日経平均、再浮上に難関 8週ぶり反落 高市政権誕生が節目に?
日経平均株価は1週間前比506円安。急落は回避したものの、今後見込まれる高市政権の誕生後は、政権運営の厳しさが悪材料視される可能性もある。

日経平均株価が粘りをみせた。日経平均の17日の終値は1週間前比506.65円安で、8週ぶりの反落。公明党が高市早苗氏が総裁に就任した自民党との決別を決めたことや米中関係の緊張が下落圧力として働いた結果だ。一方、17日の終値は4日の自民党総裁選挙前よりは約4%高い水準で、懸念された大崩れは回避。日本維新の会が自民党との連立に前向きな姿勢をみせ、高市政権発足の可能性が維持されていることが日経平均にとっての好材料になっている。ただ、日経平均上昇の背景となってきた人工知能(AI)ブームは勢いに陰りが見えるほか、アメリカでの金融システムをめぐる不安は円安急進の流れを反転させている。また日経平均の割高感は米国のS&P500種株価指数に追いついており、今後の値上がりの足を引っ張る要因になりかねない。21日にも見込まれる高市政権発足後は、先行きの政権運営の困難さが材料視される可能性もあり、日経平均の今後の見通しをめぐっては再浮上を阻む要因の多さも意識されそうだ。
日経平均株価は週次506円安 自民と維新の連立の可能性で大崩れ回避
日経平均株価(N225)の17日の終値は前日比では695.59円安の4万7582.15円。ブルームバーグによると、週次での下落(506.65円安)は最高値更新の反動が出た8月18-22日週(745.02円安)以来、8週ぶりだ。10日の取引時間終了後に公明党が自民党との連立解消を発表し、アメリカのドナルド・トランプ大統領が中国製品に対する100%追加関税に言及したことから、14日に3連休前比1241.48円安となったことが響いた。

一方、17日の終値は高市氏が勝利した自民党総裁選前日の3日終値(4万5769.50円)よりは3.96%高い水準。高市総裁誕生後のご祝儀相場の中で9日につけた最高値(4万8580.44円)からは後退しているが、大崩れに至ったわけではない。足元の政局では維新の会が自民党との連立に前向きな姿勢を示しており、高市政権による成長戦略に対する期待も残っているようだ。
アドバンテストが3週ぶり下落 AIブームの勢いに陰り
ただ、日経平均の上昇の背景となってきたAIブームには陰りもみえる。個別株の17日までの週次の値動きをみると、半導体検査装置のアドバンテスト(6857)は週次5.41%安となり、日経平均を259.94円値下がりさせた。週次での値下がりは3週ぶりで、9日の最高値(1万8005円)から6.30%安まで後退した。半面、対話型AIサービスChatGPTで知られるオープンAIに出資するソフトバンクグループ(9984)は6週続伸の3.53%高と好調を維持しているものの、日経平均構成銘柄における二強の一角が崩れたことは見通しへの不安を強めている。


米国の地銀経営不安で円高進行 日経平均の割高感はS&P500を上回る
また、米国経済をめぐっては16日に地銀経営に対する不安が材料視され、ドル円相場(USD/JPY)で円高が進むきっかけとなった。ブルームバーグによると、ドル円相場は17日に一時、1ドル=149.38円まで円高が進んだ。自民党総裁選後の日経平均の上昇は、総裁選前日(3日)の147円台から10日につけた153.27円まで一気に円安が進む中で起こっただけに、ドル円相場での円高進行は日経平均をめぐる投資家心理を悪化させそうだ。

さらに日経平均をめぐっては割高感も強まっている。ブルームバーグによると、日経平均の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は10日段階で23.5倍となり、米国の代表的な株価指数であるS&P500(SPX)の23.0倍を上回った。日経平均の予想PERがS&P500の予想PERを超えるのは2024年7月19日以来、約1年3か月ぶりだ。

海外投資家の大幅買い越しに巻き戻しの不安 高市政権発足でご祝儀相場に区切りか
こうした中、日経平均の割高感は、これまで急激に高まってきた海外投資家の日本株への関心を弱める可能性もある。日本取引所グループが17日に発表した週次の投資部門別売買状況によると、海外投資家は前週(6-10日)、東京証券取引所と名古屋証券取引所の合算ベースで、日本株を1兆0586億円買い越し。前々週の1兆2398億円の買い越しに続く大幅買い越しで、自民党総裁選前後の日経平均の急騰を後押ししたもようだ。2週連続での1兆円を超える買い越しは、ブルームバーグのデータで遡ることができる1993年9月下旬以降では初めて。今後、この異例の大幅買い越しが巻き戻される可能性は、日経平均にとっての下落圧力の高まりとして働きかねない。

日経平均の今後の見通しをめぐっては、日本の政局が引き続き注目点となる。21日にも行われる国会での首班指名で高市氏が首相となれば、少数与党として厳しい政権運営を強いられることが材料視され、ご祝儀相場が落ち着く可能性がある。また、米国の株式市場はS&P500が17日までの週次で1.70%高となったものの、投資家心理の冷え込みも目立つ。日本の株式市場でも新政権発足に対する期待が一服すれば、日経平均の上値が重くなる展開も考えられそうだ。
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