米国株、楽観拡大で上昇 S&P500最高値連発 CPIとAIブームに期待
S&P500は2日連続で最高値。PPIの結果で利下げ期待が強まり、オラクルの決算はAIブームを裏付けた。ただ、大手ハイテク株には息切れ感も出ている。

アメリカの株式市場で上昇加速への期待が高まってきた。S&P500種株価指数の10日の終値は前日比0.30%高で、2日連続で最高値を更新。11日に行われる8月の消費者物価指数(CPI)の発表を前に楽観ムードが強まっている。10日に発表された8月の卸売物価指数(PPI)が市場予想を下回る伸び率だったことから、CPIでも物価上昇過熱はみられないとの見方が拡大。米連邦準備制度理事会(FRB)の継続的な利下げへの期待が株価上昇を後押しした。また10日の株式市場ではクラウド事業を手掛けるオラクルが前日に発表した好決算などが起爆剤となり、半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価も大きく上昇。人工知能(AI)ブームの継続についても強気が深まり、株式市場の見通しへの不安が縮小しつつある。ただ、10日にはオラクルのクラウド事業でのライバルとなるアマゾン・コムなどの株価は下落した。8月CPIの結果を受けてS&P500が値上がりした場合でも、大手ハイテク株の息切れ感が重荷となる可能性もありそうだ。
アメリカのS&P500は0.30%高 2日連続で最高値更新
S&P500(SPX)の10日の終値は6532.04。9日に次いで最高値を塗り替え、2025年に入って23回目の記録更新となった。3日続伸での上昇率は0.78%高となっている。ブルームバーグによると、長期金利(10年物国債利回り)は10日の取引で一時、4.023%をつけ、4月7日(4.007%)以来、5か月ぶりの低水準となった。

8月CPIはコア指数の伸び率が横ばいの見通し PPIは予想を下回る伸び率
S&P500の上昇期待が強まった要因のひとつが米国の物価動向に対する楽観だ。米労働省が10日に発表した8月PPIは総合指数の伸び率が前年同月比2.6%となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の3.3%を大きく下回った。この結果、投資家が注目する8月CPIについても、物価上昇の過熱感はみられないとの期待が高まっている。11日午前8時30分(日本時間11日午後9時30分)に発表される8月CPIについては、総合指数の伸び率が前年同月比2.9%となって前月の2.7%よりも高くなる一方、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は前月と同じ3.1%と見込まれている。

こうした中、10日の金融市場ではFRBが継続的な利下げに着手するとの見方が拡大。9月16、17日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げが確実視されているほか、12月までに3回の利下げが行われるとの観測が強まっている。ブルームバーグによると、12月のFOMC後の政策金利の水準は3.649%と見積もられており、前日から0.18%ポイント低くなった。米国の金利の先安観は株式投資の相対的な魅力を高めるS&P500の上昇にとっての追い風だ。

オラクルはオープンAIと3000億ドル契約のもよう TSMCの8月実績も好調
また10日の株式市場ではオラクルの株価(ORCL)が前日比35.95%高という爆発的な値上がりをみせた。9日の取引時間終了後に行った2025年6-8月期決算発表で、8月末段階での受注残高が4553億ドルとなり、1年前の991億ドルから4.6倍になったと公表。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は10日の取引時間中、関係者の話として、対話型AIサービス「ChatGPT」で知られるオープンAIがオラクルとクラウドサービスの利用について約5年間で3000億ドルを支払う契約を結んだと報じた。
さらに10日に発表された半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)の8月の実績もAI関連投資の強さを感じさせた。TSMCの8月の総収入は前年同月比33.8%増の3357.72億台湾ドル。7月と8月の2か月間でみれば29.8%増の成長を達成した。ブルームバーグがまとめた市場予想では、TSMCの7-9月期の総収入は25%増程度が見込まれており、TSMCの業績は想定を超えるペースで拡大しているといえそうだ。


アマゾン・コムなど大手ハイテク株は不振 S&P500の上昇の足を引っ張る懸念も
一方、10日の株式市場では半導体株の上昇の半面、S&P500への影響度が大きい大手ハイテク株の息切れ感も目立った。オラクルと同様にクラウド事業を展開するアマゾン・コムの株価(AMZN)は前日比3.32%安。同じくクラウドを手がけるアルファベット(GOOGL)も0.19%安となった。AIサービスの提供でオープンAIと競合するメタ・プラットフォームズ(META)も1.79%安。さらに前日のiPhone(アイフォン)17の発表内容が想定内に留まったアップル(AAPL)は4営業日続落の3.23%安だ。

S&P500の今後の見通しをめぐっては、11日発表の8月CPIが物価上昇の過熱を示さなかった場合、上昇圧力が強まるとみられる。ただ、7月と8月の雇用統計で示された労働市場の悪化という米国経済にとっての逆風が続いていることも確かで、大手ハイテク株の上値の重さがS&P500の足を引っ張る懸念も拭えない。
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