日経平均、息切れ懸念も 週次上昇で大台維持 日銀ETF売却決定克服
日経平均株価は日銀がETF売却開始を発表するという逆風を跳ね返した。ただ、割高感や長期金利上昇が22日以降の値上がりを阻む可能性もる。

日経平均株価が上げ潮ムードに包まれている。9月19日の終値は1週間前比277.69円高で、4週連続での値上がり。19日には日本銀行が保有する上場投資信託(ETF)の売却開始を決めるというサプライズがあったものの、前日に史上初めて達成した4万5000円台を維持した。値がさ半導体株の強さが際立っており、不測の事態でも崩れない人工知能(AI)ブームへの期待の強さをみせつけた形だ。ただ、日経平均の割高感は2024年7月以来の高水準で、今後は息切れ感が出るおそれもある。また、日本銀行の金融政策をめぐっては10月にも利上げに踏み切るとの観測が浮上。週明け22日以降の株式市場では、長期金利(10年物国債利回り)の上昇が日経平均の足を引っ張ることも考えられる。一方、米国の株式市場では株価上昇の裾野の広がりが好調さにつながっており、日経平均でも半導体株以外の値動の重要さが高まっている。
日経平均株価は週次277円高 4週続伸は5月以来
日経平均株価(N225)の19日の終値は前日比では257.62円安の4万5045.81円だった。ブルームバーグによると、週次での値上がり(277.69円高)は4週連続。日経平均の4週続伸はアメリカのドナルド・トランプ大統領が相互関税の一部を停止した翌週(4月14-18日)から米中の関税大幅引き下げ合意が発表された5月12-16日週にかけての5週続伸以来の記録だ。

日銀が時価70兆円のETF売却を発表 日経平均は一時、1000円値下がり
19日の株式市場では日経平均に逆風が吹いた。日銀は19日までの金融政策決定会合に際し、保有する指数連動型ETFと不動産投資信託(J-REIT)の売却を始めると発表。日銀保有のETFは簿価ベースで37兆1861億円で、3月末時点では時価70兆円と試算されていた。巨額の売り圧力が突然顕在化したことは投資家心理を冷やす材料といえ、19日の日経平均はETF売却発表後に一時、4万4495.46円まで下落し、発表前の4万5500円程度から1000円程度の値下がりとなった。
それでも日経平均は大幅下落の後は切り返し、4万5000円台を回復した。日銀によると、ETFの年間売却規模は時価で6200億円(簿価3300億円)程度で、市場全体の売買代金に占める売却割合は0.05%程度。このため日経平均の値動きへの実体的な影響は限定的との見方が徐々に浸透していったようだ。また、自民党総裁選挙への出馬を決めた高市早苗氏は19日午後2時30分から政策発表記者会見を行ったが、金融政策への目立った言及はなし。給付付き税額控除の制度設計への着手や成長投資の重要性を訴えたが、日経平均を大きく動かすことはなかった。



日経平均の割高感は2024年7月以来の高水準 長期金利上昇も見通しに重荷か
ただ、日銀発の逆風を跳ね返した日経平均には割高感もつきまとう。ブルームバーグによると、日経平均の水準と構成銘柄の今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は18日段階で22.7倍まで上昇。2024年7月中旬につけた、AIブームが本格化した2023年以降での最高水準となる23.3倍が近づいてきた。日経平均の予想1株当たり利益(EPS)は足元では1994円台まで低下しており、上げ潮ムードに水が差される可能性がある。

また、週明け22日以降の日経平均には長期金利の上昇が重荷となる可能性もある。ブルームバーグによると、日本の長期金利は19日には一時、1.641%まで上昇。2008年7月25日(1.664%)以来、17年2か月ぶりの高さとなった。日銀は19日までの決定会合で政策金利の維持を決めたものの、9人の政策委員のうち2人は0.25%幅での利上げを提案しており、金融市場では日銀が10月29、30日の決定会合で利上げに踏み切るとの観測も出ている。金利の先高観が強まっていけば、株式投資の相対的な魅力の低下を通じて、日経平均に下落圧力がかかることが想定される。

一方、米国の株式市場ではS&P500種株価指数(SPX)が19日に2日連続での最高値更新を果たしたほか、中小型株の代表的な株価指数であるラッセル2000(RUT)が18日に10か月ぶりに最高値を更新するなど、株価上昇の裾野の広がりが感じられる。日経平均にも半導体株以外の銘柄に力強さが出れば、4万5000円台を超えて上昇を続ける可能性が高まりそうだ。
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