米国株、週明けの強気継続に期待 S&P500続伸 エヌビディアは下落
S&P500は3週連続での値上がり。FRBの利下げが追い風となった。大手ハイテク株には上値の重さもあるが、上昇の裾野の広がりは好材料だ。

アメリカの株式市場に上昇継続への期待が広がっている。S&P500種株価指数の19日の終値は1週間前比で1.22%高。3週連続の上昇で株式市場の勢いの強さを示した。米連邦準備制度理事会(FRB)が17日に示した金融政策の道筋が逆風にならなかったことが好材料といえる。また株式市場での人工知能(AI)ブームを牽引してきた半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が半導体の名門企業インテルとの連携強化を決め、インテルの株価が急騰するといった前向きなニュースも出た。一方、AIブームへの期待は半導体株全体への追い風にはなっておらず、中国リスクに直面するエヌビディアが週次で反落するなど上値の重さも感じられる。ただ、米国株式市場では中小型株の復活がみられるなど、株価上昇のすそ野の広がりもみられ、週明け22日以降の株式市場では強気が優勢になるシナリオも想定されそうだ。
アメリカのS&P500は週次1.22%高 3週続伸で相場に明るさ
S&P500(SPX)の19日の終値は前日比では0.49%高の6664.36。2日連続で最高値を更新した。週次での1.22%高は3週連続での値上がりとなる。ブルームバーグによると、9月に入ってからの上昇率は3.16%高となっており、株式市場に明るいムードが保たれている。

トランプ氏は対中関係の良好さをアピール FRBの利下げは決定は追い風に
またドナルド・トランプ大統領は19日に中国の習近平国家主席と電話で協議。自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、通商関係やロシアとウクライナ間の戦争終結などのテーマについて「前進があった」とした。秋に韓国で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて両者が会談し、2026年の早い段階でトランプ氏が中国を訪問することでも合意したという。米中間の良好な関係をアピールした形で、S&P500にとっても安心材料になったといえそうだ。
S&P500をめぐっては16、17日に行われたFRBの連邦公開市場委員会(FOMC)が投資家心理を揺らした。FRBは17日に0.25%の利下げを決めたうえ、年内にあと2回の利下げがある方向性を示唆。しかしFRB内には利下げペースをめぐる意見の相違があり、17日のS&P500は前日比0.10%安という小幅な値下がりとなった。ただ、金融市場では利下げが10月以降も続くとの見方が優勢で、株式市場での逆風は強まらなかったといえる。ブルームバーグによると、19日の金融市場で見込まれている12月FOMC後の政策金利の水準は3.632%で、現状(4.00-4.25%、中間値4.135%)よりも0.493%ポイント低い。

エヌビディアがインテルと関係強化 半導体株や大手ハイテク株には上値の重さも
またS&P500の上昇を引っ張ってきたエヌビディアをめぐっては18日、インテルと資本と業務の両面で結びつきを強めるというニュースも出た。エヌビディアがインテルに対して50億ドル相当の出資を行うとともに、AIの開発やサービス展開に適したエヌビディアの半導体と、多様な用途に使える汎用性の高さが強みのインテルの半導体を組み合わせた製品の開発を進めるという内容だ。18日の株式市場ではインテルの株価(INTC INTC)が前日比22.77%高、エヌビディアの株価(NVDA)が3.49%高となり、S&P500の値上がりに貢献した。
ただ、エヌビディアやインテルへの追い風は半導体株全体を上向かせたわけではない。AI向け半導体と汎用性の高い半導体の双方を手がけ、両社とライバル関係にあるアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価は19日までの週次で0.74%安。ブロードコム(AVGO)は週次4.15%安となった。またS&P500構成銘柄ではないものの英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)の株価も週次で5.13%安に沈んでいる。

またS&P500への影響度が高い大手ハイテク株の値動きも依然として上値の重さが拭えない。インテルとの協業が好材料になったエヌビディアの株価は19日までの週次では0.65%安となり、2週ぶりの反落。エヌビディアをめぐっては、中国当局が国内企業に対してエヌビディアのAI向け半導体を購入することを禁じたと報じられており、中国リスクが改めて浮上している。また、SNS大手メタ・プラットフォームズ(META)は週次3.02%高の778.38ドルとなりつつも、8月12日につけた最高値(790.00ドル)には届いていない。マイクロソフト(MSFT)も8月4日以降は最高値を更新できておらず、S&P500の上昇基調とは対照的だ。

ラッセル2000が10か月ぶり最高値 裾野の広がりは週明けの見通しに好材料
ただ、半導体株や大手ハイテク株の冴えない値動きにも関わらず、S&P500が好調さを維持している背景には、米国株式市場全体への期待がある。前週(8-12日週)にはデータセンターを手がけるオラクル(ORCL)の株価が、対話型AIサービスChatGPTで知られるオープンAIとの大型契約報道が起爆剤となって急騰。18日のインテルの急騰とあわせて、老舗企業の復権を意識させる値動きだ。また、中小型株の代表的な株価指数であるラッセル2000( RUT)は18日に前日比2.51%高の2467.70をつけ、2024年11月25日以来、約10か月ぶりに最高値を更新。中小型株企業は大企業に比べて変動金利での借り入れが多く、FRBの利下げによる好影響を受けやすいとされる。

こうした中、週明け22日以降の金融市場では楽観ムードが強まる可能性もありそうだ。S&P500は歴史的にみて9月は不振になるケースが多いものの、FRBの利下げを追い風にしてジンクスを跳ね返すシナリオへの期待が強まっている。
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