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米国株に中東情勢の暗雲 S&P500週次反落 原油高は利下げの障害か

S&P500は週次0.39%安。イスラエルのイラン核施設攻撃が投資家心理を冷やした。中東情勢の展開とFRB利下げの行方が今後の見通しを左右しそうだ。

米国株に中東情勢の暗雲 S&P500週次反落 原油高は利下げの障害か 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場に中東情勢という新たな暗雲が立ち込めた。S&P500種株価指数の13日の終値は1週間前比で0.39%安の反落。イスラエルによるイランの核施設攻撃による投資家心理の冷え込みが影響した。原油先物市場では原油価格が約5か月ぶりの高さを記録し、物価上昇圧力の高まりが米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを難しくするとの懸念も出ている。一方、米国経済をめぐる指標では、物価上昇の急激な高まりは示されていないほか、労働市場への不安も出ており、FRBは利下げの必要性に迫られている側面もある。FRBは17、18日に連邦公開市場委員会(FOMC)を予定しており、中東情勢とともに、ジェローム・パウエル議長が示す金融政策の方向性がS&P500の今後の見通しを左右しそうだ。

アメリカのS&P500は週次0.39%安 イスラエルのイラン核施設攻撃でリスク回避

S&P500(SPX)の13日の終値は前日比では1.13%安の5976.97。債務上限引き上げを含む減税関連法案をめぐる混乱が長期金利(10年物国債利回り)の上昇につながった5月21日(1.61%安)以来の下落率だった。週次での下落は3週ぶりだ。12日の取引時間終了後にイスラエルがイランの核施設を攻撃したと伝わり、金融市場でのリスク回避ムードが強まった。中東情勢をめぐっては13日に、イランがイスラエルに対して数百発のミサイルを発射し、テルアビブで被害が出ているとも報じられており、中東情勢はさらに悪化する恐れがある。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

原油価格は5か月ぶり高値 前日比7.26%高は3年3か月ぶり急騰

こうした中、13日の原油先物市場では指標価格であるWTI(翌月渡し、WTI原油)が急騰。ブルームバーグによると、一時、1バレル=77.62ドルをつけ、ドナルド・トランプ大統領の就任当時にあたる1月21日(78.47ドル)以来、約5か月ぶりの高値をつけた。WTIは13日の終値では72.98ドルで落ち着いたものの、前日比7.26%高という2022年3月17日(8.35%高)以来、3年3か月ぶりの上昇率となっている。原油価格の値上がりは米国経済の物価上昇圧力として働くことが想定され、FRBの利下げを難しくするS&P500にとっての逆風といえそうだ。

原油価格(WTI)の値動きと主な出来事のグラフ

VIX指数は20を突破 エヌビディアなど大手ハイテク株が下落

同時に13日の金融市場では投資家心理も悪化。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の13日の終値は20.82となり、14営業日ぶりに20を超える水準となった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。

VIX指数とS&P500の推移のグラフ

投資家心理の悪化は、S&P500への影響度が大きい大手ハイテク株も値下がりさせた。13日の取引では半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の株価が2.09%安となり、週次での上昇率は0.18%高まで縮小。13日はメタ・プラットフォームズ(META)も1.51%安、アップル(AAPL)も1.38%安となっている。マグニフィセント・セブンと呼ばれる大手ハイテク7社の中では、テスラ(TSLA)以外の6社が下落した。

メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディア、アマゾン・コム、アルファベット、アップル、テスラの株価の推移のグラフ

物価上昇の落ち着きと労働市場への不安は利下げ要因 年内2回見通しは崩れず

一方、米国経済をめぐっては物価上昇の鎮静化を期待させるデータも出ている。12日に発表された5月の卸売物価指数(PPI)はブルームバーグがまとめた市場予想通りの結果で、前日に発表された5月の消費者物価指数(CPI)と同様に物価上昇圧力の大幅な強まりはみられなかった。現段階では、トランプ氏の高関税政策が物価上昇を急激に加速させているとはいえなさそうだ。また同じく12日に発表された1-7日週の新規失業保険申請件数は24.8万件で、市場予想の24.2万件を上回っている。物価上昇の落ち着きと労働市場への不安は、FRBにとっては利下げの必要性を高める材料といえそうだ。

アメリカの消費者物価指数と卸売物価指数の伸び率の推移のグラフ

このため13日の金融市場では、原油価格上昇がFRBの利下げ見通しを後退させたものの、引き続き年内に2回の利下げがあるとの見立ては崩れていない。ブルームバーグによると、金融市場で見込まれる12月FOMC後の政策金利の水準は3.827%。現状の政策金利の水準(4.25-4.50%、中間値4.375%)から、0.25%幅の利下げが2回行われることを示唆している。

FRBの政策金利と金融市場で見込まれている12月の水準のグラフ

中東情勢悪化の可能性は新たな不確実要素 FOMC後の経済見通しに注目

S&P500の今後の見通しをめぐっては中東情勢とFRBの利下げへの期待が焦点となる。イランがイスラエルへの報復を激化させるなどすれば、原油の重要な輸送ルートとなっているホルムズ海峡の封鎖に至る可能性もあり、世界経済の混乱が大きくなるとの懸念も膨らむ。トランプ氏の高関税が経済の見通しを不透明にする中、新たな不確定要素が拡大すれば、FRBは金融政策を利下げ方向にも利上げ方向にも動かしにくくなるとの筋書きも考えられる。

FRBが17、18日に開くFOMCは政策金利の維持が確実視されており、会合後に示される経済見通しとパウエル氏の記者会見が注目される。FRBが見込む年内利下げ回数が3月段階の2回よりも少なくなるなど、利下げ姿勢の後退が感じられれば、S&P500への下落圧力が大きくなる可能性もありそうだ。


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