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原油価格、急落継続 WTIが75ドル イランの原油輸出再開見通しで

WTIは4営業日で16%の下落。イラン和平の覚書にイランの原油輸出の即時再開が含まれていると報じらたことが材料視されている。

原油価格、急落継続 WTIが75ドル イランの原油輸出再開見通しで 出所:Adobe Images

原油価格の急落が続いている。原油先物市場の指標価格であるWTI(7月渡し)は日本時間17日午前の取引で1バレル=76ドル台前半で推移。一時は75ドル台をつける場面もあり、4営業日の間に16%安となっている。期待が高まるイラン和平合意をめぐっては、イランが19日に予定されている覚書の署名後すぐに原油や石油製品の輸出を再開できるとも報じられており、原油の価格の先高観は急速に後退している。一方、和平の覚書が署名に至った場合でも、ホルムズ海峡の安全確保や中東各国の原油生産の再開には時間がかかる可能性もあり、署名後に始まるイランの核開発をめぐる協議や停戦の維持には曲折も予想される。このため原油価格の今後の見通しをめぐっては、下落ペースが鈍化することも考えられそうだ。

WTIは一時75.52ドル 4営業日で16%超値下がり

WTI(7月渡し、WTI原油)は日本時間17日午前11時39分段階で1バレル=76.11ドルで取引されている。ブルームバーグによると、午前1時台には75.52ドルまで値下がりし、イラン戦争初期にあたる3月5日(74.97ドル)以来の安値となった。10日のニューヨーク市場終値(90.03ドル)からは16.12%安の水準だ。WTIは11日以降、ドナルド・トランプ大統領が和平協議の内容がイランの最高レベルの指導部に承認されたと明かしたことや、覚書での合意が発表されたことで下落が続いている。

WTIの推移と主な出来事のグラフ

イランは覚書署名後すぐに原油輸出再開可能か 原油価格の先高観が急激に後退

WTIの下落はイランの原油輸出が近く再開されるとの見方が出たことで拍車がかかった。ブルームバーグは日本時間17日未明、覚書の最終草案では、署名後すぐに米財務省がイランの原油や石油製品などの輸出に関する経済制裁の免除措置を発令することが含まれていると報道。米軍はイランに対する海上封鎖を終了し、米国とイランの両国が30日以内にホムルズ海峡を戦争開始前の状態に戻すための取り組みを進めることなども合意されるという。

こうした中、原油先物市場では原油価格の先高観が急激に後退している。WTIの価格を受け渡し期日別にみると、7月渡しの16日の終値は76.05ドルとなり、次に受け渡し期日が近い8月渡しの終値(75.27ドル)よりも0.78ドル高い水準となった。7月渡しの価格は約2週間前の3日段階では8月渡しよりも3.31ドルも高かったことを踏まえれば、両者の価格差は大きく縮まったといえる。先物市場では受け渡し期日が近い商品の価格が期日が遠い商品よりも高い状態は買い意欲の強さの表れとされており、足元の価格差縮小は買い意欲の弱まりを反映しているとみることができそうだ。

WTIの期日別価格の推移のグラフ

中東各国の原油輸出再開には時間も 原油価格下落は減速の可能性

一方、米国とイランが和平合意の覚書に署名した場合でも、中東各国の原油輸出再開には時間がかかる可能性もある。イランがホルムズ海峡に敷設した機雷の除去や、民間のタンカーが航行の安全を確認するために時間を要することも考えられるからだ。また中東での戦火はイランに加え、他の産油国のエネルギー関連施設に被害を与えており、復旧にかかる時間も定かではない。さらに周辺産油国は、原油や石油の輸出ができない状況が貯蔵設備の容量不足を招いたことで、原油生産を抑制しているとされ、生産回復には数週間から数か月かかるとも指摘されている。

また覚書署名後に60日間かけて行われるとされるイランの核開発をめぐる協議は難航も予想される。和平継続の条件であるイスラエルとレバノンを拠点とする親イラン組織ヒズボラとの停戦についても不安は大きい。イスラエルメディアによると、イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相は15日の記者会見で、イスラエル軍はレバノン南部への駐留を「必要な限り」続けるとの意向を表明。撤退を求めるイラン側との食い違いが表面化している。

原油先物市場でイラン和平実現の織り込みが進む中、今後は原油輸出再開や停戦継続の危うさが材料視され、原油価格の下落にブレーキがかかる可能性もありそうだ。


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