日経平均、半導体株で上昇 2週ぶり反発804円 くすぶる円高不安
日経平均株価は2週ぶりに反発。エヌビディアの好決算を背景にして半導体株が上昇を牽引した。一方、円高進行の可能性は日経平均の重荷といえる。

日経平均株価が上昇基調を取り戻した。日経平均の5月30日の終値は1週間前比で804.63円高。3万8000円回復こそならなかったものの、2週ぶりの反発を達成している。アメリカの半導体大手、NVIDIA(エヌビディア)の決算発表が半導体株の上昇につながり、日経平均を押し上げた。またドル円相場で一時、1ドル=146円台まで円安が進んだことも好材料だった。ただしこの円安は一過性の可能性もあり、米国経済の弱さへの不安は引き続き、円高要因としてくすぶっている。ドナルド・トランプ大統領は6月4日から鉄鋼、アルミニウムへの関税を50%に引き上げるともしており、日経平均の今後の見通しにとって悪材料となりそうだ。
日経平均株価は週次804.63円高 2週ぶり上昇で底堅さ示す
日経平均株価(N225)の5月30日の終値は前日比では467.88円安の3万7965.10円。前週(19-23日)は米国の財政状況への不安が要因となった円高が嫌気され、6週ぶりの週次下落(593.25円安)となっていたが、底堅さを示した形だ。週初めの26日は、トランプ氏が欧州連合(EU)製品に対する50%関税の6月1日発動を7月9日まで先送りしたことが好感されて前週末比371.06円高となり、その後も上昇基調が維持された。


アドバンテストやソフトバンクグループといった半導体株の好調さの背景には日本時間の29日早朝に行われたエヌビディアの2025年2-4月期決算発表がある。エヌビディアは中国向けに開発した半導体「H20」が輸出規制の対象になったことによる業績への悪影響が懸念されているが、決算にあわせて示した5-7月期の業績見通しは、この悪影響を考慮しても総収入が前年同期比で1.5倍になるという内容。人工知能(AI)関連需要の強さを示す結果と受け止められた。29日の東京市場では、アドバンテストが前日比5.35%高。ルネサス・エレクトロニクス(6723)も5.06%高となった。半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)も5.35%高となり、30日までの週次での1.08%高につなげている。

146円台まで進んだ円安も好材料に 海外投資家の日本株買い越しは8週連続
また、日経平均の週次反発は円安に支えられた面もある。ドル円相場(USD/JPY)では、27日に日本の財務省が超長期債の発行減額に動くとの見方が出たことが長期金利(10年物国債利回り)の低下につながり、円安が進行した。さらに日本時間29日朝、米国の国際貿易裁判所がトランプ氏の高関税政策の差し止めを命じたことが伝わると、世界経済の見通しが改善したとして円安がさらに加速。ブルームバーグによると、一時、1ドル=146.28円をつける場面もあった。ドル円相場は27日の午前中には142円台前半をつけていただけに、一気に進んだ円安は海外で稼ぐ日本企業の業績改善を意識させ、日本株への追い風となったようだ。

さらに米国経済の見通しに対する不安も、日本株への評価を高めている可能性がありそうだ。日本取引所グループが29日に発表した週次の投資部門別売買動向(東京証券取引所と名古屋証券取引所の合算ベース)によると、海外投資家は日経平均が値下がりした前週(19-23日)も日本株を2850億円買い越し。買い越しはトランプ氏が相互関税を発表した3月31日-4月4日週以来8週連続で、2023年3月下旬から6月中旬にかけての12週連続以来の記録となった。

米国経済の弱さは円高要因 トランプ氏の鉄鋼関税50%引き上げも見通し不安に
ただし米国経済への不安は円高要因でもあり、日経平均の足を引っ張る効果も生みかねない。29日に発表された米国の2025年1-3月期GDP改定値は個人消費が下方修正され、週次の失業保険関連統計でも新規失業保険申請件数が市場予想を超える大きさになっている。29日に1ドル=146円台まで進んだ円安は、30日の東京市場では143円台半ばまで円高方向に動く場面もあった。
週明け6月2日以降の金融市場では、再び米国経済の現状が試される展開が想定される。2日に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する5月の製造業景況感指数(PMI)や6日発表の5月雇用統計で米国経済の弱さが感じられれば、円高が進み、日経平均に下押し圧力がかかりそうだ。またトランプ氏は5月30日のペンシルベニア州での演説で、6月4日から鉄鋼とアルミニウムへの関税を現行の25%から50%に引き上げると表明した。トランプ氏の高関税を駆使する経済政策はサプライチェーンの安定性を損なう悪材料といえ、日経平均にとっての逆風となる可能性がある。
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