ドル円 週間見通し(12/22週): 円安加速なら159円が視野に、介入観測で荒い動きも
IG証券のアナリストによるドル円の週間見通し。さらなる円安進行は介入観測を高める要因に。突発的な円高を警戒。今週注目のチャート水準は?
要点
- 日銀は19日に0.25%の利上げを決定し、30年ぶりに政策金利を0.75%に引き上げた。しかし植田和男総裁の会見が「ハト派的」と解釈され円安が進行した
- 今週も円安を想定したい。しかし短期間でさらに円安が進行すれば、政府・日銀による為替介入への警戒感が高まり、突発的な円高の可能性を高めるだろう
- ドル円の週間予想レンジは154.40~159.40円
今週のドル円見通し
今週のドル円(USD/JPY)は、上値トライを意識しながらも急反落を警戒したい。上昇局面では、レジスタンスラインとして意識されている158円の上方ブレイクと新たな高値水準の見極めが焦点となろう。
しかし、ドル円が159円台の攻防を制し、節目の160.00を視野に円安が加速すれば、政府・日銀による為替介入を警戒する神経戦に突入することが予想される。実際に介入が実施されるかどうかに関わらず、この警戒感の高まりは一時的かつ突発的な円高の要因として警戒したい。
ドル円の週足チャート:2024年以降
TradingView提供のチャート
今週は円安の加速を警戒
日銀は19日の金融政策決定会合で政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.75%に引き上げた。1995年9月以来、30年ぶりの高水準である。
しかし、利上げ自体はすでに織り込まれていた。ゆえに今回の焦点は、14日のIG週間為替レポートで述べたとおり、植田和男総裁が示す来年の政策姿勢にあった。
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結論から言えば、市場参加者は来年の利上げパスが緩慢になるとの認識を持った。この点を示唆したのが、植田総裁の会見中から進行した円安だ。NY時間にドル円(USD/JPY)は高値157.76レベルまで上昇した。
ドル円の5分足チャート:12月19日の動き
TradingView提供のチャート
植田総裁の会見内容をポイントに分けてまとめた。
公開情報をもとに筆者がまとめ
実質金利は緩和的と利上げ余地を示唆し、かつ持続的な賃上げと米関税の不確実性の低下に言及した。しかし、今後の政策方針については従来の姿勢を維持し、利上げパスに関する言及も避けたことがハト派の印象を強めたと考えられる。
翌日物金利スワップ(OIS)市場では、節目の1%への利上げは早くて来年の6月、または来年後半に後ずれする見通しにある。
日銀 政策金利の予想水準:2026年1月~10月
ブルームバーグ、OIS市場のデータ / 12月19日時点
また、実質金利がマイナス圏にあることに加えて、政治面では性急な利上げを高市政権が簡単に容認する可能性は低い。インフレ次第で来年の米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待が後退する可能性があることも考えるならば、今週の外為市場では円安の進行を想定したい。
ドル円(USD/JPY)が今週、冒頭で述べた158.00を完全に突破する場合は、上下に大きく振れる不安定な相場を警戒したい。
ドル円のテクニカル分析
上限予想:159.40
今週の外為市場で円安がさらに加速すれば、ドル円(USD/JPY)は以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。
最初の焦点は、2024年12月以降レジスタンスラインとして意識されている158.00の突破だ。11月20日の高値157.89の突破は、158.00をトライするサインとなろう。
ドル円が158円台へ上昇した後に、この水準がサポートラインに転換する場合は、次の節目159.00を視野に上昇拡大を予想する。テクニカル面では、週足チャートのフィボナッチ・エクステンション100%の水準159.18レベルのトライが焦点となろう。このテクニカルラインをブレイクアウトすれば、次は日足チャートのフィボナッチ・エクステンション100%の水準159.41レベルのトライが焦点に浮上しよう。直下の水準159.40を今週の上限と予想する。
想定を超える上昇でドル円が159.40を突破すれば、節目の160.00が視野に入る。しかし、短期間での円安加速は政府・日銀による為替介入の警戒感を強めるだろう。実際に介入が実施される可能性も高まる。ドル円の上昇(円安)局面では、一時的かつ突発的な円高を警戒したい。
チャートポイント
・159.40:上限予想、フィボナッチ・エクステンション100%(日足)
・159.18:フィボナッチ・エクステンション100%(週足)
・159.00:レジスタンスライン(日足)
・158.00:レジスタンスライン(週足)
・157.89:11月20日高値(日足)
下限予想:154.40
ドル円(USD/JPY)の反落局面では、1円幅で新たなサポートラインの水準を見極めたい。
上に掲載した5分足チャートを見ると、157.00がレジスタンスラインからサポートラインに転換する可能性がある(黒矢印を参照)。今週、反落の局面でこの水準が相場を下支えすれば、ドル円の地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。
156.00の直下に21日線が推移している。155.00は157.00と同じくサポート転換を意識する水準だ。調整の反落ならば、155.00または156.00(21日線)が今週の下限となることが予想される。
しかし現在は、政府・日銀による為替介入への警戒感が高まりやすい状況にある。155.00を下抜ける可能性を意識しておきたい。ドル円が155.00を下方ブレイクする場合は、重要サポートラインとして意識されている154.40レベルまでの急反落を警戒したい。変動拡大の可能性を考慮し、今週は154.40を下限と予想する。154.50台にある50日線の下方ブレイクは、154.40をトライするサインとなろう。
チャートポイント:日足チャート
・157.00:サポート転換の可能性あり
・156.00:直下に21日線
・155.00:サポート転換の可能性あり
・154.52:50日線
・154.40:下限予想
【再掲】ドル円の週足チャート:2024年以降
TradingView提供のチャート
ドル円の日足チャート:今年10月以降
TradingView提供のチャート
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