日の引け後に動画配信大手のネットフリックス(NFLX)、22日の引け後に電気自動車大手のテスラ(TSLA)が第3四半期(7-9月期、3Q)の決算を発表する。
ブルームバーグがまとめたアナリスト予想によれば、ネットフリックスの3Q売上高成長率は約17%が見込まれている。ウェンズデーやボクシングのカネロ対クロフォード戦など充実したコンテンツ配信で加入者の増加が見込まれている。また、Amazon DSPとの提携により、第4四半期(4Q)以降の広告事業の成長が期待されている。一方、テスラは3Qの世界納車台数が49万7099台と、四半期として過去最高を記録した。しかし、欧州の需要減退、中国企業との競争激化、そして価格の引き下げ戦略が利益を圧迫すると予想されている。業績見通し(ガイダンス)で厳しい見方を覆すことができるかが焦点となろう。
また、今週はコカ・コーラ(KO)やスリーエム(MMM)などの大手企業が続々と決算を発表する。主要企業の決算が総じて投資家の期待に応える内容となれば、強気地合いを下支えするだろう。
ネットフリックスとテスラのアナリスト予想:売上高・1株利益

ブルームバーグがまとめたアナリスト予想 / 10月21日時点
※売上高:100万USD、()は前年同期比成長率
米国500のチャート分析
予想レンジの上限:6800
株価指数CFD「米国500」は上昇基調のトレンドチャネルを維持し、25日線を上回る状況にある(日足チャート参照)。一時ローソク足を下抜けた一目均衡表の遅行スパンが再びローソク足の上方に位置しており、RSIが50以上の水準で移動平均線を再び上回る状況も踏まえると、米国500は強気地合いを維持している。
今日以降も強気相場を維持する場合、目先の焦点はレジスタンスラインとして意識されている6745の突破となろう。6700や6720に続き6745を突破すれば、10月9日の高値6765のトライを想定したい(1時間足チャートを参照)。
米国500が6765を上方ブレイクすれば、S&P500と同じく次の節目の水準6800のトライが焦点に浮上しよう。6800の水準は、2025年予想のレポートの中で今年の上限として取り上げた水準である。
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・2025年S&P500の見通し:成長見通し次第で6800が視野に、インフレ再燃の急落を警戒
想定を超える上昇で米国500が予想レンジの上限である6800を突破し、かつこの水準がサポートラインへ転換する場合は、フィボナッチ・エクステンション100%の水準6903を視野に上昇拡大を想定したい。6850の上方ブレイクは、6900をトライするサインと捉えたい。
レジスタンスライン
・6903:フィボナッチ・エクステンション100%(日足)
・6850:レジスタンスライン(日足)
・6800:予想レンジの上限(日足)
・6765:10月9日の高値水準(1時間足、日足)
・6745:レジスタンス転換の可能性あり(1時間足)
予想レンジの下限:6600
主要企業の決算で投資家の期待を下回る内容が続く場合は、米株高の調整売り要因となろう。この場合、米国500は以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。
焦点は、サポートラインとして意識されている6600の維持となろう。この水準には現在、50日線が上昇している。直近の動きとテクニカルの面から、6600を今週の下限と想定したい。25日線の下方ブレイクは、6600をトライするサインの一つと捉えたい。サポートラインに転換する可能性がある6720の下方ブレイクは、25日線をトライするサインとなろう。
20日の株高で可能性は低下したが、6600を下方ブレイクする展開も想定しておきたい。この場合は6550の維持が焦点となろう。9月17日、10月14日と17日の下落局面では、いずれもこの水準で長い下ヒゲが示現し相場が急反発した。6600以上にサポートラインとして意識される可能性が高い。今週22日と23日に2つのトレンドチャネルの下限が6550と交差する。この状況も、6550がサポートラインとして意識される可能性を高めている。
サポートライン
・6720:サポート転換の可能性あり(日足)
・6674:25日線(日足)
・6600:予想レンジの下限(日足)
・6550:サポートライン、トレンドチャネル下限(日足)
米国500の日足チャート:2025年7月以降

TradingView提供のチャート
米国500の1時間足チャート:10月7日以降

TradingView提供のチャート
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