ドル円 週間見通し(12/15~19):154.00~157.00予想、米雇用統計とCPIに注目
IG証券のアナリストによるドル円の週間見通し。米ドル安と円安が交錯か。高値圏でのレンジ相場を予想。注目のチャート水準を詳細に解説。
要点
- FOMC後に米ドル安が進行。しかし円安も根強い。今週のドル円は「円安vs米ドル安」による高値圏でのレンジ相場を予想
- OIS市場では日銀の12月利上げを9割織り込み済み。会合自体は無風通過の公算が大きい。植田総裁の利上げ姿勢に注目。慎重姿勢なら円安要因に
- ドル円の週間予想レンジ:154.00~157.00
今週のドル円は高値圏のレンジか
円安vs米ドル安
今週のドル円(USD/JPY)は、米ドル安と円安の交錯による高値圏でのレンジ相場を予想する。
米連邦準備制度理事会(FRB)は10日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で3会合連続の利下げを決定。政策金利を3.50~3.75%に引き下げた。FOMC後、外為市場は米ドル安優勢に振れた。
米ドルの変動率 対G10通貨:12月10日~12日
ブルームバーグの為替データで作成
11月20日に158円の手前まで上昇する場面が見られたドル円(USD/JPY)だが、12月11日の市場では一時155円を下方ブレイクする局面が見られた(安値154.95)。
しかし、調整の反落相場に転じた11月21日以降の対G10通貨全体のパフォーマンスを見ると、明確に円高優勢と言えるのは対米ドルのみである。この状況は、現在の外為市場が「円安 vs 米ドル安」の状況にあることを示唆している。
日本円の変動率 対G10通貨:11月21日~12月12日
ブルームバーグの為替データで作成
日銀の利上げは円高要因にならず?
市場参加者の関心は、18~19日の日銀金融政策決定会合に向いている。今回の会合で日銀が0.25%利上げを決定し政策金利を0.75%に引き上げる場合、1995年以来30年ぶりの水準に達することになる。しかし翌日物金利スワップ(OIS)市場では、すでに90%の確率で12月の利上げを織り込んでおり、利上げ自体が円高の要因となる可能性は低いと思われる。
焦点は2026年の利上げペースだ。現状OIS市場では、来年最初の利上げを早くて7月と見込んでいる。記者会見で植田和男総裁が利上げ姿勢を維持しながらも、その判断については慎重を期す構えを強調する場合は、円安へ振れる可能性がある。この場合、円安が米ドル安の影響を相殺し、ドル円(USD/JPY)は高値圏でレンジ相場となることが予想される。
日銀 政策金利の予想水準:2026年1月~10月
ブルームバーグ、OIS市場のデータで作成 / 12月12日時点の動向
米経済指標に注目、雇用統計とCPIでドル円の変動拡大も
今週、日銀会合以外にドル円(USD/JPY)の変動要因となり得るのが米国の経済指標だ。16日に11月雇用統計が発表される。18日には11月消費者物価指数(CPI)の発表も控えている。
米FRBは労働市場の下振れリスクを重視し、3会合連続の利下げを決定した。しかし、ドットプロット(FOMC参加者の政策金利予想)では2026年の予想中央値が3.4%と、9月時点から変化がなかった。19人の参加者のうち7人は来年の利下げが不要と予想した。1回利下げの予想が4人、2回が4人、3回以上の利下げを予想する参加者もおりバラつきが目立った。雇用とインフレの不確実性についての見方が割れたゆえの予想と言える。
雇用統計とCPIが予想以上に強い内容となれば、利下げ期待の後退による米ドルの買い戻しが予想される。一方、雇用統計で労働市場の軟化が示されたり、CPIでインフレが抑制される結果が示される場合は米ドル安を想定したい。
米労働省によれば、過去最長となった43日間の政府閉鎖を受け、今回の雇用統計とCPIは通常と異なる形式となるという。10月分の非農業部門雇用者数は11月分と併せて発表されるが、10月の失業率は遡及的にデータが収集できないため発表されない。CPIについては10月分の総合とコアが発表されず、一部の品目のみが11月分と併せて公表される。10月分のデータに多くの欠損があり、11月の前月比変化率も算出できないという。
ドル円のテクニカル分析、下限154.00、上限157.00を予想
上限(予想):157.00
米国の経済指標と日銀イベントを受け、今週のドル円(USD/JPY)が上値をトライする局面では、以下のチャート水準の攻防に注目したい。
最初の焦点は156円台の反発となろう。テクニカルの面では1時間足チャートのフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準156.14レベルの攻防に注目したい。このラインを突破すれば、レジスタンスラインに転換する可能性がある156.60レベルの攻防が焦点となろう。
156.60を突破する場合は、157.00のトライを予想する。156.60レベルと同じくレジスタンス転換の可能性がある157.00レベルを今週の上限と予想する。
想定を超えてドル円が157円台へ上昇する場合は、157.50レベルのトライを想定したい。この水準は11月21日の高値水準(157.54)にあたる。
チャートポイント
・157.50:11月21日の高値水準(157.54)
・157.00:上限(予想)
・156.60:レジスタンスライン(1時間足チャート)
・156.14:61.8%戻し(1時間足チャート)
下限(予想):154.00
日足のMACDはデッドクロスに転じた下降トレンドにあり、強気地合いの後退を示唆している。今週もドル円(USD/JPY)の軟調地合いが続く場合は、明確にサポートラインに転換した154.40レベルの維持となろう(日足チャートを参照)。
日足チャートの一目基準線(155.35)とフィボナッチ・リトレースメント23.6%(155.22)の下方ブレイクは、155.00割れのサインと捉えたい。155.00をブレイクした後の反発局面で、この水準がレジスタンスラインに転換する場合は、154.50のトライを意識したい。
ドル円が154.50を下方ブレイクする場合は、154.00に上昇している50日線の攻防を予想する。この水準を今週の下限と予想する。
想定を超える下落でドル円が154.00を下方ブレイクする場合は、154.40と同じくサポートラインに転換した153.00を視野に下落拡大を警戒したい。
ストキャスティクスとRSIで相場の過熱感を確認しながら、今回取り上げたサポート・レジスタンスの水準をトライする局面では反発・反落を意識したい。
チャートポイント
・155.35:一目基準線(日足チャート)
・155.22:23.6%戻し(日足チャート)
・155.00:76.4%戻し(1時間足チャート)
・154.40:サポート転換した水準(日足チャート)
・154.00:下限(予想)、50日線(日足チャート)
・153.00:サポートラインに転換
※移動平均線と基準線:12日時点の水準
ドル円の日足チャート:今年10月以降
TradingView提供のチャート
ドル円の1時間チャート:12月4日以降
TradingView提供のチャート
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