日経平均、逆風でも大台回復 週次続伸 半導体2社の勢い続くか?
日経平均株価は週末終値として4か月ぶりの3万8000円台を回復。今後の浮沈はアドバンテストとソフトバンクグループの勢いが握っている。

日経平均株価が粘り強さをみせた。20日の終値は1週間前比568.98円高で、週末終値としては4か月ぶりに3万8000円台を回復。アドバンテストやソフトバンクグループといった半導体株が、アメリカの半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の5月下旬の決算発表後の好調さを維持し、日経平均を牽引した。日米の中央銀行の金融政策の動向や中東情勢の悪化は円安要因として働いており、日本株にとっての安心材料となっている。ただ、日本株の値上がりの裾野が広いとはいえない。中東有事や円安といった背景にも関わらず、自動車株や防衛関連株の値動きは重く、海外投資家の日本株買いも落ち着く兆しが出てきた。日経平均の今後の見通しは半導体2社の浮沈が握っているが、20日には米中対立再燃の可能性も報じられており、不安は消えていない。
日経平均株価は週次続伸 週末の3万8000円台は4か月ぶり
日経平均株価(N225)の20日の終値は前日比では85.11円安の3万8403.23円。週末の終値として3万8000円台をつけたのは2月21日(3万8776.94円)以来だ。前週末13日にイスラエルがイランの核施設を攻撃し、世界の金融市場ではリスク回避姿勢が強まりやすい状態だが、日経平均は底堅さを示したといえる。


半導体株ではこのほか、半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)が週次0.78%高となっているほか、半導体検査装置のレーザーテック(6920)も週次12.85%高となった。アドバンテストなどの半導体株は5月28日に発表されたエヌビディア(NVDA)の好決算を機に株価が上昇。また、ブルームバーグは18日、台湾が6月に入ってから中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)や中芯国際集成電路製造(SMIC)を輸出規制リストに加えたと報じており、日本の半導体関連企業の中国事業にとって追い風になるとの見方もあるようだ。

ドル円相場では円安が進行 週末終値では146.09円
またドル円相場(USD/JPY)が円安傾向にあることも日経平均にとっての安心材料だ。日本銀行の植田和男総裁は17日までの金融政策決定会合に際して利上げへの慎重姿勢を示す一方、米連邦準備制度理事会(FRB)が18日までの連邦公開市場委員会(FOMC)後に公表した経済見通しは利下げからの距離を感じさせた。また中東情勢の悪化は「有事のドル買い」につながる円安要因となっているもよう。ブルームバーグによると、ドル円相場は20日のニューヨーク市場の終値では1ドル=146.09円となり、5月14日(146.75円)以来の円安水準となった。円安は日本企業の海外で稼ぐ力を高める、日経平均にとっての追い風だ。

自動車株や防衛関連株は冴えない値動き 海外投資家の日本株買いも減速か
ただ、日経平均の上昇に裾野の広さは感じられない。円安傾向が追い風になるはずの自動車株では、トヨタ自動車(7203)が20日までの週次で2.05%安となり日経平均の足を引っ張った。自動車各社はトランプ氏が4月から輸入自動車に25%関税を課しているという逆風にさらされており、投資家のムードは盛り上がらないようだ。


こうした中、海外投資家の日本株買いには減速の兆しが出てきた。日本取引所が19日に発表した投資部門別売買動向によると、海外投資家は前週(9-13日)、東京証券取引所と名古屋証券取引所の合算ベースで11週連続の買い越しを達成。しかし買い越し額の997億円は、11週の中で最も小さい規模だった。

半導体株の見通しに米中対立の影 中東情勢は依然として重荷に
日経平均の今後の見通しをめぐってはアドバンテストとソフトバンクグループの勢いの重要度が増しそうだ。このうちアドバンテストの20日の終値(9831円)は1月10日につけた最高値(1万0380円)から5.28%安の水準まで上昇しており、上値が抑えられる展開も考えられる。一方、ソフトバンクグループの20日の終値(8979円)は2024年7月11日につけた最高値(1万1920円)まで距離があるが、直近の2週間で21.95%高となっており、やはり息切れ懸念は残る。
半導体株をめぐっては20日に米紙ウォールストリート・ジャーナルが、台湾や韓国の半導体企業が中国の工場に製造装置などを輸出する際の米国政府からの認可取得について、トランプ政権が厳格化を検討していると報じており、米中対立の火種となる可能性もある。また中東情勢の外交的な解決の道は険しいとみられ、戦火拡大のリスクは残る。週明け23日以降の日経平均は下振れリスクにさらされ続けることになりそうだ。
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