S&P500、年内10%上昇予想も 週次続伸 米EU関税合意にも期待
S&P500は連日の最高値で週次1.46%高。日米関税合意と大手ハイテク株の上昇が好感された。週明け以降の相次ぐ重要イベントを前に楽観ムードが強い。

アメリカの株式市場で楽観ムードが強まっている。S&P500種株価指数の25日の終値は1週間前比で1.46%高。連日の最高値更新で2週続伸を果たした。日米の関税協議での合意発表が好感されたことに加え、決算発表シーズンに入った大手ハイテク株が人工知能(AI)ブーム継続期待を追い風にして値上がりを続けていることが貢献している。金融市場ではS&P500の年末目標を足元から約10%高にあたる7000に引き上げる動きもあり、強気の度合いが増しているようだ。こうした中、ドナルド・トランプ大統領は27日に欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長と会談する予定。米国と欧州連合(EU)の関税協議が決着すれば、S&P500への上昇圧力がさらに増しそうだ。ただ、S&P500の割高感は明らか。週明け以降は連邦公開市場委員会(FOMC)をはじめとする重要日程が目白押しで、下落圧力が強まる可能性も残されている。
アメリカのS&P500は週次1.46%高 5日連続での最高値更新で上昇機運強まる
S&P500(SPX)の25日の終値は前日比では0.40%高の6388.64。21日からの5日続伸はいずれも最高値を塗り替えており、米国株の上昇機運が強まっている。ブルームバーグによると、週次での上昇は2週連続。独立記念日後の15営業日での上昇率は1.74%高となっている。

日米関税協議の合意が好材料に 好決算のアルファベットなど大手ハイテク株が上昇
S&P500への強気度は23日を境に大きく高まった。トランプ氏は前日の22日夜に日本との関税協議での合意を発表。相互関税や日本からの輸入車にかける税率を15%としたうえで日本から最大5500億ドルの投資を受けるという内容は、株式市場への悪影響が大きく軽減されるとの見方につながった。さらに23日の取引時間終了後にはアルファベットが2025年4-6月期決算を発表。広告事業とクラウド事業の成長がともに加速する好決算でAIブームの継続性を裏付けた。
アルファベットの株価(GOOGL)は25日までの週次で4.39%高となり、5週続伸。アルファベット同様にクラウドを通じてAIサービスを提供しているアマゾン・コム(AMZN)も週次2.35%高、マイクロソフト(MSFT)も週次0.72%高となった。半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)も週次0.63%高となっている。このほかメタ・プラットフォームズ(META)も週次1.29%高、アップル(AAPL)も1.28%高と好調だ。これに対してアルファベットと同じ23日に4-6月期決算を発表したテスラ(TSLA)は電気自動車(EV)販売減少を食い止める道筋を示せず、週次4.12%安となっている。

AIブーム継続期待で半導体株も値上がり VIX指数は5か月半ぶりの15割れ
AIブーム継続への期待はエヌビディア以外の半導体株も押し上げた。アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価は25日までの週次で6.04%高。3週続伸の間で20.71%高の急騰を演じている。ブロードコムも週次2.41%高、クアルコム(QCOM)も2.33%高と好調だ。S&P500構成銘柄ではないものの、30日に4-6月期決算を発表する英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)の株価も週次4.10%高となっている。

25日の金融市場では投資家不安の後退も改めて確認された。シガコ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)は25日の終値で14.93まで低下し、2月14日(14.77)以来、約5か月半ぶりに15を割り込んだ。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが激しくなることへの警戒感が強いことを示す。

S&P500の年末株価は7000との予想も 米国とEUの関税協議合意なら追い風
S&P500に対する楽観ムードが強まる中、金融市場ではS&P500の年末目標株価を引き上げる動きが続く。ブルームバーグのまとめによると、7月以降にS&P500の年末見通しを示した11人のストラテジストの予想の中央値は6500。最高値は25日の終値から9.57%高にあたる7000となった。最低値は14.58%安の5457だが、残りの10人は6250以上の水準を示している。
こうした中、S&P500の今後の見通しをめぐっては米国とEUの関税協議をめぐる進展が好材料になる可能性がある。米メディアによると、トランプ氏は27日にイギリスのスコットランドで欧州委のフォンデアライエン氏と会談する予定。米紙ウォールストリート・ジャーナルは関係者の話として、EU側は15%関税での大枠合意に近づいていると楽観的になっているという。相互関税の一時停止の期限が8月1日に迫る中、米国とEUの関税協議決着に向けたムードが高まっているといえそうだ。会談の結果が日米合意と同様の穏健な決着へと前進したと受け止められれば、週明け28日以降のS&P500が大きく上昇する可能性もある。
S&P500の割高感は2023年以降で最高水準 PERが23.5倍に
一方、S&P500の連日での最高値更新で割高感は強まっている。ブルームバーグによると、S&P500の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は25日の段階で23.5倍で、2月20日(23.7倍)以来の高さ。AIブームが本格化した2023年以降の値動きでは予想PERが23.9倍を超えたことがないことを踏まえれば、割高感は最高水準にあるとも言えそうだ。

マイクロソフト決算やFOMC、雇用統計など週明けに重要日程 波乱のおそれも
このためS&P500の上昇には脆さもはらむ。株式市場では30日にメタとマイクロソフト、31日にはアップルとアマゾンの4-6月期決算が発表される予定。このうちAIブーム期待で2025年の株価が好調なマイクロソフトは総収入の成長加速が見込まれているが、期待外れに終われば失望感が大きくなるおそれがある。また30日に発表されるFOMCの結果や米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の記者会見で利下げ見通しが大きく後退すれば、S&P500にとっての逆風になることも考えられる。
さらに30日には4-6月期GDP速報値と四半期ベースでの個人消費支出(PCE)物価指数、8月1日には7月雇用統計の発表も控える。米国経済の底堅さや物価上昇の落ち着きを疑わせる結果になった場合には米国株をめぐる楽観が大きく損なわれる可能性もあり、S&P500の下落リスクが消えたわけではなさそうだ。
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