日経平均、3万8000円回復期待 週次4連騰 業績見通し悪化は重荷
日経平均株価は9日に3万7503円まで上昇。1か月半ぶりの3万8000円が視野に入った。しかし業績見通しは悪化しており、ハードルは高くなっている。

日経平均株価に3万8000円台回復の期待が出てきた。日経平均の9日の終値は1週間前比672.64円高の3万7503.33円。4週連続の上昇で4000円近く値上がりしており、約1か月半ぶりの3万8000円台が迫っている。半導体株にも前向きな値動きがみられ、日経平均の見通しへの明るさが増した。アメリカのドナルド・トランプ大統領が高関税政策などでの強硬姿勢を後退させているとの観測や、ドル円相場での円高に歯止めがかかったことが好材料になっている。ただしトランプ氏の高関税はすでに実体経済に悪影響を及ぼしており、日本企業の業績の見通しは悪化した。米国経済の見通し不透明感もあり、日経平均の3万8000円台回復へのハードルが高くなっていることも考えられそうだ。
日経平均株価は週次で672円高 4週連騰は1年2か月ぶり
日経平均株価(N225)の9日の終値は前日比では574.70円。あと500円弱の値上がりで、3月26日(3万8027.29円)以来の3万8000円台を回復する水準になった。ブルームバーグによると、週次での値上がりは4週連続で、この間、3917.75円高となっている。週次4連騰は日経平均が約34年ぶりの最高値更新を果たした、2024年1月終わりから3月初めにかけての5週続伸以来、1年2か月ぶりの好記録となる。


半導体株の値上がりの背景となったのは米国のトランプ政権が、ジョー・バイデン前政権が退陣間際に打ち出した半導体輸出規制の見直し案を撤回するとの報道。前政権の見直し案はNVIDIA(エヌビディア、NVDA)などから反発を受けてきただけに、撤回は米国の半導体企業と取引関係がある日本の半導体各社の株価に追い風となった。報道翌日の8日の取引では、アドバンテストが前日比3.73%高、東京エレクトロンは2.05%高となった。

米英は関税協議で早期の大枠合意 円安進行は日経平均の見通しに好材料
また、トランプ政権は8日には英国との間での関税協議について大枠合意を発表。鉄鋼やアルミニウム、自動車について英国からの輸入品への関税を引き下げることを認めた。トランプ氏は4月2日に発表した相互関税で世界の金融市場に混乱を引き起こしたが、半導体輸出規制見直し撤回や各国との個別関税協議の早期合意で事態の鎮静化に努めているようにもみえる。
こうした中、ドル円相場(USD/JPY)では円安が進行。ブルームバーグによると、9日には一時、1ドル=146.19円をつけた。世界経済の見通し不透明感の改善が投資家のリスク回避姿勢を弱め、安全資産とされる円を売り、ドルが買い戻される流れを呼んだ形だ。円安は海外で稼ぐ日本企業にとって業績の追い風となる、日経平均にとっての好材料だ。

米中協議に大きな進展はなし? 日本企業の収益予想は低下傾向
ただしトランプ氏の政権運営の予測不能性は依然として解消されていない。半導体輸出規制をめぐっては、トランプ政権は前政権の見直し案に代わる新ルールを検討しているもよう。厳しい内容になれば、日本の半導体株への逆風になる可能性がある。また、米国と各国の個別関税協議は、英国以外との間でも順調な進展がみられるかは不透明だ。英国は米国に対する貿易赤字国で、トランプ氏は不満が少ない交渉相手から早期合意を勝ち取ったにすぎないともいえる。また、10日からスイスで始まった米国と中国の直接協議をめぐっては、大きな進展は期待できないとのムードも強い。
こうした中、日本企業の予想収益は低下傾向が続いている。ブルームバーグによると、日経平均構成銘柄の今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)は9日時点で1921円となり、2月中旬につけた1997円程度から3.8%ほど低くなっている。トヨタ自動車は8日の2025年3月通期決算発表に際し、トランプ氏の高関税で4月と5月の合計で1800億円の減益効果が出るとした。トヨタの株価は決算発表当日と翌日の2日間で合計3.90%安となった。

日経平均株が最後に3万8000円台をつけた3月26日はトランプ氏が輸入自動車に対する25%関税を発表する直前。世界経済の見通し悪化に歯止めがかかったとはいえ、日本企業の業績をめぐる足元の状況が改善したとは言い難い。週明け以降には米国で物価や消費をめぐる経済指標の発表も予定されており、日経平均の3万8000円回復の障害になる可能性もありそうだ。
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