米国株 週間見通し(11/17~21週):AI相場はエヌビディア決算次第、S&P500週後半の変動拡大を警戒
S&P500の週間見通し。AI銘柄の割高感懸念をエヌビディアの決算が払しょくするか?株価指数CFD「米国500」のチャート水準をIG証券のアナリストが詳細に解説。
要点
- 11月に入りAI銘柄の割高懸念が強まりアップル以外の主力銘柄が下落
- 今週の米株式市場は19日のエヌビディア決算にらみとなろう。週後半は大きく動くことが予想される。特にAI銘柄の影響を受けるS&P500の変動拡大を警戒したい
- 株価指数CFD「米国500」の週間予想レンジは6560~6820
ブルームバーグの価格データで作成
11月のS&Pコミュニケーション・サービスと情報技術の両セクターが各々2.53%安、3.75%安と、下落最大の一般消費財セクターの4.25%安に続き軟調地合いにあることも考えるならば、AI銘柄の割高感懸念が米市場を覆っている。
S&Pセクター別の変動率:月初来
ブルームバーグの価格データで作成 / 11月14日時点
市場の関心はエヌビディア決算に集中
19日の取引終了後にAI半導体大手エヌビディア(NVDA)が2025年8〜10月期(FY2026 Q3)決算を発表する。市場が抱くAI銘柄の割高懸念に大きな影響を与えることが予想される。
ブルームバーグがまとめたコンセンサス予想では、売上高が前年同期比57.15%増の551億ドル、調整後1株当たり利益(EPS)は1.26ドル(前年同期0.81ドル)が見込まれている。総売上高の8割以上を占めるデータセンター事業の売上高は前年同期比59.71%増の491億ドルと、堅調な伸びが見込まれている。
市場は同社の成長性を重視している。ゆえに焦点は業績の見通しとなろう。ブルームバーグがまとめたコンセンサス予想によれば、2025年12月~2026年1月期(FY2026 Q4)の売上高は前年同期比56.68%増の616億ドル、EPS(調整後)は1.43ドル(前年同期0.89ドル)が見込まれている。データセンター事業の売上高は58.04%増の562億ドルを見込む。
利益率も材料視される可能性があろう。同社はQ3の売上高総利益率(非GAAPベース)を73.5% ± 0.5%と見込んでいる。一方、ブルームバーグのコンセンサス予想によれば、Q4は74.63%を見込む。
売上高・データセンター売上高・売上高総利益率の推移
ブルームバーグのデータを基に作成 / 11月14日時点のコンセンサス予想
※1:Q3のアナリストコンセンサス
※2:Q4のアナリストコンセンサス
企業向けAI システム「GB300」の需要増加やアルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)などのハイパースケーラーによる設備投資の増加が追い風となり、成長性に対する投資家の期待をつなぎとめることに成功する場合、同社の株価は再び200ドル台の攻防となることが予想される。
エヌビディアの好決算が他のAI銘柄の買い戻しを促す場合、これら銘柄の影響を大きく受けるS&P500は再び6800台の攻防を意識したい。一方、エヌビディア決算が投資家の失望を誘う場合は、調整売りの加速を警戒したい。
今週の株価指数CFD「米国500」は、以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。週後半の変動拡大を想定したい。
米国500の週間見通しとチャート分析
今週の展望
AI銘柄の高値警戒感とエヌビディア(NVDA)の決算を見極めたいとの思惑が重なり、今週前半のS&P500は上値の重い展開が予想される。
エヌビディアの決算がAI銘柄の買い要因となれば、S&P500は6800ポイント台を視野に反発が予想される。一方、同社決算がAI銘柄の売り要因となれば、S&P500の調整売りが続こう。株価指数CFD「米国500」の週間予想レンジは6560~6820。
上限:6820
エヌビディア(NVDA)決算がAI銘柄の買いを促す場合、米国500は以下にまとめた上値水準の攻防に注目したい。
焦点は25日線の攻防だ。直下の6763レベルは直近の高値と安値の半値戻しにあたる(1時間足チャート、赤矢印を参照)。先週14日の市場では25日線とともに相場の反発を止めた。25日線がレジスタンスラインに転換すれば、地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。同じくレジスタンス転換の可能性がある6760レベルの突破は、25日線をトライするシグナルと捉えたい。
米国500が25日線を突破すれば、次は6800ラインのトライが焦点に浮上する。直下の6780レベルはフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。
米国500が6800台へ上昇する場合は、6820のトライを想定したい。この水準はレジスタンスラインに転換する可能性がある。また、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準にあたる。日足のMACDは低下に転じ、RSIは50を下回る状況にある。強気地合いが後退しているサインが点灯していることを考えるならば、6820を今週の上限と予想する。
今週の上値水準
・6820:今週の上限(予想、1時間足)
・6800:レジスタンスライン(日足)、直下に61.8%戻し(1時間足)
・6766:25日線(日足)、直下に半値戻し(1時間足)
・6760:レジスタンス転換の可能性あり
下限:6560
エヌビディア(NVDA)の決算がAI銘柄の売り要因となれば、米国500は以下にまとめた下値水準の攻防に注目したい。
最初の焦点は6650レベルの維持となろう。今月7日と14日の下落を止めたことで、サポート転換のムードが高まっている(日足チャート、青矢印を参照)。フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準に当たることも考えるならば、今週の重要サポート水準として意識したい。
米国500が50日線を再び下方ブレイクする場合は、6650トライを想定したい。50日線のトライは6700ラインの攻防を意味する。6650を完全に下方ブレイクする場合は、次の節目水準6600ラインを視野に下落拡大を予想する。
AI銘柄の高値警戒感が強まる中、エヌビディアの決算が投資家の失望を誘う内容となれば、米国500は6650レベルを下方ブレイクする可能性がある。変動拡大を警戒し、今週は90日線が推移している6560レベルまでの下落を想定しておきたい。上の水準6566レベルは、8月の安値と10月高値の半値戻しの水準にあたる。テクニカルの面で6560レベルもまた、重要なサポートラインとして意識されやすい状況にある。
今週の下値水準:日足チャート
・6704:50日線
・6650:38.2%戻し
・6600:サポートライン
・6560:今週の下限(予想)、90日線、半値戻し
米国500の日足チャート:2025年7月以降
TradingView提供のチャート
米国500の1時間足チャート:11月11日以降
TradingView提供のチャート
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