アップルにトランプ関税の重圧 31日決算 業績見通しで株価下落も
アップルの4-6月期決算発表はトランプ関税の影響が焦点。7-9月期の業績見通しが株価下落を招くおそれもありそうだ。

アップルが31日の取引時間終了後に行う2025年4-6月期決算発表はドナルド・トランプ大統領の高関税政策の重圧が焦点だ。4-6月期決算では高関税政策に伴う経済の先行き不透明感を背景にして、スマートフォンのiPhone(アイフォン)の販売が減速する見通し。また高関税はアップルの収益性を直接的に損なう要因でもあり、トランプ氏のアップル批判も悪材料といえる。一方、アップルの株価はすでに低迷が続いており、決算発表で前向きな材料が出れば、投資家の歓迎ムードが強まる可能性もある。ただ、アップルをめぐる経営環境は今後も厳しさを増すおそれがあり、アップルが示す7-9月期の見通し次第で株価の下落が激しくなることも考えられそうだ。
アップルの2025年4-6月期決算は総収入の伸びが減速する見通し
アップルは米国東部時間31日午後5時(日本時間8月1日午前6時)から決算会見を開く。ブルームバーグがまとめた事前予想によると、アップルの4-6月期の総収入は前年同期比4.0%増の892.14億ドルになる見通し。1株当たり利益(EPS)は2.1%増の1.43ドルになるとみられている。予想通りになれば総収入の伸びは1-3月期の5.1%増から減速。1株あたり利益は2024年7-9月期の12.3%増をピークとして、3四半期連続で伸びが鈍化することになる。アップルは直近21回の四半期決算のうち2回で総収入が市場予想を超えられなかった。1株当たり利益では1回、市場予想を下回っている。


ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は23日段階で29倍程度。前回決算発表当日の29倍程度と同じ水準だ。アナリストが提示する目標株価の平均は226ドル程度で、現状よりも6%ほど高い。60人のアナリストのうち36人は買い、21人は維持、3人は売りを勧めている。
アイフォンの販売額は成長鈍化の見通し トランプ氏の高関税政策も業績に打撃
アップルの4-6月期の総収入の減速が見込まれるのは、主力製品のアイフォンが伸び悩むとみられているからだ。ブルームバーグによると、4-6月期のアイフォン販売額は前年同期比1.4%増の398億ドルに留まり、1-3月期の1.9%増から伸びが鈍化する見通しとなっている。民間調査会社IDCは14日に発表した4-6月期の世界スマホ出荷台数(速報値)の発表資料の中で、高関税が要因となった経済の不確実性などの結果、「消費者はスマホへの支出の優先度を下げている」と分析。4-6月のアップルの出荷台数は前年同期比1.5%増とされ、1-3月期の速報値(10.0%増)との比較では大幅な減速となった。

またトランプ氏の高関税はアップルの業績自体に直接的な悪影響を及ぼしている。アイフォンはこれまで中国を主な生産拠点としており、トランプ氏が3月までに発動していた中国製品への20%関税の対象になっているからだ。アップルは米国に輸出するアイフォンの生産地をインドに移すことで関税の影響を緩和するなどの対応を進めているが、トランプ氏はアイフォンの米国での製造を求めており、ティム・クックCEOへの批判も繰り出している。
アップルは高関税について、4-6月期だけでアップルの業績に9億ドルの悪影響を及ぼすと試算している。この結果、4-6月期の粗利益率は45.5-46.5%になると見積もられており、1-3月期の47.1%から収益率が悪化しそうだ。31日の決算会見でこうした実績が悪材料視されれば、株価には下落圧力がかかるとみられる。
アップルの経営環境はさらに悪化も 7-9月期の見通しに注目
一方、アップルの株価はすでに低迷していることから、4-6月期の結果が想定よりも上振れれば、株価が上昇することも考えられそうだ。これまでのアップルの決算では、アイフォンの販売の伸び悩みが進む中でもアプリ販売や音楽配信などのサービス事業が2ケタ成長を続けており、業績を下支えする要因といえる。
ただ、アップルの経営環境は今後も厳しさを増すおそれがある。ブルームバーグは18日、トランプ氏が相互関税の交渉期限である8月1日より前に銅などに対する個別関税の詳細を発表する可能性があると報道。半導体などとともにスマホも課税対象となる可能性がある。アップルが今回の決算発表で7-9月期の高関税による悪影響が現状よりも大きくなるとの見通しを示せば、投資家の不安が高まるシナリオも考えられそうだ。
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