日経平均、5万円到達に決算不安 週次1717円高 割高感が鮮明に
日経平均株価は高市新政権への期待で4万9000円台まで上昇。ただ、ご祝儀相場は一服しており、日米企業の決算発表の重要性が高まる。
日経平均株価に5万円台の期待が出ている。日経平均の24日の終値は4万9299.65円で、1週間前比1717.50円高の急騰。21日に発足した高市早苗政権への期待が株価上昇の原動力となった。ただ、日経平均は22日以降は5万円に迫る値動きが出ていないうえ、人工知能(AI)ブームに沸いてきた半導体株の上昇率にも衰えが感じられる。株価の割高感はAIブームの発信源である米国株を上回っており、これ以上の値上がりには新たな材料が必要といえそうだ。このため日経平均の今後の見通しをめぐっては、企業業績の重要性が高まっている。半導体検査装置のアドバンテストが28日に行う2025年7-9月期決算発表や、アメリカで29日と30日に相次ぐ大手ハイテク各社の決算発表の内容は、日経平均の5万円到達の現実味を左右しそうだ。
日経平均株価は週次1717円高 一時は4万9945円まで上昇
日経平均株価(N225)は週初めの20日に自民党と日本維新の会の連立が確実となり、前日比1603.35円高と急騰。高市氏が首相に指名されて政権が発足した21日の取引時間中には4万9945.95円をつけた。23日には米国のドナルド・トランプ政権が米国製ソフトウェアを使った製品の中国向け輸出の制限を検討しているとの報道を受けて、前日比666.18円安となったが、翌24日はこの下落分をほぼ帳消しにする値上がりをみせた。
日経平均の割高感は鮮明 株価急騰は極端な期待先行
また日経平均の割高感も明らかだ。ブルームバーグによると、日経平均の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は24日段階で24.0倍。AIブームの発信源である米国株式市場のS&P500種株価指数(SPX)の予想株価収益率を5営業日連続で超えている。日経平均の24日の終値は2024年末比で23.6%高となっているが、この間、予想1株当たり利益(EPS)の上昇は5.7%にとどまっており、極端な期待先行の値上がりだといえる。一方のS&P500は24日終値の2024年末比での上昇率が15.5%となっているのに対して、予想1株当たり利益も9.0%上昇しており、日本株に比べて割高感への意識が感じられる。
こうした中、海外投資家の日本株買いにもブレーキがかかったようだ。日本取引所グループが23日に発表した週次の投資部門別売買状況によると、前週(13-17日)の海外投資家の日本株買い越し額は東京証券取引所と名古屋証券取引所の合計で1532億円。直前の2週連続で記録した1兆円超という巨額の買い越しが止まっている。
アドバンテストの決算発表に注目 米国の大手ハイテク決算や米中首脳会談も焦点
このため日経平均の今後の見通しをめぐっては、注目企業の四半期決算の重要性が高まる。なかでもアドバンテストが28日の取引時間終了後に発表する2025年7-9月期決算は翌29日の日経平均を大きく左右しそうだ。ブルームバーグによると、アドバンテストの株価はAIブーム加速への期待を背景に3か月前の前回決算発表から64.94%高となる一方、予想1株当たり利益は2.10%低くなっている。アドバンテストが今回の決算発表で示す業績見通しが弱気な内容とみなされれば、株価急落を招き、日経平均の5万円到達を遠ざける可能性がある。
また、米国の株式市場では、29日と30日の取引時間終了後に大手ハイテク5社が相次いで7-9月期決算を発表する。9月以降に発表されたオープンAIの積極投資はAIブームの力強さを印象づけてはいるが、各社の間の競争が激化していることも確実。各社の発表内容が成長や利益確保の難しさを感じさせれば、株価下落につながりかねない。韓国で30日の午前中に米中首脳会談が開かれることも投資家心理の動揺につながる可能性があり、日経平均の値動きに影響が出る展開も想定されそうだ。
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