米国株、崩れぬ楽観 S&P500反発 米中対立や経済不安は見通しに影
S&P500は2日、反発。米中対立や経済見通しが悪くなる中でも楽観ムードの強さを示した。5月雇用統計などでムードが変わる可能性もある。

アメリカの株式市場で楽観ムードが続いている。S&P500種株価指数の2日の終値は前週末比0.41%高で、2営業日ぶりの反発。2日には米中対立の悪化や米国経済の不振を示すニュースが出たにも関わらず、上昇機運が維持された形だ。5月28日の決算発表で逆風に負けない成長性を感じさせた半導体大手NVIDIA(エヌビディア)など、大手ハイテク株が牽引役となっている。ただ、2日の金融市場では長期金利(10年物国債利回り)の上昇やドル安といった米国経済への不安を感じさせる値動きもあった。米国経済をめぐっては今後も、5月雇用統計など注目の経済指標の発表が控えていることもあり、S&P500の見通しが悪化することも考えられそうだ。
アメリカのS&P500は反発 取引開始直後の値下がり後、回復
S&P500(SPX)の2日の終値は5935.94で、5月20日(5940.46)以来、約2週間ぶりの高値。取引開始から30分後には前日比0.81%安まで下げる場面もあったが、その後は上昇に転じていった。大幅な値下がりから回復する値動きは、0.1%安だった前週末5月30日と同じだ。

中国が米国の半導体輸出規制などを批判 5月製造業PMIは予想よりも悪い結果
S&P500の午前中の値下がりは米国経済をめぐる悪いニュースが影響した。中国国営新華社通信によると、中国商務省の報道官は2日、米国と中国が5月12日に発表した関税大幅引き下げ合意に関連し、米国が合意内容を深刻に損ねていると表明。人工知能(AI)向け半導体の輸出規制に関する指針を発表したことや、半導体設計に必要なソフトウェアの販売を止めていること、中国人学生へのビザのキャンセルを発表したことなどを批判した。トランプ氏が5月30日、関税引き下げ合意に中国が違反しているとしたことに対し、中国側が対決姿勢を示した形だ。
また、米サプライマネジメント協会(ISM)が2日に発表した5月の製造業景況感指数(PMI)は48.5で、ブルームバーグがまとめた市場予想の49.5を下回った。ISMは「5月の製造業の活動はさらに縮小の度合いを深めた」としている。


投資家のS&P500に対する楽観は、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の値動きからも感じられる。シカゴ・オプション取引所によると、VIXの2日の終値は18.36で、3営業日連続で前日よりも低くなった。4月以降のS&P500急落の背景となった米中対立の深刻化をめぐる悪材料が出ているにも関わらず、投資家の不安は高まっていないといえる。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど今後の値動きが荒くなることへの警戒感が強いことを示す。

債券市場やFX市場では米国経済への不安表面化 S&P500の見通しに影
ただ、金融市場では米国経済への不安の芽は出ている。ブルームバーグによると、米国の長期金利(10年物国債利回り)の2日のニューヨーク市場での終値は4.442%で、前日から0.039%ポイント上昇。米中対立悪化や、5月22日に下院を通過した債務上限引き上げを盛り込んだ減税関連法案の上院での審議が難航するとの見方が米国債の売りにつながり、長期金利が上昇している可能性がある。

また米国の長期金利が上がる中でも、FX市場ではドル売りが進んだ。ブルームバーグによると、2日のニューヨーク市場でのドル円相場(USD/JPY)の終値は1ドル=142.71円で、前週末終値から1.31円の円高が進行。豪ドルやユーロ、ポンドもドルに対して値上がりしている。

このためS&P500の今後の見通しをめぐっては、債券市場やFX市場での米国経済に対する不安が株式市場にも波及するかが焦点となる。4日にISMが発表する非製造業(サービス業)PMIや、5日発表の週次の失業保険関連統計、6日発表の5月雇用統計といった注目度の高い経済指標が米国経済の弱さを示した場合、S&P500をめぐる楽観ムードが後退する可能性も残っていそうだ。
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