原油価格急落 イラン和平覚書合意 WTIは3カ月ぶり安値の80ドル台
WTIは一時80ドル台まで下落。和平覚書合意が材料視されています。ただ、原油価格の原状回復への道のりは遠く、和平をめぐっては曲折も予想されます。
原油価格が急落した。原油先物市場の指標価格であるWTI(7月渡し)は日本時間15日の取引で一時、1バレル=80ドル台前半まで値下がり。イラン戦争の初期にあたる3月10日以来の安値となった。協議が続けられてきたイラン和平の覚書に関し、アメリカとイランの双方から合意成立が公表され、ホルムズ海峡の開放が視野に入ったためだ。原油価格をめぐる上昇圧力は緩和したといえる。ただ、イラン戦争開始前のWTIが67ドル台で取引されていたことを踏まえれば、ホルムズ海峡封鎖が原油価格にもたらした混乱が完全に収まったとはいえない。また、米国とイランが今後進めるイランの核開発などをめぐる協議には曲折も予想され、引き続き、原油価格の波乱要因となる可能性も残っている。
WTIは一時80.25ドル 3カ月ぶり安値まで下落
WTI(7月渡し、WTI原油)は日本時間15日午前10時12分段階で1バレル=80.97ドルで取引されている。ブルームバーグによると、週初めの取引開始直後にあたる午前7時00分には80.25ドルをつけ、3月10日(76.73ドル)以来の安値となった。WTIは前週末12日終値までの2日続落で合計5.72%安となっており、15日はさらに下落が進んでいる形だ。
イラン和平覚書での合意を米国とイランが公表 19日に正式署名の見通し
原油価格を下落させたのは、イラン戦争をめぐって発表された和平の覚書での合意だ。ドナルド・トランプ大統領は日本時間15日午前6時29分(米国東部時間14日午後5時29分)、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、「イランとの合意が今、成立した」と投稿。約1時間後には、19日の覚書への署名をもってホルムズ海峡が開放され、中東での石油貿易が再開されるとした。また、イランメディアのプレスTVなどは、イランの外務副大臣も覚書での合意を認め、19日にスイスで正式な署名が行われると明かしたと報じている。
WTIはイスラエルと米国がイラン攻撃を始めた2月27日以降、急騰。日本時間3月9日の取引時間中には1バレル=119.48ドルをつけ、3年8か月ぶりの高値を記録していた。その後は、WTIが4月7日の終値で112.95ドルをつけた数時間後、トランプ氏が「イランに対する爆撃を2週間停止することに同意する」と発表したことが、原油価格の上昇基調に歯止めがかかるきっかけとなっている。今回の覚書での合意は、5月下旬以降に高まった和平の可能性を一層高める内容で、原油価格への上昇圧力は弱まった。
原油価格の現状回復には時間か イラン核開発をめぐる協議も波乱の火種に
ただ、原油価格の足元の水準は原状回復とは言い難い。WTIの15日の安値(1バレル=80.25ドル)はイラン攻撃開始前日にあたる2月27日の終値との比較では19.74%高で、まだまだ「原油高」の状況は崩れていないとみることもできる。ブルームバーグによると、WTIの12月渡しの価格は75ドル前後で、原油価格が戦争開始前の水準に戻るには時間がかかるとの金融市場の見通しが反映されていそうだ。イラン戦争は中東各国の石油関連施設に被害を出したうえ、各国がホルムズ海峡封鎖に伴って抑制した原油生産の回復には時間がかかるとみられている。
また、今後、イランがホルムズ海峡に敷設した機雷の除去などを経て貿易が再開された場合でも、中東情勢をめぐるリスクは残り続ける。米国とイランは60日間かけて、イランの核開発などについて協議するとみられ、ここで合意が成立しなければ、ホルムズ海峡をめぐる緊張感が再び高まるとの懸念も拭えない。イランが求めている経済制裁の解除や凍結資産の返還などをめぐる両国の隔たりが埋まったかどうかは定かではなく、原油価格の上昇が再燃する展開となれば、改めて金融市場に波紋を広げる可能性もありそうだ。
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