マイクロソフトの4-6月期はクラウド事業の利益率が伸び悩む見通し。株価の割安感は強いが、2027年6月通期の設備投資の見通しが悪材料視される可能性がある。
マイクロソフトが29日に行う2026年4-6月期決算発表は低迷する株価をさらに下落させる可能性がある。マイクロソフトの4-6月期をめぐっては、人工知能(AI)サービスの提供基盤となるクラウド事業の利益率が横ばいにとどまる見通しで、稼ぐ力が不足しているとみなされかねないからだ。また、マイクロソフトが展開するAIサービスではライバルとの価格競争が始まっており、マイクロソフトが4月に示した値上げ方向での料金体系変更には、顧客獲得を難しくする側面があるともいえる。一方、マイクロソフトの株価は10年ぶりの割安感となっていて、これ以上の株安は進みにくいとの見方も成り立つ。29日の決算会見で業績の見通しの明るさが示されれば、株価が急上昇する可能性もある。ただ、業績が好調な場合でも、マイクロソフトが29日に示すとみられる2027年6月通期の設備投資の見通しで増加ペースの加速が示されれば、株価が急落する展開も考えられそうだ。
マイクロソフトは米国東部時間29日午後5時30分(日本時間30日午前6時30分)から決算会見を開く。ブルームバーグのまとめによると、マイクロソフトの4-6月期決算に関する事前予想では、総収入が前年同期比14.8%増の877.38億ドル、1株当たり利益(EPS)が16.4%増の4.25ドルになると見込まれている。予想通りであれば、総収入は前四半期(1-3月期)の18.3%増から成長が減速。1株当たり利益の伸び率も前四半期(23.4%増)より低くなる見通しだ。マイクロソフトは直近27回の四半期決算のうち、総収入が市場予想を下回ったのは2回だけ。1株当たり利益でも市場予想を超えられなかったのは1回だけだ。
マイクロソフトの株価(MSFT)の21日の終値は397.75ドルで、前回決算発表があった4月29日との比較では6.29%安。2025年10月28日の最高値(542.07ドル)からは26.62%安に沈んでいる。マイクロソフトの株価は最高値の翌日の2025年7-9月期決算発表で設備投資額のペースを加速させる方針を発表して以降、低迷が続いている形だ。半面、21日の終値は6月25日につけた直近の安値(352.83ドル)からは12.73%高となっている。
ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想1株当たり利益から算出される株価収益率(PER)は21日段階で20.5倍程度。前回決算発表当日の23.2倍程度から割安感が強まっている。株式市場でのAIブームが本格化した2023年以降の平均値である29.6倍も大きく下回っている。アナリストが提示する目標株価の平均は556.97ドルで、足元の株価よりも40%高い、最高値を超える水準。7月中旬以降には650ドルまでの値上がりを見込む声も出ている。74人のアナリストのうち、70人は買い、3人は維持、1人は売りを勧めている。
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マイクロソフトの4-6月期決算で総収入の減速が見込まれている背景にはクラウド事業の伸び悩みがある。ブルームバーグのまとめでは、クラウド事業の収入は前年同期比27.8%増の381.71億ドルと予想されており、伸び率は前四半期の29.6%増よりも低くなる見通し。また営業利益は25.2%増の152.00億ドルが見込まれ、営業利益率は前四半期から横ばいになりそうだ。投資家の間では、大手各社が巨額の設備投資を積み重ねているにも関わらず、利益を十分に伸ばせていないとの懸念が強まっており、マイクロソフトが4-6月期決算で利益率を高められなければ、株価に下落圧力がかかる可能性がある。
マイクロソフトの稼ぐ力が不安視される要因には、AIサービスにおける価格競争がある。AIサービスをめぐっては、中国のAI開発企業の「DeepSeek(ディープシーク)」が低料金を武器としてシェアを高めているとみられているほか、メタ・プラットフォームズ(META)も低価格戦略を打ち出している。さらに17日には中国のムーンショットAIの最新の高性能モデルも注目を集めており、大手ハイテク各社はAI事業の収益化が難しくなる懸念がある。マイクロソフトは4月27日、クラウド事業の一角である、AI機能コパイロットを搭載したソフトウェア開発支援サービスGitHubについて、AI機能の使用量に応じた従量課金を組み合わせた料金体系への移行を発表。クラウド事業の利益アップを狙う施策が顧客獲得の障害になる恐れもある。
一方、マイクロソフトの株価の割安感は記録的ともいえる。ブルームバーグによると、マイクロソフトの予想株価収益率は6月25日には19.0倍まで低下。2016年7月19日(18.4倍)以来、10年ぶりの低さとなっている。マイクロソフトの予想1株当たり利益は7月21日段階で、前回決算発表から6.03%増となっているにも関わらず、株価は6.29%安という不振ぶりだ。マイクロソフトの総収入の成長が減速する見通しであるとはいえ、予想株価収益率が20倍を割り込む水準には売られすぎとの印象も強い。このため29日の決算発表で、営業利益率の上振れや、AI関連サービスの人気が示されるなどすれば、株価が急反発する可能性もある。
ただ、マイクロソフトが29日の決算発表に際して示すとみられる、2027年6月通期の設備投資の見通しは投資家にとっての不安材料。2026年6月通期の設備投資額の伸び率が前期比63.6%増まで高まる見込みのなか、さらなるハイペースでの積み増しが示されれば、株式市場で悪材料視されることは避けられない。マイクロソフトの株価の最高値からの転落が設備投資計画の上方修正から始まったことを踏まえれば、29日の決算発表には急落リスクも潜んでいるといえそうだ。
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