日経平均、楽観ムードで1124円高 3週続伸 連休明けは見通し不安
日経平均株価は円安進行や米中融和期待が追い風となった。一方、トランプ関税の悪影響を見込む業績見通しも目立ち、不安はくすぶり続けている。

日経平均株価に楽観ムードが強まってきた。2日の終値は1週間前比で1124.95円高の3万6830.69円。3週続伸の間に3245円の値上がりを記録し、3月下旬以来の3万7000円台回復が視野に入った。値がさ株が日経平均を引っ張っており、円安進行を背景にして日本株への期待が高まっているようだ。またアメリカのドナルド・トランプ大統領が火をつけた米中対立に収束の兆しが出ていることも株式市場の安心材料となっている。ただ、日本企業の決算発表では業績見通しの不透明感が強調されており、金融市場で見込まれる予想収益も低下してきた。4連休明けの株式市場では米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の方向性をめぐる思惑でムードが変わる可能性もあり、日経平均の今後の見通しには不安もくすぶっている。
日経平均株価は週次1124円高 1年8か月ぶりの7営業日続伸で3万7000円台が接近
日経平均株価(N225)の2日の終値は前日比では378.39円高で、7営業日続伸。米国の株式市場の好調さが追い風となった2023年8月28日から9月6日にかけての8営業日続伸以来、1年8か月ぶりの記録となった。また、3週続伸は2024年9月上旬から下旬にかけて以来となる。


このうちアドバンテストは4月25日の取引時間終了後に2026年3月期の総収入が3.2%減になるとの見通しを示し、週明け28日は前週末比4.83%安と急落。しかし休日を挟んだ30日以降の3日続伸で、合計10.98%高の急反発をみせた。この3日間で日経平均も2.76%高となっている。

日銀の利上げ見通し後退で円安が進行 日経平均の追い風に
休日明けの日経平均の反発を勢いづけたのはドル円相場(USD/JPY)での円安進行だ。ドル円相場は、日本銀行が5月1日に公表した経済見通しが利上げへの距離を感じさせたことから大きく円安が進行。ブルームバーグによると、2日には一時、1ドル=145.92円をつける場面もあった。4月30日には142円台前半をつけていたことを考えれば、2日ほどで3円もの円安が進んだことになる。円安は海外で稼ぐ日本企業にとっては収益を改善させる要因だ。

また高関税政策で世界経済の混乱の引き金を引いたトランプ氏は4月22日にFRBのジェローム・パウエル議長の解任を否定し、その後は大きな火種を投じてはいない。トランプ氏は中国製品への高関税の引き下げの可能性にも言及しており、中国側からも米中協議開始の可能性が示されている。世界経済の混乱は現状以上には悪化しないとの楽観的な見方も日経平均上昇の要因になっているようだ。
企業業績の見通しには暗さ 村田製作所や商船三井は週次で10%超下落
ただ、日本企業の決算発表では見通しの暗さも目立つ。電子部品大手の村田製作所は4月30日の2025年3月期決算発表に際して、2026年3月期の営業利益が前期比21.3%減になるとの見通しを示した。相互関税の影響を織り込んでおらず、製品価格の値下がりや1ドル=140円程度の円高を見込んでいることが減益の要因だとしている。村田製作所の株価(6981)は2日までの週次で10.32%安となった。
また同じ30日に決算を発表した商船三井も2026年3月期は33.7%の営業減益見通しだと発表。トランプ氏の関税政策で世界経済の停滞が懸念されることから荷動きの弱含みを予想するとともに、141円程度の円高を想定していることが要因だという。商船三井の株価(9104)は2日までの週次で11.47%安となっている。
日経平均の予想1株当たり利益は低下 アップル決算も日本株の見通しに影
こうした中、日経平均構成銘柄全体としての予想収益も下がり始めている。ブルームバーグによると、日経平均構成銘柄の今後12か月の予想1株当たり利益は2日時点で1939円で、2月中旬段階の1996円程度から3%近い低下となっている。企業の収益は株価上昇の裏付けといえるだけに、日経平均の見通しにとっては悪材料といえそうだ。

一方、米国の大手ハイテク企業の決算発表には地力の強さも感じられ、S&P500種株価指数(SPX)は2日までに20年半ぶりとなる9営業日続伸を記録した。しかし同時に村田製作所を含む日本の製造業とも関連が深いアップル(AAPL)が1日に行った2025年1-3月期決算発表には評価が集まっておらず、日本株にとっては不安材料だ。
また、ドル円相場の動向はFRBが6、7日の連邦公開市場委員会(FOMC)に際して示す金融政策の方向性をめぐる思惑でも揺れる可能性がある。さらに米中関係改善への期待も、トランプ氏や中国側の情報発信次第で冷え込むおそれが拭えない。4連休を経た日本の株式市場の7日の取引までに相場のムードが変わる可能性もありそうだ。
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