豪ドル高に根強さ 35年半ぶりの高値圏 日銀利上げでブレーキも
豪ドル円相場は114円前後。RBAの3度の利上げがもたらした豪ドル高水準が維持されている。一方、日銀の利上げの可能性は円高要因だ。
豪ドル円相場での豪ドル高圧力が根強さをみせている。豪ドル円相場は日本時間27日昼の取引で1豪ドル=114円前後で推移。1990年9月以来の豪ドル高水準が維持されている。27日に発表されたオーストラリアの4月の消費者物価物価指数(CPI)は物価上昇圧力の加速も感じられる内容となり、オーストラリア準備銀行(RBA)にとって気の抜けない結果だったことが要因だ。豪ドルはRBAが5月上旬の理事会まで3会合連続での利上げを決める中で強さを増してきただけに、今後も豪ドル高圧力の強さが意識される可能性がある。一方、豪ドル円相場にとっては、日本銀行の6月利上げの可能性が円高要因といえる。植田和男総裁が27日に行った講演からは利上げに前向きな姿勢がにじんでおり、豪ドル円相場での豪ドル高にブレーキがかかる可能性もありそうだ。
豪ドルは114円前後 35年8か月ぶりの豪ドル高水準を維持
豪ドル円相場(AUD/JPY)は日本時間27日午後1時25分段階で1豪ドル=114.04円で取引されている。ブルームバーグによると、豪ドル円相場は13日につけた114.74円が、1990年9月6日の高値(116.41円)以来、35年8か月ぶりの豪ドル高水準となっていて、足元でも強さが維持されているといえる。
オーストラリアの4月CPIは刈り込み平均で物価上昇加速 RBAは年内追加利上げか
豪ドル高の背景にあるのはオーストラリアの物価上昇の根強さだ。オーストラリア統計局が27日に発表した4月CPIの伸び率は、総合指数で前年同期比4.2%、価格変動が大きい品目を除いた刈り込み平均で3.4%だった。総合指数の伸び率は前月(3月)の4.6%から低下したものの、刈り込み平均の伸び率は前月(3.3%)から上昇している。
こうした4月CPIの結果はオーストラリアの中央銀行にあたるRBAの舵取りの難しさを示している。RBAはイラン戦争が2月末に始まる前の段階から物価上昇への警戒を強めており、2月2、3日の理事会で政策金利の引き上げを決定。5月4、5日の理事会まで3回連続の利上げで金融政策を引き締めてきた。19日に公表された5月理事会の議事要旨では3度の利上げの結果、「中東での紛争の展開やオーストラリアの個人や企業の対応を見極める余裕ができた」との見方が示されていたが、金融市場では引き続き年内の追加利上げが想定されている。ブルームバーグによると、27日午後1時25分段階の金融市場で見込まれている12月理事会後の政策金利の水準は4.560%で、利上げ確率は85%程度だ。
豪ドルの対ドル相場は3月末から5月初めに6.51%の豪ドル高 RBAの利上げが背景
実際、4月CPIの結果を受けた27日の豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)の値動きは、小幅な豪ドル安に留まっている。ブルームバーグによると、豪ドルの対ドル相場は27日午前10時台に前日のニューヨーク市場の終値から0.22%の豪ドル安に振れた後、ほぼ横ばいの値動きだ。
豪ドルの対ドル相場は、RBAが3会合連続での利上げを決める中、イラン戦争に伴う有事のドル買いがピークとなっていた3月30日の安値から5月6日の高値までの間に6.51%の豪ドル高となった。その後、米国内での物価上昇圧力の強さが米連邦準備制度理事会(FRB)に利上げを迫るとの見方がドル高要因となっていたが、足元ではイラン和平合意への期待を背景にドル買いの巻き戻しが起きている。
日銀の利上げの可能性は円高要因 6月利上げ確率は77%
一方、日銀の金融政策をめぐっては、RBAに追随する形での利上げが予想されている。ブルームバーグによると、27日午後1時25分の金融市場で見込まれている6月15、16日の金融政策決定会合後の政策金利の水準は0.921%で、現状よりも0.171%ポイント高い水準。6月利上げの確率は77%だ。12月までの追加利上げについても84%の確率が想定されている。
植田氏は利上げに前向きか 豪ドル円相場での豪ドル高にブレーキも
日銀の利上げの可能性は植田氏の27日の講演からもにじんだ。植田氏は1970年代以降から現在までの5回の原油価格急騰局面を分析する中で、物価の反応はケースごとに様々だったと指摘。物価が上昇傾向にある中でエネルギーショックが起きた1973年後半以降や、2021年以降のケースでは広範囲にわたる物価上昇がみられたと分析し、「予想物価上昇率がすでに高く、賃金が加速している場合、二次的波及効果は大きくなる」と述べた。植田氏は4月28日の決定会合後の記者会見で、日本経済が予想から下振れするリスクが大きくならなければ「利上げが可能になる」との見解を表明。予想物価上昇率については「大きく跳ね上がるというようなことは起きていない」とすると同時に、企業が賃金や価格を引き上げる積極性が高まっていることに注意する立場を示していた。
このため、今後、日銀の利上げへの期待が強まっていけば、豪ドル円相場での豪ドル高にはブレーキがかかる可能性もある。すでに3度の利上げを行ったRBAが当面は様子見を続ける可能性も踏まえれば、豪ドル円相場は横ばいの値動きになる展開も考えられそうだ。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。