ドル円、日米金融政策は円高要因か 不透明感緩和 145円割れも
ドル円相場は147円台で推移。世界経済の不透明感は和らいでおり、円高の流れが戻ってきた。週明けの日米の金融政策発表も円高要因になりえる。

ドル円相場で円高の流れが戻ってきた。ドル円相場は日本時間25日の取引では147円台での値動き。世界経済の不透明感を背景にして149円台まで進んだ円安が鳴りを潜めている。20日の参議院選挙では与党が過半数割れしたものの、石破茂政権の即時の退陣には至らず。また23日には日米の関税協議での合意も発表され、見通しの不透明感が和らいできたからだ。このうち日米関税協議の合意は世界的な貿易戦争鎮静化のきっかけになるとも考えられ、安全資産としてのドル買いを弱める効果も生んでいそうだ。このためドル円相場の見通しをめぐっては、145円を大きく割り込む水準まで円高が進むシナリオも考えられる。週明け28日以降には、米連邦準備制度理事会(FRB)と日本銀行の金融政策の発表を控えており、ドル円相場が大きく動くきっかけになることも想定される。
ドル円相場は147円台で推移 149円台まで進んだ円安は鎮静化
ドル円相場(USD/JPY)は25日午後5時段階では1ドル=147.38円で取引されている。ブルームバーグによると、ドル円相場は16日には149.18円をつける場面もあったが、1.80円の円高が進んだことになる。25日の午前11時台には147.49円をつけ、前日のニューヨーク市場の終値から0.48円の円安となったが、その後は146.82円まで円高に戻す場面もあった。

石破首相続投や日米関税協議合意が円高要因に 世界的な貿易戦争鎮静化にも期待
ドル円相場が円高方向に動いてきた背景には、日本経済の不透明感が和らいできたことがありそうだ。149円まで進んだ円安は、3日に公示された参院選で与党敗北が日本の政局の不安定化につながるとの懸念が出たことや、トランプ氏が7日に日本を含む14か国に8月以降の相互関税の税率を一方的に通告したことが要因。しかし参院選は与党が過半数割れしたものの、石破首相は投票日翌日の21日には続投の意思を正式表明。さらに23日朝には日米の関税協議での合意が発表された。いずれもドル円相場では日本経済への過度な懸念を和らげる円高要因として受け止められた。
また、日米の関税合意は世界的な緊張感の緩和につながる可能性がある。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は23日に「米国と欧州連合(EU)が15%関税での合意に近づいている」と報道。米国のスコット・ベッセント財務長官は28、29日に中国との間で関税協議を行う。こうした流れがトランプ氏が火をつけた貿易戦争の鎮静化につながれば、世界経済の見通し不安を背景として安全資産としてのドルを買う圧力が和らぐと考えらえる。
円高は145円を大きく割り込む可能性 日米金利差は4か月ぶりの小ささに
このためドル円相場は今後も円高の流れが強まることが想定されそうだ。ブルームバーグによると、ドル円相場は参院選公示前の1日には1ドル=142.68円をつけており、145円を大きく割り込む円高も考えらえる。また、ドル円相場の背景となる日米の長期金利(10年物国債利回り)の差は24日の終値では2.797%ポイントで、4月3日(2.673%ポイント)以来の小ささとなっており、円高圧力の強まりを裏付けている。

FRBのパウエル議長の利下げに向けたトーンに変化は?
こうした中、投資家の関心は日米の金融政策の行方に向かう。FRBは29、30日の日程で連邦公開市場委員会(FOMC)を開催。日本銀行は30、31日に金融政策決定会合を開く。金融市場ではFRBと日銀はともに政策金利を維持するとの見方が支配的で、今後の金融政策の見通しについてどのような方向性が示されるかが注目される。
このうちFOMCはジェローム・パウエル議長が記者会見で示す利下げへの姿勢が焦点。前回(6月17、18日)のFOMC後に発表された経済見通しでは、年内の利下げ回数について2回を見込む参加者と0回を見込む参加者の数がほぼ同じだったとして、方向性が見えにくくなっていた。その後に発表された6月雇用統計は労働市場の強さが感じられ、6月消費者物価指数(CPI)は物価上昇率が市場予想を上回る結果で、いずれも利下げを遠のかせる内容だったといえる。
ただ、パウエル氏はこれまで利下げに慎重姿勢を示しつつも、利下げの方向性は維持してきた。トランプ関税などの影響を見極めるとしてきたパウエル氏が発言のトーンをどう変化させるかが注目されそうだ。ブルームバーグによると、24日時点で金融市場で見込まれている12月FOMCの政策金利の水準は現状よりも0.473%ポイント低くなっており、0.25%幅の利下げが1-2回行われることが想定されている。

日銀が利上げ姿勢を強めれば円高要因 金融市場では期待強まる
一方、日銀の金融政策は利上げの見通しが注目点となる。植田和男総裁は前回(6月16、17日)の決定会合後の記者会見ではトランプ氏の高関税政策をめぐる混乱の可能性に懸念を示し、日本経済の下振れリスクを強調。金融市場では日銀の利上げ見通しが後退し、円安材料を提供する形となった。これに対して今回は参院選や日米関税協議での合意を経た後での決定会合となり、利上げへの積極姿勢が感じられれば、円高が進むきっかけになることも考えられる。
ブルームバーグによると、金融市場では12月の決定会合後の政策金利の水準は現状よりも0.2%ポイントほど高くなるとみられており、金融市場でも利上げ期待が強まっているといえそうだ。

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