アマゾン、株価上昇へ試練 31日決算 小売もクラウドも環境に厳しさ
アマゾンの4-6月期決算は総収入の成長が加速する見通し。しかし小売事業もクラウド事業も状況は厳しく、期待外れに終わる恐れもある。

アマゾン・コムが31日に発表する2025年4-6月期決算は株価上昇に向けた試練となりそうだ。アマゾンの4-6月期の総収入は伸び率が前四半期(1-3月)から加速する見通し。しかし主力の小売事業はアメリカのドナルド・トランプ大統領の高関税政策が逆風となりえるほか、人工知能(AI)開発やサービス展開の基盤となるクラウド事業も競合関係が激化。両方の事業で投資家の期待に応えることの難易度は高いといえそうだ。総収入の伸びが期待外れに終われば、設備投資負担の重さが不安視される展開もありえる。アマゾンの株価は2025年に入って伸び悩んでおり、31日の発表内容が下落要因になるシナリオも考えられる。
アマゾンの2025年4-6月期決算は総収入の成長が加速する見通し
アマゾンは米国東部時間31日午後5時(日本時間8月1日午前6時)から決算会見を開く。ブルームバーグによると、アマゾンの4-6月期決算に関する市場予想は、総収入が前年同期比9.5%増の1620.81億ドルになる見通し。1株当たり利益(EPS)は5.6%増の1.33ドルと見込まれている。予想通りになれば、総収入は前四半期(1-3月期)の8.6%増から伸びが加速し、1株当たり利益は前四半期(62.2%増)から大きく減速することになる。アマゾンは直近21回の四半期決算のうち6回で総収入が市場予想を下回った。1株当たり利益では5回で市場予想をクリアできなかった。


ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は23日段階で27倍程度。3か月前の前回決算発表時の25倍程度からわずかに割高感が高まっている。アナリストが提示する目標株価の平均は251ドル程度で、現状よりも10%ほど高い。82人のアナリストのうち77人は買い、5人は維持を勧めている。
小売事業はトランプ関税が逆風 ジャシーCEOの自信の真価が問われる
アマゾンの株価の値動きが冴えない理由のひとつが、総収入の6割以上を稼ぎ出す小売り事業の経営環境の厳しさだ。トランプ氏の高関税政策はアマゾンのインターネット通販事業でも価格を押し上げる要因。消費意欲の落ち込みにつながっていれば、小売り事業の成長が難しくなることも想定される。アンディ・ジャシーCEOは5月1日の1-3月期決算会見で、幅広い品ぞろえや信頼感で消費者をつなぎとめられると自信を示していたが、4-6月期の決算発表で真価が問われることになりそうだ。ブルームバーグによると、4-6月期の小売関連事業の収入は前年同期比6.9%増の1035.23億ドルが見込まれ、1-3月期の5.3%増から伸びが加速すると見込まれている。

クラウド事業は競合が激化 総収入伸び悩みなら設備投資額が悪材料に
また高い成長性が評価されてきたクラウド事業は競争環境の厳しさが意識されている。アマゾンのクラウド事業の収入は1-3月期に前年同期比16.9%増となり、2024年7-9月期の19.1%増をピークとして2四半期連続で伸び率が低下。一方、クラウド事業でのライバルとなるマイクロソフト(MSFT)は1-3月期のクラウド事業の収入の伸び率を前四半期よりも高い20.8%増とし、明暗が分かれた。アマゾンのクラウド事業は4-6月期の成長が前四半期からほぼ横ばいの17.0%増とみられているが、予想を下回った場合には株価への悪材料となりそうだ。

アマゾンの総収入が伸び悩んだ場合には、AI開発のために積み増してきた設備投資負担の重さも不安視されそうだ。アマゾンは2月6日の2024年10-12月期の決算会見で2025年の設備投資額は1000億ドル超になるとの方向性を示唆。2024年の770億ドルから3割程度上積みされることになる。今回の決算会見では設備投資額の見通しについての言及も投資家心理を揺らす可能性がある。

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