アルファベットの株価は6日までの2日続落で5%安。AIモデル開発への不安と財務問題が悪材料視されていて、急落リスクは今後も残りそうだ。
アルファベットの株価上昇が失速している。アルファベットの株価は6日までの2日連続で値下がりし、合計5%超の急落。5月中旬の最高値からは11%安の水準となり、7月下旬からの回復基調にブレーキがかかった。株価不振の要因のひとつは、アルファベットの人工知能(AI)モデルの性能面での評価が低迷し、かつてのAIモデルでの優位性が失われていること。また、AI関連事業拡充のために必要な設備投資負担の重さも投資家の不安を膨らませている。一方、アルファベットが7月下旬に発表した4-6月期決算は市場予想を超える好業績。AIサービスの提供基盤となるクラウド事業が収入面でも利益面でも好調だったことは投資家にっての安心材料だ。ただ、アルファベットの設備投資負担の大きさという問題は、これまで強みとみられてきたAI関連事業の幅の広さの裏返しともいえ、容易に解消できわけではない。同時に、アルファベットがAIサービスをめぐる競争を勝ち抜ける保証があるわけではなく、株価は今後も投資家心理の揺れ動きに大きく左右される可能性がある。
アルファベットの株価(GOOGL)の6日の終値は前日比1.29%安の357.75ドル。前日の4.03%安に続く値下がりで、2日合計では5.27%安となった。5月13日の最高値(402.62ドル)からは11.14%安にあたる水準だ。アルファベットの株価は2026年4-6月期決算発表の翌日の7月23日に前日比7.13%安の317.69ドルをつけた後は回復基調となっていたが、改めて下落圧力が強まったといえる。
アルファベットの株価の不振の背景にはAIモデル同士の競合激化がある。アルファベットは2025年11月に発表したAIモデル「Gemini 3」(ジェミニ3)が高い評価を集め、株価は「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の中で独り勝ちともいえる状況となっていた。ただ、その後は、ジェミニへの評価は低調。AIランキングサイトでの、アルファベットが5月19日に発表したジェミニ3.5への評価は、アンソロピックの「Claude Opus 5」やオープンAIの「GPT 5.6 Sol」だけでなく、メタ・プラットフォームズ(META)の「Muse Spark 1.1」や中国のムーンショットAIの「Kimi K3」などにも見劣りする評価となっている。
またアルファベットは今後のAIモデル開発も滞る恐れがある。アルファベットはジェミニ3.5を発表した際は、高性能モデルである「ジェミニ3.5プロ」を6月に発表するとしていたが、期限は守られず、7月21日の段階での説明では「3.5プロは準備が整い次第、幅広く利用できるようにする」と述べるにとどまっていた。
アルファベットのAI開発をめぐっては、AIを活用したタンパク質の研究で2024年のノーベル化学賞を受賞したジョン・ジャンパー氏が6月19日、グーグルから退社し、アンソロピックに移籍すると発表。さらに8月5日には、グーグルのチーフ・サイエンティストのジェフ・ディーン氏が退社し、科学の進歩を追求する自らのAIベンチャー企業を立ち上げるとしている。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、ディーン氏のAIベンチャーに参加するAI研究者のサンジェイ・ゲマワット氏はグーグルのAIインフラは広告や検索の最適化には高い能力を発揮するとしつつ、研究のために必要なAIインフラとは異なるものだとの見方を示している。
さらに、アルファベットの株価にとっては、AIインフラ整備に投じられる資金が膨らみ続けていることも悪材料だ。アルファベットの4-6月期の設備投資額は前年同期比2倍の449億ドルに到達。事業活動で受け取った金額から設備投資のために支払った金額を差し引いたフリーキャッシュフローはマイナス58.55億ドルとなり、初の赤字に転落した。アナト・アシュケナージCFOは決算会見で2026年通期の設備投資額は1950億-2050億ドルになるとしたうえで、2027年の設備投資額についても「大きく増加する」と強調。「魅力的な投資機会がある限りは投資を続ける」とも述べた。ブルームバーグは6日、アルファベットが最新の社債発行で250億ドルを調達すると報じており、この日の株価下落につながった。
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一方、アルファベットの業績は力強さを維持している。アルファベットの4-6月期決算は、総収入が前年同期比24.2%増の1197.96億ドルとなり、6四半期連続で成長率が向上。1株当たり利益(EPS)は、保有している宇宙開発企業のスペースX(SPCX)の株式などの評価益が膨らみ、前年同期の3.9倍にあたる9.11ドルとなった。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は、総収入が1169億ドル、1株当たり利益が2.91ドルで、発表された結果はいずれも市場予想を超える好決算だった。
またAIブームの追い風を受けてきたクラウド事業も成長を加速させている。アルファベットのクラウド事業の4-6月期の収入は前年同期比81.8%増の247.68億ドル。営業利益は3.1倍の88億ドルとなった。営業利益率は35.6%となり、11四半期連続で直前の四半期を上回る数字を残している。AIサービスをめぐっては各社による価格競争も始まっているが、4-6月期段階ではアルファベットの稼ぐ力に悪影響は及んでいないようだ。
ただ、アルファベットの設備投資負担の大きさという課題は簡単には解消されそうにない。アルファベットはこれまで、収益源となるクラウド事業に加え、AIモデルや半導体の自社開発までを手掛ける総合力が強みとみなされてきた半面、多様な分野で競争を勝ち抜くために必要な投資の額も巨額になる可能性があるからだ。
こうした中でAIモデルでの優位性が損なわれた状況が長引けば、投資家の不安はさらに高まる恐れがある。アルファベットの株価は今後も急落リスクを抱えた値動きとなることが考えられそうだ。
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