【米国株】ナスダック100見通し(8/20):23000~24000予想、関心は早くもジャクソンホール会議に
ジャクソンホール会議を前にハイテク株が売りに直面。パウエルFRB議長の講演で利下げ期待が後退すれば、ナスダック100の調整売り加速を警戒したい。米国テク株100の見通しと注目のチャート水準をIG証券のアナリストが分かりやすく解説。

要点
・ジャクソンホール会議を前にハイテク株に売り
・パウエルFRB議長、利下げ判断で慎重姿勢維持なら調整売り加速も
・米国テク株100の予想レンジは23000~24000(22日まで)
ハイテク株売りでナスダック失速、パランティア9%超下落
米株高をけん引してきたハイテク株の買いに息切れ感が見られる。19日の市場では、S&P500コミュニケーション・サービスのセクターが前日比1.15%安、情報技術セクターが1.88%安と、他のセクターと比べて大きく下落した。
個別銘柄では、投資判断の引き下げが嫌気されたアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が5.44%安、割高感が意識されたパランティア・テクノロジーズ(PLTR)は5日続落し前日比9.35%安と、6月27日(9.36%安)以来の大幅下落で終えた。来週27日の引け後に第2四半期(5~7月)決算の発表が予定されているエヌビディア(NVDA)は3.5%安で引けた。
S&P500 セクター別パフォーマンス:8月19日

ブルームバーグのデータで作成
注目はマグニフィセントセブンの動きである。月初からの変動率を確認すると、上旬に上昇幅が拡大した。しかし、先週からその勢いが失速。ハイテク株比率の高いナスダック100は昨日の市場で前日比約1.4%安と、S&P500の0.6%安を大きく上回った。8月の上昇率は0.72%まで縮小し、S&P500の上昇率を下回る状況にある(19日時点)。
マグニフィセントセブンと主要指数の変動率:8月1日~19日

ブルームバーグのデータで作成
関心は早くもジャクソンホール会議へ
投資家の不安心理を表すVIX指数とVXN指数は、警戒水準とされる「20」を下回っている。19日の市場でダウ平均が小幅ながら上昇し、S&P500が6400を維持した状況も考えるならば、リスク回避ムードが高まっているわけではない。昨日の下落は、これまでの株高を調整する動きと考えられる。
VIX指数・VXN指数のチャート:日足 3月以降

ブルームバーグのデータで作成
今週に入り調整売りが進行している理由は、市場参加者の関心が早くも21~23日の日程で開かれる経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」に向いているからだろう。
22日23時(日本時間)に米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が経済見通しについての講演を行う。17日のIG米国レポートでは、労働市場の軟化を示唆した直近の雇用関連指標を受けパウエルFRB議長がハト派に傾斜し、利下げに前向きな姿勢を示す場合は、米株高の要因になると指摘した。
パウエルFRB議長、利下げ判断で慎重姿勢維持なら調整売り加速も
しかし、トランプ米大統領からの利下げ圧力に屈することなくパウエルFRB議長は利下げ判断で慎重姿勢を貫いている。7月のインフレ指標(CPI・PPI)はまちまちの内容だった。関税がインフレに与える影響を見極める必要があることから、パウエルFRB議長は利下げにコミットする表現を避ける可能性がある。これまでのデータ重視の姿勢を貫いた場合は、利下げ期待の後退が予想される。利下げ期待の後退は米国株の調整売り、特に株高をけん引してきたハイテク株の売りを促す要因として警戒したい。
ナスダック100の見通しとテクニカル分析
予想レンジの下限:23000
ハイテク株の調整売りでナスダック100は昨日、20日線を下方ブレイクした。同指数が原資産の株価指数CFD「米国テク株100」も20日線を下方ブレイクし、日足の一目基準線が推移している水準23318レベルが視野に入る。この水準は、現時点での8月の高値と安値の半値戻しにあたる。
日足のRSIは50を下回り、MACDではデッドクロスが確認され強気地合いの後退を示唆。今日以降、米国テク株100が2つのテクニカルラインが重なる23318レベルをも下方ブレイクする場合は、調整売りが進行するサインと捉えたい。次の焦点は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%戻しの23165レベルとなろう。
今週22日までの米国テク株100の予想レンジ下限を23000と想定したい。すぐ下の水準は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%に当たる(22975)。現在23080レベルにある50日線を下方ブレイクする場合は、23000をトライするサインとなろう。
このラインをも下方ブレイクする場合は、パウエルFRB議長の講演で利下げ期待が後退している可能性がある。この場合は、来週以降の下落相場を警戒することになろう。
サポートライン:日足
・23318:基準線、半値戻し
・23165:61.8%戻し
・23080:50日線
・23000:予想レンジの下限
予想レンジの上限:24000
パウエルFRB議長の講演で利下げ期待が高まる場合、米国株は株高トレンドを維持することが予想される。ハイテク株の買い戻しで米国テク株100は以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。
目先の焦点は、レジスタンスラインとしてもサポートラインとしても意識された経緯のある23700レベルの攻防となろう(4時間足チャートを参照)。20日線の上方ブレイクは、23700ラインをトライするサインと捉えたい。このラインがレジスタンスラインへ転換する場合は、米国テク株100の地合いの弱さを市場参加者に印象付けるだろう。来週以降も調整相場が続く可能性を意識したい。
一方、米国テク株100が23700レベルを上方ブレイクする場合は、24000ラインのトライが焦点となろう。13日の高値水準であり、2つのフィボナッチ・エクステンション100%の水準が重なるこのラインを22日までの予想レンジの上限と想定したい。14日と15日の高値水準の突破は、24000ラインをトライするサインとなろう(日足チャートを参照)。
今週、米国テク株100が想定を超えて24000ラインを突破する場合は、来週以降フィボナッチ・エクステンション161.8%の水準24254レベルのトライが最初の焦点に浮上しよう。
レジスタンスライン:4時間足
・24000:予想レンジの上限
・23911:8月14日の高値水準
・23872:8月15日の高値水準
・23700:レジスタンス転換の可能性あり
・23441:20日線
米国テク株100のチャート:日足 7月下旬以降

出典:IG / TradingView
米国テク株100のチャート:4時間足 7月以降

出典:IG / TradingView
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