米国株、楽観復活 S&P500反発 エヌビディア期待で上昇圧力も
S&P500は4日に1.47%高の反発。2か月半ぶりの上昇率で楽観ムードが戻った。AIブームとFRBの利下げ期待が背景で、上昇圧力が強まる展開も考えられる。

アメリカの株式市場に楽観ムードが戻った。S&P500種株価指数の4日の終値は前週末比1.47%高となり、約2か月半ぶりの上昇率を記録。前週末1日に発表された7月雇用統計で広がった不安が大きく後退した。半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が最高値を更新するなど、大手ハイテク株への期待が続いていることに加え、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月に利下げに踏み切るとの見通しが強まっていることが大崩れを防いだ。一方、S&P500の割高感は強く、さらなる値上がりへのハードルは高くなっている。ただ、今後のS&P500の見通しをめぐっては、悪い経済指標が出たとしても楽観ムードが下支えする展開が考えられ、8月下旬のエヌビディア決算に向けてS&P500への上昇圧力が増していくことも想定されそうだ。
アメリカのS&P500は1.47%高 2か月半ぶりの上昇率で楽観ムード復活
S&P500(SPX)の4日の終値は5営業日ぶり反発の6329.94。上昇率(1.47%高)はエヌビディアの決算発表を前に投資家心理が上向いた5月27日(2.05%高)以来の大きさとなった。S&P500は8月1日、7月雇用統計が市場予想を下回ったことなどから前日比1.60%安となっていたが、楽観ムードが復活した形だ。

エヌビディアは3.62%高で最高値更新 半導体株にAIブーム期待
S&P500への影響度が大きい大手ハイテク株では、エヌビディアの株価(NVDA)が4日終値で前週末比3.62%高の180.00ドルとなり、最高値を更新した。人工知能(AI)への投資が成長につながっていると評価されているメタ・プラットフォームズ(META)も3.51%高、アルファベット(GOOGL)も3.12%高と大きく反発した。マグニフィセント・セブンと呼ばれる大手ハイテク7社の中では、アマゾン・コム(AMZN)を除く6社が値上がりしている。


FRBの9月利下げ見通し拡大 クグラー理事辞任も利下げ要因に
また、7月雇用統計の想定外の悪さにも関わらずS&P500が底堅さを示した背景には、FRBの利下げへの期待もある。ブルームバーグによると、金融市場では4日段階で、9月16、17日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利は4.085%と見込まれており、現状の政策金利(4.25-4.50%、中間値4.375%)から0.25%超の利下げが見込まれている。さらに12月FOMC後の政策金利の水準は3.700%と見積もられ、年内に2回以上の利下げが想定されている形だ。

FRBは7月29、30日のFOMCで、1月から5会合連続での利下げを見送りを決めたばかり。しかし7月雇用統計が発表された8月1日、ミシェル・ボウマン副議長とクリストファー・ウォラー理事は利下げを支持する声明文を発表。さらにアドリアナ・クグラー理事が8日付で辞任することも公表された。利下げに慎重姿勢を取ってきたジェローム・パウエル議長を「遅すぎ男」と批判してきたドナルド・トランプ大統領は、クグラー氏の後任に利下げに前向きな人物を指名することが見込まれている。
S&P500の割高感は重荷 エヌビディアの決算への期待が上昇圧力になる可能性も
一方、S&P500の上昇には割高感が重荷となる可能性がある。ブルームバーグによると、S&P500の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は4日段階で23.18倍という高水準。株式市場でのAIブームが本格化した2023年以降の値動きでは予想PERが23.9倍を超えたことがないことを踏まえれば、S&P500のさらなる大幅な値上がりの難易度は増していそうだ。

またFRBの利下げへの期待があるとはいえ、米国経済の悪化が企業収益にとってのマイナス材料であることは間違いない。米サプライマネジメント協会(ISM)が7月雇用統計と同じ1日に発表した7月の製造業景況感指数(PMI)は48.0で、ブルームバーグがまとめた市場予想の49.5を下回る結果だった。ISMは5日午前10時(日本時間5日午後11時)には7月の非製造業(サービス業)のPMIを発表する予定で、市場予想(51.5)を下回れば、S&P500への下押し圧力が増す可能性がある。

ただ、この場合でも米国株をめぐる楽観ムードがS&P500の大崩れを防ぐ筋書きも考えられそうだ。8月27日にはエヌビディアの5-7月期決算発表も控えており、AIブームへの期待が企業の収益予想を高め、S&P500に対する上昇圧力が高まることも想定される。
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