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豪ドル円、豪ドル高の復活も 2カ月半ぶり安値 ドル円の動向が焦点

豪ドルは2か月半ぶりの豪ドル安水準。金価格の下落が背景といえるが、ドル円相場で円安が急進すれば、豪ドル高が復活する可能性がある。

Source: Adobe Images

Written by

小雲 規生

小雲 規生

シニアファイナンシャルライター/Senior Financial Writer

作成日

豪ドル円相場の下落が続いている。豪ドル円相場は日本時間29日午前の取引で1豪ドル=111円台半ばで推移。前週末につけた2か月半ぶりの豪ドル安水準を維持している。オーストラリアの輸出品である金の価格の5月以降の急落が背景にあるといえるほか、ドル円相場が日本政府による為替介入への警戒で膠着状態に陥っていることも、豪ドル円相場での豪ドル高の要因となっている。一方、オーストラリア準備銀行(RBA)が6月の理事会で利上げを見送りつつも追加利上げ姿勢を維持していることは豪ドル高要因。オーストラリアの5月の消費者物価指数(CPI)は引き続き高水準で、改めて豪ドル高圧力が強まる可能性も残っている。また、豪ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、ドル円相場の動向の重要性が高い。原油価格の上昇や米国経済の強さが確認された場合にはドル円相場が大きく円安に動くことも想定され、豪ドル円相場が再び豪ドル高方向に動き出す可能性がある。

豪ドル円相場は111円台前半 35年9か月ぶり豪ドル高から後退

豪ドル円相場(AUD/JPY)は日本時間29日午前11時29分段階で1豪ドル=111.54円で取引されている。ブルームバーグによると、前週末(26日)のニューヨーク市場の終値は111.53円で、終値としては4月7日(111.31円)以来の豪ドル安水準だった。豪ドル円相場は6月2日の取引では114.92円をつけ、1990年9月6日(116.41円)以来の豪ドル高水準となっていたが、足元の相場の流れは豪ドル安に傾いているといえそうだ。

豪ドル円の日足チャートと主な出来事のグラフ

背景に金価格急落 豪ドルは他通貨よりも大きな値下がりに

豪ドル安の背景には豪ドル相場との相関関係が知られている金価格の値下がりがある。ブルームバーグによると、金のスポット価格(スポット金)の26日の終値は1オンス=4088.74ドルで、5月11日の4736.17ドルから13.67%安となっている。この間、豪ドルの対ドルレート(AUD/USD)は4.87%の豪ドル安となっている。

豪ドルの対ドル相場と金価格の推移のグラフ

FX市場では5月中旬以降、イラン戦争に伴う原油高がFRBの利上げ見通しを強めてきたことで、豪ドル以外の通貨もドルに対して弱くなっている。26日の終値を5月11日終値と比較した場合、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)は3.39%のユーロ安、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)は3.01%のポンド安だ。円の対ドル相場もこの間、2.81%の円安となっている。ただし、豪ドルの弱さは他通貨よりも程度が大きく、金価格の下落がオーストラリアの輸出や経済にとっての逆風になるとの連想が豪ドルに対する下落圧力を一層強めているとみることができそうだ。

豪ドル、円、ユーロ、ポンドの対ドル相場の推移のグラフ

また豪ドル円相場での豪ドル安には、ドル円相場(USD/JPY)が膠着状態に陥っているという事情もある。円は他通貨と同様に、FRBの利上げ見通しが値下がり要因となっているものの、投資家の間では日本政府が円安阻止のための為替介入に踏み切ることへの警戒も強い。ドル円相場はFRBがケビン・ウォーシュ新議長の下で初めて開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ姿勢を強調した翌日にあたる18日に1ドル=161円台後半に達して以降は、39年半ぶりの円安水準を目前にした横ばいでの値動きが続いている。

オーストラリア中銀は利上げ姿勢を維持 物価上昇への警戒継続

一方、豪ドル円相場ではオーストラリアの中央銀行にあたるRBAが追加利上げを見据えているという豪ドル高要因もある。RBAは16日までの理事会で4会合ぶりに政策金利を維持するとともに、声明文では「基調的な物価上昇率は依然として高すぎる」と強調し、「必要があれば政策金利をさらに引き上げる」ことも含めた対応をとるとの立場を示した。ブルームバーグによると、29日午前12時29分の金融市場で見込まれている12月理事会後の政策金利の水準は4.447%で、現状(4.35%)よりも0.097%ポイント高い。5月理事会までの3会合連続での利上げ後も追加利上げの可能性が39%程度、残っているとみられている形だ。

RBAの政策金利の見通しの推移のグラフ

実際、オーストラリアの物価上昇は高水準だ。オーストラリア統計局が24日に発表した5月CPIは総合指数の伸び率が前年同月比4.0%。前月(4月)の4.2%よりも低くなったとはいえ、RBAが目標とする2-3%を大きく上回っている。また価格変動が大きかった品目を取り除いた刈り込み平均での伸び率は3.6%で、前月(3.4%)よりも高くなった。ブルームバーグがまとめた市場予想の3.5%も超えている。RBAはイラン戦争に伴う原油価格上昇が始まる前の2月(25日)から利上げに着手しており、イラン情勢をめぐる緊張緩和で原油価格が開戦前の水準近くまで下がる中でも、物価上昇への警戒を緩めない可能性がある。

オーストラリアのCPIの伸び率の推移のグラフ

ドル円相場で円安急進の可能性 豪ドル円相場も豪ドル高へ反転か

こうした中、豪ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、ドル円相場の動向がカギを握りそうだ。ホルムズ海峡をめぐる情勢悪化が原油価格を上昇させた場合には、為替介入への警戒を突破する形で円安が進む可能性がある。また、米国で30日以降に発表される労働市場関連の経済指標に過熱感が出た場合も、円安圧力は強くなりそうだ。これらのケースでは豪ドルの対ドル相場にも下落圧力がかかりそうだが、これまで膠着状態が続いてきたドル円相場では円安の度合いが大きくなることも考えられ、豪ドル円相場での豪ドル安の流れが反転する可能性もある。

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