トヨタ自動車の4-6月期決算発表は株価急落を招く恐れがある。円高急進や中国市場での苦戦、半導体不足への懸念が逆風だ。
トヨタ自動車が4日に行う2026年4-6月期決算発表は上昇傾向がみられた株価を急落させるリスクがある。トヨタの株価は7月31日終値段階で、6月下旬につけた直近の安値から14%高の水準まで反発。ドル円相場での歴史的な円安進行が、業績への追い風になるとの期待が株価を押し上げた形だ。一方、トヨタの4-6月期の世界販売台数は前年同期比4.1%減で、スタートダッシュに失敗。イラン情勢の悪影響を受ける中東市場の不振だけでなく、中国市場の大幅縮小も続いており、トヨタの経営状況の見通しは悪い。さらには、人工知能(AI)ブームを背景としたメモリ半導体の供給不足や価格高騰がトヨタの業績に悪影響を及ぼすとの懸念に加え、足元ではドル円相場が円高方向に急進するという逆風も出ており、トヨタの4日の決算発表は投資家に対して厳しい現実を突きつける可能性がある。
トヨタは8月4日に4-6月期決算を発表する。ブルームバーグがまとめた市場予想によると、総収入は前年同期比6.6%増の13兆0582億円になる見通し。営業利益は8.5%減の1兆0668億円になるとみられている。トヨタは直近24回の四半期決算のうち、総収入が予想を下回ったのは前四半期(1-3月期)を含めて2回だけ。営業利益では前四半期を含めて9回で市場予想をクリアできなかった。
トヨタの株価(7203)の7月31日の終値は3067円で、前回決算発表前日にあたる5月7日との比較で2.99%高。トヨタの株価は米国とイランの戦争開始直後の3月2日に最高値(3944円)をつけた後、前回決算発表を挟んで下落が継続。6月24日には最高値から31.90%安にあたる2686円まで下落していたが、その後は反発が続いている。7月31日終値は6月24日の安値との比較では14.18%高だ。
ブルームバーグによると、トヨタの直近の株価と今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)から算出される株価収益率(PER)は7月31日段階で9.6倍程度で、前回決算発表前日の9.4倍程度とほぼ同水準といえる。アナリストが提示する目標株価の平均は3520円で、足元の水準よりも15%ほど高い。24人のアナリストのうち20人は買い、3人は維持、1人は売りを勧めている。
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トヨタの株価が6月下旬以降に反発したのは円安進行がきっかけといえそうだ。ブルームバーグによると、ドル円相場はトヨタの株価が直近の安値をつけた6月24日の4営業日後にあたる30日に1ドル=162円台をつけ、1986年12月以来、39年半ぶりの円安水準を記録。その後も円安には歯止めがかからず、7月23日からは164円が目前に迫る水準での取引が続いた。トヨタは前回決算発表時に示した2027年3月通期の業績見通しで、ドル円相場の水準を150円と想定。これに対して4-6月期のドル円相場は平均159.47円で推移しており、トヨタの4-6月期の業績を上振れさせる要因といえそうだ。
またトヨタの株価上昇にはAIブームに対する期待の冷え込みの受け皿になった側面も感じられる。日経平均株価(N225)はトヨタの株価が直近の底値をつけた翌日にあたる6月25日に7万2366.34円の最高値をつけた後、値上がりの原動力となっていたAIブームに継続性をめぐる疑念が強まり、下落に転じた。7月31日終値段階では、トヨタの株価が6月24日の底値から14%高になる中、日経平均は6月25日の最高値から11.06%安となっている。
一方、トヨタの株価には復活の兆しが見えるものの、業績面での逆風は強い。トヨタが7月30日に発表した販売実績によると、4-6月期のグループ総販売台数は前年同期比4.1%減の271万3910台に留まった。トヨタが2027年3月通期の目標として掲げる前年比0.9%減のペースに後れをとっている。
トヨタの販売をめぐっては、イラン戦争が逆風となっている中東での販売不振に加え、中国市場も2月から6月にかけて5か月連続で前年同月比での大幅減少が継続。4-6月期は前年同期比28.0%減の32万4029台となっている。トヨタは「ガソリン価格の上昇に伴う厳しい市場環境」が継続していると説明しており、電気自動車(EV)の普及が進む中国市場でのガソリン車への逆風が強まっているようだ。
また、トヨタの業績の今後の見通しをめぐっては、メモリ半導体の供給不足や価格高騰の悪影響という懸念もくすぶる。自動車産業では自動車の電動化に伴って電子機器の制御に不可欠な半導体の重要性が増す一方、世界の半導体メーカーはAI向けの最先端半導体の生産に注力しているという構図があるからだ。米国市場で自動車を販売するトヨタなど日米欧の主要自動車メーカーや部品メーカーで作る業界団体「アライアンス・フォー・オートモーティブ・イノベーション」は6月4日に他産業の業界団体と共同でスコット・ベッセント財務長官とハワード・ラトニック商務長官に提出した書簡で、AIブームが「メモリ半導体の前例のないほどの価格上昇と供給削減」を招いているとし、対応がとられなければ、「自動車の生産や購入しやすさに対するリスク」が生じるとしている。
さらに足元のドル円相場(USD/JPY)ではトヨタの株価上昇のきっかけをつくった円安にも揺らぎが生じている。7月30日以降に日本政府と米国政府が円安修正を狙った協調為替介入を行ったとみられ、ドル円相場の31日のニューヨーク市場の終値は1ドル=157.40円まで円高が進行。直近の2日間で6.01円もの円高が進んだ形だ。ブルームバーグによると、トヨタが米国株式市場に上場している米国預託証券(ADR)の株価は31日終値で前日比1.28%安となった。
このためトヨタの株価は8月3日の取引で下落する恐れがある。これに加えて4日の4-6月期決算発表では、販売や生産をめぐる経営環境の厳しさが表面化する可能性があり、これまで上昇基調がみられたトヨタの株価が一転して急落する可能性もありそうだ。
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