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TSMCに新たな課題 需要激増 設備投資と利益確保へかじ取り難化

TSMCは2025年の総収入見通しを上方修正。AI需要の激増が要因だが、設備投資拡大と利益確保の両立の難易度は増している。

TSMCに新たな課題 需要激増 設備投資と利益確保へかじ取り難化 出所:Adobe Images

半導体受託製造最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が人工知能(AI)ブームの継続性に裏付けを示した。TSMCは16日の2025年7-9月期決算発表に際し、2025年の総収入の伸び率の見通しを前年比30%台半ばまで上方修正。AIの開発やサービスの展開に不可欠な最先端半導体への需要の強さが鮮明になっている。また魏哲家(シーシー・ウェイ)CEOは米中関係悪化が及ぼす影響についても楽観しており、急成長の足を引っ張る要因とはいえなさそうだ。ただ、対話型AIサービスChatGPTで知られるオープンAIなどのAIサービス拡充への強い意欲は、TSMCに生産能力の拡大に向けた投資と利益の確保の両立という難題をつきつけている。同時にオープンAIなどもAIサービスの拡充を収益につなげる必要があり、16日の株価の値動きからは今後の大手ハイテク各社の決算発表を見極めようという様子見ムードも感じられる。

TSMCは2025年の総収入の成長率見通しを30%台半ばに AI需要が劇的増加

TSMCが16日に発表した7-9月期決算は、総収入が前年同期比40.8%増の330.97億ドル。米国に上場している米国預託証券(ADR)ベースの1株当たり利益は50.5%増の2.92ドルだった。総収入と1株当たり利益はいずれも、ブルームバーグがまとめた市場予想を上回った。総収入はすでに発表されていた台湾ドルベースでの総収入をドル建てに換算した数値(330.49億ドル)とほぼ一致した。

TSMCの業績の推移のグラフ

TSMCの魏CEOは16日の決算会見で2025年通期の総収入について「前年比30%台半ば」との見通しを提示。3か月前の前回(4-6月期)決算発表時に示した「30%程度」から上方修正した。魏氏はAI関連の半導体需要について、「3か月前に考えていたよりもはるかに強い」としており、TSMCの今後の成長に自信を示している。

また魏氏はアメリカと中国の関係悪化がTSMCの業績に及ぼす悪影響についても楽観的な見方を示した。仮に米国の対中政策の結果として中国向け輸出が制限された場合でも、AI関連需要が劇的に増えると予想されていることから、「われわれの顧客の業績の強さは確信できる」と言及。AI関連の収入が2029年までの5年間、年率換算40%台半ばのペースで伸びるという1月に示した見通しに変化はないとした。

2025年の設備投資額は前年比37.8%増の見通し ちらつく過剰設備リスク

一方、顧客企業からの莫大な需要は、TSMCに生産能力拡充という課題をつきつけている。TSMCは16日、2025年通期の設備投資額は400億-420億ドルの範囲だとの見通しを示し、これまでの380億-420億ドルの範囲から上方修正。中間値の410億ドルは前年比37.8%増となり、総収入の増加ペースと合わせて設備投資を積み増すことになる。

TSMCの設備投資額の推移のグラフ

ただ、数年後の需要を見据えた設備投資を行った後で、実際には需要が伸び悩む事態が起これば、TSMCは過剰設備を抱え込むという苦境に陥りかねない。このため魏氏は16日の決算会見で、需要の大きさを正確に把握して適切な設備投資の額を決めることの重要性を強調。AIサービスの展開を競い合うオープンAIや大手ハイテク各社を念頭に「顧客企業の顧客」からも直接要望を受けつつ、「株主のために利益を確保しながらの成長を確実なものにする」としている。

オープンAIなどの収益性にも不安 株価は大手ハイテク決算まで様子見ムードか

また収益性の確保はオープンAIなどのAIサービスを展開する側にとっても重要課題だ。オープンAIは米国の半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)やアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)、ブロードコム(AVGO)と個別に戦略的な連携を発表し、合計26ギガワット(2600万キロワット)相当のデータセンターを展開する構想を示しているが、資金調達手法の不透明さも指摘されている。大手ハイテク各社も2025年にそれぞれ690億-1200億ドル程度の設備投資を行う見通しだが、収益性が損なわれることへの投資家の不安は根強い。

こうした中、16日の米国の株式市場ではTSMCの株価(TSM)が前日比1.60%安となったほか、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)も0.06%高という小幅な値上がり。エヌビディアは1.10%高、英半導体大手のアーム・ホールディングス(ARM)は0.30%高だが、上値の重さも感じられる。投資家の関心は29日と30日に行われる大手ハイテク5社の7-9月期決算発表に向かっている可能性があり、各社の収益見通しが良好であることが確認されるまでは、株価上昇が勢いづかない展開も想定される。

TSMC、エヌビディア、アーム・ホールディングスなどの株価の推移のグラフ

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