アマゾンの4-6月期決算は成長が加速する見通し。ただ、投資家の懸念が強い設備投資の積み増しが進めば、株価には逆風だ。
アマゾン・コムが30日に行う2026年4-6月期決算発表は堅調な業績が見込まれている。高成長を続けてきたクラウド事業では、人工知能(AI)ブームを背景とした成長加速が続いている見通し。また大黒柱の小売関連事業も、イラン戦争に伴う先行き不安を跳ね返す形での成長加速が予想されている。ただ、アマゾンはAIサービス拡充のための設備投資負担の大きさに加え、7月に入ってからも250億ドルの社債を発行しており、投資家の間では財務面での不安も意識され始めている。このためアマゾンの30日の決算発表で、設備投資見通しの上積みや利益成長の弱さが示された場合には、割安感が出ている株価がさらに下落するリスクも潜んでいそうだ。
アマゾンはアメリカ東部時間30日午後5時(日本時間31日午前6時)から決算会見を開く。ブルームバーグがまとめたアマゾンの4-6月期決算に関する事前予想では、総収入が前年同期比17.4%増の1968.42億ドルになる見通し。1株当たり利益(EPS)は8.3%増の1.82ドルと見込まれている。予想通りになれば総収入は5四半期連続で、成長率が前四半期の実績よりも高くなる。1株当たり利益の成長は、前四半期(1-3月期)の74.8%増からは急減速するとはいえ、前々四半期にあたる2025年10-12月期(4.8%増)よりは高くなる。アマゾンは2020年以降の25回の四半期決算のうち、6回で総収入が市場予想を下回った。1株当たり利益でも6回で市場予想を超えられなかった。
アマゾンの株価(AMZN)の22日の終値は244.85ドルで、前回決算発表があった4月29日との比較では6.92%安。前回決算発表から1週間後の5月6日につけた最高値(274.99ドル)からは10.96%安となっている。一方、6月25日の直近の安値(227.01ドル)からは7.86%高だ。
ブルームバーグによると、アマゾンの直近の株価と今後12か月の予想1株当たり利益から算出される株価収益率(PER)は22日段階で23.4倍。前回決算発表当日の27.3倍から低くなっているうえ、株式市場でAIブームが本格化した2023年以降の平均値の30.1倍も下回っている。アマゾンの予想株価収益率は、2月13日につけた20.8倍という約17年ぶりの低水準からは高くなっているものの、引き続き割安感があるといえそうだ。アナリストが提示する目標株価の平均は315ドル程度で、足元の水準よりも28%高い。83人のアナリストのうち、79人は買い、4人は維持を推奨している。
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アマゾンの4-6月期の成長加速が見込まれている背景にはクラウド事業への期待がある。ブルームバーグによると、4-6月期のクラウド事業の収入は前年同期比31.2%増の404.97億ドルと見込まれており、5四半期連続での成長加速が予想されている。アマゾンのクラウドサービスは、オープンAIやアンソロピックのほか、中国のディープシーク、ムーンショットAIなどのAIモデルが利用可能。アンディ・ジャシーCEOは前回決算会見で、多様なAIモデルをカバーしたアマゾンのクラウド事業の強みを強調していた。
またアマゾンの総収入の6割を稼ぎ出す小売り関連事業も成長が加速しているもよう。ブルームバーグのまとめでは、4-6月期の小売関連事業の収入は前年同期比13.3%増の1216.86億ドルとなり、2四半期連続で前四半期よりも伸び率が高くなる見通しだ。2月末に始まったイラン戦争後の原油価格の上昇は米国内の物価上昇圧力として働いているが、アマゾンのインターネット通販における価格競争力が堅調な業績につながっているとみられる。
ただ、アマゾンの株価にとっては引き続き、設備投資額の大きさという不安材料がちらつく。アマゾンが2月に示した2026年の設備投資額の見通しは2000億ドルで、マイクロソフト(MSFT)が5月に示した1900億ドルや、アルファベット(GOOGL)が7月22日に示した1950億-2050億ドルと並ぶ高水準だ。さらにアマゾンは設備投資を賄うために社債発行を繰り返しており、3月末段階での長期債務残高は2580億ドルまで拡大。これに加えて7月7日には250億ドル規模のドル建て社債を発行しており、ブルームバーグは既発の社債よりも金利を上乗せする度合いが過去の社債発行時よりも大きくなっていると報じている。
このためアマゾンの30日の決算会見では、2026年の設備投資見通しの上方修正の有無やクラウド事業などから得られる利益が成長しているかどうかにも注目が集まりそうだ。アルファベットの22日の4-6月期決算発表は業績の強さを示したものの、設備投資見通しの上積みが嫌気されて、時間外取引での株価下落につながった。アマゾンの株価には割安感があるとはいえ、決算発表が投資家を満足させられなかった場合、回復基調にある株価に改めて下落圧力がかかる恐れがある。
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