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米国株、年末見通し不安 S&P500上昇 年末ラリー3年連続失敗も

S&P500は3営業日続伸。年末年始のラリーへの期待も高まるが、FRBの利下げへの期待の揺らぎや割高感が悪材料視になる可能性もある。

米国株、年末見通し不安 S&P500上昇 年末ラリー3年連続失敗も 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場の明るさが増した。S&P500種株価指数の22日の終値は前週末比0.64%高。3営業日続伸で約2週間ぶりの最高値更新が迫っている。12月中旬にS&P500を下落させた人工知能(AI)ブームの継続性をめぐる懸念は改めて後退したもようで、半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価も3日続伸となった。こうした中、年末年始は株価が上昇しやすいとされる経験則「サンタクロース・ラリー」への期待も膨らむ。ただ、サンタクロース・ラリーは直近2年は不発に終わっており、24日から始まる今回のラリー期間中も米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しの揺らぎや株価の割高感が逆風になる可能性がある。また、米国の実体経済をめぐっては23日に2025年7-9月期のGDP速報値が発表される予定で、実質成長率が予想よりも下振れた場合には楽観ムードに冷や水がかかる恐れもありそうだ。

アメリカのS&P500は3営業日続伸 最高値から0.33%安まで上昇

S&P500(SPX)の22日の終値は6878.49。ブルームバーグによると、3営業日続伸の間に2.34%高となり、11日につけた最高値(6901.00)から0.33%安の水準まで戻ってきた。S&P500は12月中旬、クラウド事業を手掛けるオラクル(ORCL)や半導体大手のブロードコム(AVGO)の決算発表が投資家を満足させられなかったことや、オラクルがオープンAI向けに建設を計画しているデータセンターの資金調達をめぐる不安などを背景に最高値から遠ざかっていたが、回復基調がはっきりしてきた。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

エヌビディアも3営業日続伸 AIブームの継続性をめぐる不安は後退

AIブームをめぐる懸念の後退は、S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の値動きからも分かる。ブルームバーグによると、エヌビディア(NVDA)の22日の終値は前週末比1.49%高となり、S&P500と同様に3営業日続伸。この間で7.46%高となっている。AI関連事業の総合力が評価されているアルファベット(GOOGL)も22日までの3営業日続伸で合計4.40%高だ。22日の取引ではこのほか、テスラ(TSLA)、アマゾン・コム(AMZN)、メタ・プラットフォームズ(META)も値上がりしている。

アルファベット、エヌビディア、テスラ、マイクロソフト、アップル、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コムの株価の推移のグラフ

こうした中、投資家心理も大きく改善した。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の22日終値は前週末よりも5.57%低い14.08。2024年12月13日(13.81)以来の低水準となっている。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど今後の値動きが荒くなることへの警戒感が強いことを示す。

VIXとS&P500の推移のグラフ

サンタクロース・ラリーの達成なるか 直近2年はS&P500が下落

株式市場に楽観ムードが出る中、年末年始のS&P500の値動きをめぐっては、サンタクロース・ラリーへの期待も高まる。サンタクロース・ラリーは米国株式市場の年末の5営業日と年始の2営業日は株価が上がりやすいとされる経験則だ。ブルームバーグの2000年以降のデータによると、ラリー期間中のS&P500の上昇率は平均0.84%高。2000年以降の7営業日騰落率の平均(0.20%高)を大きく上回っている。2016年からは7年連続で期間中の値上がりを達成した。

2000年以降のサンタクロースラリー期間中の騰落率のグラフ

ただ、サンタクロース・ラリーは2023年と2024年は不発に終わっている。2023年末からのラリー期間のS&P500は0.88%安。年明けの2024年1月3日に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨がFRBの早期利下げの確度を強めなかったことが響いた。また、2024年末からのラリー期間のS&P500は0.53%安で、2024年12月26日から2025年1月2日にかけて5営業日続落している。S&P500をめぐる割高感や大手ハイテク株の不振、ドナルド・トランプ大統領の就任を控えた不安が悪材料になった

30日の議事要旨でFRBの利下げ見通し揺らぐ恐れ 7-9月期GDP速報値も焦点に

このため、24日から2026年1月5日にかけてのサンタクロース・ラリーにも不安がつきまといそうだ。12月30日にはFOMCの議事要旨が発表される予定で、FRBが2026年の利下げに慎重だとの受け止めが広がれば、S&P500にとって逆風になる可能性もある。またS&P500の割高感は1年前とほぼ同水準であることも懸念材料。ブルームバーグによると、S&P500の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率は22日時点で22.9倍で、1年前の12月20日(22.6倍)と大差ない。S&P500の足元での年間上昇率が16.95%高という高水準であることも、年間上昇率が20%を超えた2023年や2024年と類似している。

S&P500と株価収益率の推移のグラフ

またサンタクロース・ラリー期間直前の23日の午前8時30分(日本時間23日午後10時30分)には政府機関一部閉鎖で発表が遅れていた7-9月期GDPの速報値が発表される。ブルームバーグがまとめた市場予想では実質成長率は前期比年率3.3%と見込まれているが、発表される結果下振れした場合には米国経済悪化への懸念が強まってS&P500に下落圧力がかかる可能性もありそうだ。

アメリカの GDP実質成長率と項目別寄与度の推移のグラフ

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