日経平均、週明けに不安拭えず 週次300円上昇 半導体株に失速懸念
日経平均株価は週次300.28円高で、底力を示した。ただ、値がさ半導体株は不振で、週明け以降の米国経済指標やTSMCの月次実績は不安材料だ。

日経平均株価に期待と不安が交錯している。日経平均株価の5日の終値は1週間前比300.28円高で、半月ぶりに4万3000円台を回復。衣料品大手ファーストリテイリングをはじめとする幅広い銘柄が値上がりし、日本株の底力を示した。長期金利の上昇に一服感が出たことが安心材料になったもようだ。ただ、日経平均の上昇を引っ張ってきた半導体株は不調で、ソフトバンクグループやアドバンテストは5日までの週次で下落。日経平均のさらなる上昇を目指すには推進力が不足している。また日本時間5日夜に発表されたアメリカの8月雇用統計は労働市場の悪化を示しており、日本株の見通しにも不安がちらつく。週明け8日以降には米国の8月消費者物価指数(CPI)や台湾積体電路製造(TSMC)の月次業績の公表も控え、日経平均への下落圧力が強まる懸念は拭えない。
日経平均株価は週次438円高 13営業日ぶりに4万3000円台回復
日経平均株価(N225)の5日の終値は前日比では438.48円高の4万3018.75円。前週(8月25-29日)の85.18円高に続く2週連続での値上がりとなった。ブルームバーグによると、4万3000円台を回復するのは8月19日以来、13営業日ぶり。3日終値では4万1938.89円まで値下がりしていたが、粘り強さをみせたことになる。

ファーストリテイリングが日経平均を牽引 日経平均全銘柄の73%が上昇
個別株の値動きをみると、衣料品チェーン「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング(9983)が週次4.23%高となり、日経平均を159円押し上げた。週次での上昇は3週ぶりで、2日の取引時間終了後に発表した8月の国内のユニクロ直営店の既存店とインターネット通販の合計販売額が前年同月比5.3%増となったことが好材料になった。日経平均を構成する225銘柄のうち約73%にあたる164銘柄が上昇しており、幅広い業種の値上がりが日経平均を上昇させた形だ。

長期金利の上昇が一服 16年10か月ぶりの高さからは後退
日経平均上昇の背景には、株式投資の相対的な魅力を低くする長期金利(10年物国債利回り)の上昇という悪材料が一服したことがありそうだ。ブルームバーグによると、長期金利は3日の夕方には一時、1.635%まで上昇し、2008年10月14日(1.640%)以来、16年10か月ぶりの高水準を更新。しかし4日以降は下落基調となり、5日につけた1.567%は8月18日(1.563%)以来の低さだった。日経平均は長期金利が低下した4日と5日の2日間で合計1079.86円値上がりしている。

日本の長期金利の低下の背景には米国の長期金利の下落があるようだ。米国では3日に発表された雇用動態調査(JOLTS)や4日に発表された週次の失業保険関連統計などが労働市場の弱さを示したと受け止められ、長期金利が5か月ぶりの低水準となった。これをきっかけとして日本国債にも買い戻しが入って価格が上昇し、結果として日本の長期金利が低下したとみられている。
ソフトバンクグループは週次4.25%安 アドバンテストや東京エレクトロンも下落
ただ、日経平均をめぐっては不安材料も多い。そのひとつは人工知能(AI)ブームを背景に日本株を引っ張ってきた半導体株の不振だ。英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)を子会社にもち、対話型AIサービス「ChatGPT」で知られるオープンAIへの出資も進めるソフトバンクグループ(9984)の株価は5日までの週次で4.25%安。また半導体検査装置のアドバンテスト(6857)も週次2.01%安、半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)も2.06%安で、そろって冴えない値動きだった。この3社はいずれも日経平均への影響度が大きい値がさ株で、今後も不振が続けば、日経平均の上昇の足を引っ張ることも考えられそうだ。

米国の労働市場悪化は不安材料 TSMCの8月の販売実績も日経平均を左右か
また日本時間5日夜に発表された米国の8月雇用統計は非農業部門の就業者数の伸びが市場予想を下回る悪い結果。米国のS&P500種株価指数(SPX)は5日の終値が前日比0.32%安となっている。米国経済をめぐっては、11日に8月CPIが発表されるほか、前日の10日には8月の卸売物価指数(PPI)も公表される。これらの経済指標で物価上昇再燃への懸念が強まれば、株式市場が待ち望む米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待が遠のき、米国株の見通し悪化が日経平均をめぐる投資家心理を冷やす可能性もありそうだ。
さらに半導体株をめぐっては半導体受託製造大手のTSMCが10日に公表する8月の台湾ドルベースでの販売実績が注目される。TSMCが投資家の期待に応えられなければ、TSMCとも関係が深い日本の半導体企業の株価への逆風となるおそれがあるからだ。TSMCが1か月前に発表した7月の販売実績は前年同月比25.8%増となり、ブルームバーグがまとめた7-9月期の市場予想に沿ったペースだった。

TSMCをめぐっては米中対立という悪材料もある。ブルームバーグは9月3日、TSMCの中国・南京の生産拠点について米国政府から認められていた「認証エンドユーザー(VEU)」の資格が12月末で撤回されると、TSMC自身が発表したと報じている。この南京の生産拠点に米国の輸出規制の対象となっている半導体製造関連装置を納入している企業は今後、出荷の度に米国政府の許可を得る必要が出るという。やはり日本の半導体企業の業績にとっての懸念材料といえ、今後の日経平均の見通しに影を落とすことも考えられる。
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