ユーロ高が7か月ぶり水準 165円台 日銀の金融政策が見通し左右か
ユーロ円相場は10日に7か月ぶりのユーロ高を更新。ECBの利下げ打ち止め見通しがきっかけだ。今後は1週間後に決定会合を開く日銀の動向が注目される。

ユーロ円相場がユーロ高に振れている。ユーロ円相場は日本時間10日の取引で一時、1ユーロ165.45円をつけ、7か月ぶりのユーロ高水準を更新。欧州中央銀行(ECB)の利下げサイクルの終了が見込まれる中、ユーロが買われやすくなっている形だ。また、アメリカと中国の経済協議の進展への期待を背景にして、円が売られていることもユーロ円相場でのユーロ高に影響している。ただ、ECBの利下げ打ち止め観測を材料視したユーロ高には一服感もあり、ユーロ高が勢いづいているわけではない。ユーロ円相場の今後の見通しをめぐっては、16、17日に金融政策決定会合を開く日本銀行の利上げをめぐる思惑に左右される場面が出てきそうだ。
ユーロ円相場は一時、165.54円 7か月ぶりのユーロ高水準を更新
ユーロ円相場(EUR/JPY)は日本時間10日午前11時ごろに1ユーロ=165.45円をつけた。ブルームバーグによると、2024年11月8日につけた165.43円以来、7か月ぶりのユーロ高水準だ。

足元のユーロ高のきっかけは、ECBが5日開いた理事会だ。ECBはこの理事会で、政策金利の下限にあたる中銀預金金利を0.25%引き下げ、2.00%に設定。一方、経済見通しでは物価上昇率について、2025年は前年比2.0%、2026年は1.6%、2027年は2.0%との見通しを示し、物価上昇鎮静化に自信を示した。3日に発表されたユーロ圏の5月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は、総合指数が前年同月比1.9%で、ブルームバーグがまとめた市場予想の2.0%を下回る結果。食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数は2.3%で、やはり市場予想(2.5%)よりも低い物価上昇率となっていた。

ラガルドECB総裁「金融政策のサイクルの終わりに近づいている」
クリスティーヌ・ラガルド総裁は5日の理事会後の記者会見で、今回の利下げの結果、「金融政策のサイクルの終わりに近づいている」と述べた。次回7月の理事会で利下げを見送るかどうかについては言及を避けたが、「基調的な物価の動向を示す指標は、物価上昇率が中期的な目標である2%の水準で持続的に推移することを示唆している」とも述べ、やはり物価上昇鎮静化に自信を示している。ECBは2024年6月に4年9か月ぶりの利下げを決めた後、9月以降は7回会合連続で利下げを繰り返してきた。今回、利下げの打ち止めを視野に入れたことは、ユーロ圏の金利の先安観を弱めるユーロ高要因といえる。
また、ユーロ円相場の値動きにはドル円相場(USD/JPY)の動向も影響している。ドル円相場は10日の取引で一時、1ドル=145.29円をつけ、5日につけた142.53円から3円近くの円安が進んでいる。金融市場では、ロンドンで9日から始まったアメリカのスコット・ベッセント財務長官らと中国の何立峰副首相らとの協議に関し、輸出規制問題に関した歩み寄りがみられるとの楽観的な見方が出ており、安全資産とみなされる円を売ってドルを買う動きが出ているもようだ。
ユーロ円相場の今後の見通しは日銀の金融政策をめぐる思惑が焦点
ただ、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)はECBが利下げを決めた5日のニューヨーク市場での終値で1ユーロ=1.145ドルをつけ、4月21日につけた3年5月ぶりのユーロ高水準(1.1515ドル)以来の高値となったが、その後はユーロ高の勢いは削がれている。FX市場ではユーロも円と同様に安全資産とみなされており、米中協議の進展期待を背景にしたユーロ売りの流れが、ECBの利下げ打ち止め観測に基づいたユーロ買いの流れを打ち消している可能性がある。

こうした中、ユーロ円相場の今後の見通しは、日銀の金融政策をめぐる思惑に左右される度合いが大きくなりそうだ。金融市場では日銀が17日までの決定会合で政策金利を据え置くことが確実視されているが、物価上昇の根強さを背景にして7月以降の利上げの可能性が高いといった観測が広がる可能性もある。この場合はドル円相場で円高が進むことが考えられ、ユーロ円相場でのユーロ安として現れる展開も想定されそうだ。
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