米国株、警戒モード S&P500小幅安 米国のイラン攻撃見通し消えず
S&P500は18日に小幅安。米国のイラン攻撃の有無やFRBの利下げをめぐる思惑が相場を上下に揺らした。中東情勢が急激に悪化するリスクは残っている。

アメリカの株式市場で緊張感が続いている。S&P500種株価指数の18日の終値は前日比0.03%安となり、小幅ながら下落。米軍がイスラエルの対イラン攻撃に参加するかどうかをめぐる情勢が投資家心理を揺らしている。ドナルド・トランプ大統領は最終判断を下しておらず、中東情勢の急激な悪化が回避される筋書きへの期待も残る。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は18日までの連邦公開市場委員会(FOMC)後に示した経済見通しで、年内2回の利下げの方向性を維持。しかしジェローム・パウエル議長は記者会見でFRB内でも意見の相違があることを認め、利下げ姿勢の後退を感じさせた。こうした中、半導体大手NVIDIA(エヌビディア)など大手ハイテク株の値動きは割れており、投資家心理は警戒モードが続く。また中東情勢はトランプ氏の決断次第で急転する可能性があり、S&P500の今後の見通しをめぐっては投資家心理が大きく悪化することも想定される。
アメリカのS&P500は小幅安 トランプ氏はイラン攻撃の最終判断下さず
S&P500(SPX)の18日の終値は5980.87。前日の0.84%安に続く値下がりとなった。S&P500はイスラエルが現地時間の13日未明にイランの核施設を攻撃して以降、2月19日につけた最高値(6144.15)の更新に向けた勢いが削がれている。18日の終値は12日につけた直近の高値(6045.26)から1.07%安の水準だ。

S&P500の18日の値動きでは、米国がイラン攻撃に参加するかどうかが材料視された。トランプ氏は18日午前、記者団からイラン攻撃の可能性を問われ、「するかもしれないし、しないかもしれない」と返答。ブルームバーグによると、トランプ氏はイラン側からホワイトハウス訪問を示唆する意向が示されたことやロシアのウラジミール・プーチン大統領が仲介役を申し出たことなども明かし、「来週は非常に重要な週になる。1週間とかからないだろう」とも述べた。トランプ氏はイラン攻撃の最終判断は下しておらず、S&P500は18日午前の取引で前日比0.59%高にあたる6018.10まで上昇する場面もあった。
FRBは利下げ見通しを維持 FOMC参加者内には意見の相違も
一方、18日のS&P500の値動きはFRBの動向でも揺れ動いた。FRBは18日までのFOMCで政策金利を4.25-4.50%で維持することを決定。経済見通しでは2025年末の政策金利の水準は3.75-4.00%(中間値3.875%)になるとし、年内に2回の利下げがあるとの方向性を維持した。声明文の発表後しばらくはS&P500は高値圏を維持した。

パウエル氏は記者会見で、トランプ氏の高関税について「物価を押し上げ、経済活動を押し下げるだろう」としつつも、「物価上昇への影響は短期的なものになる可能性がある」とも指摘。さらに中東情勢悪化に伴う原油価格上昇が物価に与える影響については、原油高が一時的なものであれば物価への長期的な影響は生じないと言及。1970年台の石油危機時のような物価への影響が現段階でみられているわけではないとの見方を示した。
ただ、金融政策の見通しについてはFRB内の意見も割れているようだ。2025年末の政策金利の水準に関してはFOMCの参加者19人のうち8人が年内2回の利下げ、2人が3回の利下げを想定する一方、7人は利下げなし、2人は1回の利下げを想定している。パウエル氏はFOMCの議論では「極めて健全な意見の相違があった」としたうえで、「金融政策の道筋について強く確信を持っている参加者はいなかった」とも述べている。S&P500はパウエル氏の記者会見を受けて、一時、5974.35まで下落する場面もあった。

VIX指数は20超の水準 エヌビディアなど大手ハイテク株の値動きは分かれる
S&P500が上昇から下落に転じたという値動きは投資家の不安心理の根強さを表している。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の18日の終値は20.14で、前日よりも6.76%低くなったが、依然として20の大台は超えたままだ。


トランプ氏の決断次第でリスク回避姿勢の高まりも
S&P500の今後の見通しをめぐっては、引き続き中東情勢の進展が焦点となる。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は18日の取引時間終了後、3人の関係者の話として「トランプ氏は17日夜の段階でイランへの攻撃計画を承認したが、最終的な決定は保留している」と報じた。19日の米国株式市場はジューンティーンスの休日のため休場となるが、トランプ氏の決断次第で中東情勢は大きく悪化する可能性があり、投資家のリスク回避姿勢が急激に高まる可能性は残っていそうだ。
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