【米国株】2026年の見通しと3つの焦点、S&P500は序盤から正念場に直面か
IG証券のアナリストによる2026年の米国株見通し。インフレ指標とハイテク決算次第でS&P500は序盤から正念場に直面する可能性がある。
要点
- S&P500は3年連続の二桁高を達成。2026年は米中間選挙の年にあたる。年前半は軟調、秋以降に上昇するアノマリーが見られる
- 2026年は3つのテーマ-インフレ、米FRBの政策姿勢、ハイテク企業が焦点となろう。トランプ関税の影響でインフレ再燃のリスクが高まれば、今年の米利下げはゼロの可能性もあり得る。利下げ期待の後退はハイテク株・中小型株の逆風となろう
- 2026年のAI相場は「結果」が問われるだろう。1月下旬から2月上旬にかけてハイテク決算が集中する。ハイパースケーラーの巨額AI投資に対し、市場は具体的な収益を求めている
- インフレ指標とハイテク決算の内容でS&P500は、今年序盤から正念場を迎える可能性がある
3年連続の二桁高と「中間選挙年」のアノマリー
米国株式市場の時価総額の約80%をカバーするS&P500は2025年に16.4%の上昇を記録。2023年の26.3%、2024年の25%に続き、3年連続の二桁高となった。ダウ工業株30種平均は13%高、ナスダック総合指数は20%高と、いずれも堅調なパフォーマンスを示した。強気相場をけん引したのがAIブームだった。
しかし、「中間選挙の年」にあたる2026年前半のS&P500は下落相場を警戒したい。1958年以降の月間平均変動率を確認すると、中間選挙の年のS&P500は年前半にパフォーマンスが低迷し、秋以降に改善するアノマリーが見られる。
2026年はトランプ関税の影響でインフレ再燃がテーマの一つとなろう。2025年後半にAI銘柄のバリュエーション懸念が強まった。1月下旬からAIインフラに巨額投資をしているハイパースケーラーの決算が集中する。インフレ指標(物価指数)とハイテク決算次第でS&P500は、序盤から早くも正念場を迎えることが予想される。
S&P500 米中間選挙の年の月間平均変動率:1958年以降
ブルームバーグのデータを基に作成
2026年 3つの焦点-インフレ、FRBの政策姿勢、ハイテク決算
焦点1:インフレ再燃の可能性
2026年の米国経済にとって最大の不確実性は、インフレの再燃だ。今年はトランプ政権による関税政策の影響が実体経済へ波及することが予想される。
市場参加者が注視する消費者物価指数(CPI)と米連邦準備制度理事会(FRB)が注視するPCE価格指数は、コア指数も含めいずれも2%より上の水準で下げ止まっている。
米連邦公開市場委員会(FOMC)の参加者による昨年12月のSEP(経済見通し)によれば、2026年末のPCEインフレ率は2.4%、コアインフレ率は2.5%と、物価目標の2%を上回る見通しが示された。今年の物価指数がインフレ再燃の懸念を高める場合は、次に述べる「FRBの政策動向」に大きな影響を与えるだろう。
米国のインフレ率 推移:2020年以降
ブルームバーグのデータを基に作成
焦点2:FRBの政策姿勢
2026年5月にパウエルFRB議長が任期満了を迎える。ホワイトハウス合衆国国家経済会議(NEC)の委員長ケビン・ハセット氏と元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏が有力な後任候補と目されている。ハセット氏はトランプ大統領への忠誠心が高く、次期FRB議長に選任される場合は、利下げ政策を志向するだろう。
しかし誰が就任するにせよ、2026年の政策判断は揺れ動くだろう。この点を示唆したのが、昨年12月のドットチャートだ。19名のFOMC参加者のうち7人が今年の利下げは不要と予想した。残る12人は追加利下げを予想したが回数で見解が分かれた。「FOMC内の分断」ともいえる状況を生み出している主因が、上で述べたインフレ見通しにあると筆者は考えている。
FOMC参加者が予想する2026年末のFF金利(政策金利)の中央値は3.4%。1回利下げを見込む。一方、翌日物金利スワップ(OIS)市場はよりハト派的で、レポート掲載時点では2回の利下げを織り込む状況にある。しかし、いずれの予想もインフレ次第で大きく修正されるだろう。インフレ再燃なら今年は利下げなしの可能性も浮上し得る。利下げ期待の後退は、ハイテク株や中小型株の下落要因となろう。
米政策金利の予想推移:2026年
ブルームバーグ、OIS市場のデータで作成 / 1月2日時点
焦点3:ハイテク決算
2025年にAI相場の「期待先行」フェーズは終わった。2026年は「結果」が厳格に評価される年となろう。
ハイパースケーラーと呼ばれるアマゾン・ドット・コム(AMZN)、アルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)、メタ・プラットフォームズ(META)はいずれも巨額のAI投資を実行している。信用調査会社CreditSightsによれば、Oracleも含めたハイパースケーラー5社の設備投資額は、2026年に約6020億ドル(前年比36%増)に加速する見通しだ。
※出所:CreditSights「Technology: Hyperscaler Capex 2026 Estimates」
市場参加者はAIインフラの巨額投資に対し、具体的な結果(収益)を求めている。四半期決算が市場の期待に届かない場合、特に業績見通しで市場の期待を下回る場合は、成長懸念によるハイテク株売りが予想される。
半導体セクターでは、2025年に世界初の時価総額5兆ドル突破を達成したエヌビディア(NVDA)の決算が引き続き重要視されるだろう。注目はデータセンターの収益だ。ブルームバーグのコンセンサス予想によればFY2026、FY2027と堅調な伸びが予想されている。伸び率は低下の見通しだが、それでもFY2027の伸び率は60%前後の堅調な成長が見込まれている。1株当たり利益(EPS)も堅調な成長が予想されている。
データセンター収益とEPSの推移:2020年以降
ブルームバーグのデータ作成
※コンセンサス予想:FY2026、FY2027
1月下旬から2月上旬にかけてハイパースケーラーの決算が集中する。2月は米国株のパフォーマンスが低迷する傾向にある。市場参加者の失望を誘う決算となれば、S&P500は今年序盤から正念場に直面するだろう。
米国500の週間展望とテクニカル分析
2025年後半からの「サンタクロース・ラリー」は不発だった。今週のS&P500は、この悪い流れを断ち切ることができるかどうかが焦点となろう。雇用関連の経済指標が変動要因となろう。注目は9日の米雇用統計だ。ブルームバーグがまとめた非農業部門雇用者数の予想は5.5万人、失業率は4.5%(レポート掲載時点での市場予想)。
労働市場の堅調さを示す内容が続く場合は、利下げ期待の後退によるS&P500の下落を警戒したい。一方、労働市場の軟化を示唆する内容が続けば、利下げ期待がS&P500を下支えすることが予想される。株価指数CFD「米国500」は以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。しかし、この場合は景気不安を高める要因にもなり得る。株価の反応を注視したい。
今週の米雇用関連指標
・7日:25年12月ADP雇用統計、25年11月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
・8日:週間の新規失業保険申請件数
・9日:25年12月雇用統計
米国500のトレンドを日足チャートで確認すると、じりじりと上値の水準が切り下がっている。MACDはデッドクロスへ転じ強気地合いの後退を示唆している。今週も軟調地合いが続けば、サポートラインに転換する可能性がある6760の維持が焦点となろう。このラインを今週の下限と予想する。
昨年12月の高値と安値のフィボナッチ・リトレースメント61.8%戻しと50日線が重なる6800を下方ブレイクすれば、6780の攻防に注目したい。このラインを挟んで2つのフィボナッチラインが上下に展開している。6780を下方ブレイクすれば、6760をトライするサインとなろう。
株安局面のチャートポイント:日足チャート
・6851:25日線
・6800:61.8%戻し、50日線
・6780:上に38.2%戻し、下に76.4%戻し
・6760:今週の下限予想
今週の雇用指標が株高の要因となれば、米国500はレジスタンスゾーンの上限にあたる6920のトライが焦点となろう。この水準を今週の上限と予想する。
まずは、6900への再上昇を確認したい。1時間足チャート上にグレーラインで示したフィボナッチ・リトレースメントの攻防が焦点となろう。黒ラインのフィボナッチ・リトレースメント61.8%戻し6898の突破は6900突破を意味する。6900がサポートラインに転換すれば、6910~6920のレジスタンスゾーンを視野に上昇拡大が予想される。
株高局面のチャートポイント:1時間足チャート
・6920:レジスタンスゾーンの上限
・6915:76.4%戻し(黒ライン)
・6910:レジスタンスゾーンの下限
・6898:61.8%戻し(黒ライン)
・6878:76.4%戻し(グレーライン)
・6868:61.8%戻し(グレーライン)
米国500の日足チャート:昨年10月以降
TradingView提供のチャート
米国500の1時間足チャート:昨年12月下旬以降
TradingView提供のチャート
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