米国株、雇用統計ショック走るか S&P500反落 利下げ見通し後退
S&P500は最高値から後退。9日の雇用統計発表を控え、警戒感が強まっている。大手ハイテク株が苦戦する中、ショックが走る恐れもある。
アメリカの株式市場が2026年最初の関門に身構えている。S&P500種株価指数の7日の終値は前日比0.34%安で、年明け以降で初めての値下がり。ドナルド・トランプ大統領の住宅政策への言及がきっかけとなり、前日に記録した最高値から後退した。また7日に発表された民間の労働市場関連統計が堅調な結果と受け止められ、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げへの期待が後退したことも逆風となったとみられる。9日の2025年12月雇用統計の発表を控え、株価急落に対する投資家の警戒感もじわりと高まってきた。年明け以降の株式市場では人工知能(AI)ブームで上昇してきた大手ハイテク株が苦戦しており、12月雇用統計で金利の先安感が弱まったり、米国の実体経済への信頼が大きく揺らげば、S&P500にショックが走るおそれもありそうだ。
アメリカのS&P500は2026年初の下落 前日の最高値から後退
S&P500(SPX)の7日の終値は6920.93。ブルームバーグによると、S&P500は昼すぎまでは値上がり傾向をみせていたが、トランプ氏が自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で住宅価格高騰を問題視し、「大規模な機関投資家が個人向け住宅を追加的に購入すること禁止する」としたことで住宅関連企業や金融機関の株価が下落したことが響いた。S&P500は前日までの3営業日続伸では合計1.45%高となり、最高値(6944.82)をつけていたが、流れが途絶えた。2025年末までは4営業日続落で合計1.25%安となっていたこともあり、株価の勢いが増さない状況といえる。
FRBの利下げ見通しが後退 ADP統計で就業者数が堅調に増加
また、7日の金融市場ではS&P500の上昇を下支えしてきたFRBの利下げ見通しが後退した。ブルームバーグによると、7日の金融市場では、ジェローム・パウエル議長の任期中最後の連邦公開市場委員会(FOMC)となる4月会合後の政策金利の水準は3.469%と見込まれており、前日から0.010%ポイント上昇した。4月までの利下げ確率は69%程度で、70%を割り込んでいる。
利下げ見通しの後退の背景には労働市場の堅調さがある。民間雇用サービス会社ADPが7日に発表した12月の全米雇用リポートでは、非農業部門の就業者数(政府部門除く)が前月比4.1万人増。前月の2.9万人減(改定値)からプラスに転じた。前月分のデータが発表された際には労働市場の弱さが利下げ見通しを強め、S&P500の上昇につながったが、今回は対照的な展開になった。
12月雇用統計は就業者数が7.0万人増の見通し 予想外の結果はS&P500を下押しか
こうした中、S&P500の今後の見通しをめぐっては、9日午前8時30分(日本時間9日午後10時30分)に労働省が発表する12月雇用統計の重要度が高まっている。ブルームバーグによると、金融市場では非農業部門の就業者数が前月比7.0万人増と見込まれ、前月の6.4万人増に続いて雇用が拡大する見通し。また失業率は前月よりも0.1%ポイント低い4.5%、平均時給の伸び率は前月よりも0.1%ポイント高い3.6%と見込まれている。
12月雇用統計が予想を超える強さだった場合は、FRBの利下げ見通しが後退し、S&P500にとっての逆風になりそうだ。逆に労働市場の大幅な悪化がみられた場合でも、米国の実体経済の悪化が悪材料視される可能性がある。雇用統計が通常通りの日程で発表されるのは9月5日以来、4か月ぶりで、最新の労働市場に関するデータがS&P500に与える影響が大きくなることも考えられそうだ。雇用統計などの米国の経済指標は11月12日までの政府機関閉鎖の影響で通常よりも遅れた日程での発表が続いてきた
2026年の最初の重要経済指標といえる12月雇用統計発表を控え、投資家の警戒感も強まっているようだ。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の7日の終値は前日よりも4.27%高い15.38で、12月18日(16.87)以来、約3週間ぶりの高さとなった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
マグニフィセント・セブンの不調は2023年以降のS&P500急騰の背景になってきたAIブームの冷え込みを感じさせる。S&P500の推進力が失われる中で、FRBの利下げ見通しが後退したり、米国の実体経済の悪さに注目が集まった場合には、S&P500が急落に見舞われる恐れもありそうだ。
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